近年、中古物件を購入してリノベーションをするという考え方が浸透しつつあります。
新築を購入するよりも安く、自分の思い描く間取りを実現できるのが魅力です。
そんなリノベーションの仕上がりを大きく左右するのが、設計職の仕事です。
今回はリノベーションの中でも設計職に焦点を当てて解説していきます。
どのような仕事を行うのか、そして資格やスキルは何が必要なのかをチェックしましょう。
リノベーションの設計職の仕事内容
まずはリノベーションの設計職の仕事内容をチェックしましょう。
新築物件の設計とは違う点も多いです。
転職や就職を検討する際は、リノベーションならではの特徴をよく確認してください。
営業職からの引継ぎ
リノベーションの設計職は営業との連携も大切です。
クライアントの要望を聞き取った営業職からしっかり内容を聞き取り、情報と予算、対応できることをすり合わせていきます。
リノベーションの中でもクライアントがとくに重視している部分はどこなのか、予算をカットできる部分はあるか、さらに完成にはどれくらいの期間が必要かなどを詳細に決めていきます。
実際にクライアントからの要望を聞き取るのは営業職の仕事ですが、営業職からしっかり内容を聞き取った上で設計に反映しなければならないため、設計職にもヒアリングスキルは必要です。
基本プランの作成
まずはクライアントの要望をもとに基本プランを設計します。
リノベーションは新築の設計とは違い、既存の物件の設計図をもとに新たな設計を考えなければなりません。
設計図は正確ではあるものの、実際に解体しなければわからない点も多々あります。
これまでの経験を活かしながら想像で補わなければならない部分も多く、この基本プランの通りに完成するわけではありません。あくまでもラフの段階であることをクライアントに伝え、そこから細部を修正していきます。
現地調査
クライアントが物件を購入したら、現地調査を行います。
これまでは予想でしかえがけなかった部分も現地調査をすることでより正確に設計できるようになります。
とちの常置や周辺環境、さらに配管や電気の配線の状況によってはできない設計、大幅に変更しなければならない設計もあります。
見積金額が大きく変わってしまう可能性もあるため、クライアントの要望の範囲内でできることを提案しなければならいません。
実施設計
実施施工とは、リノベーションをするために必要な図面を設計することです。
基本プランを取り入れつつ、現地調査で得た情報とすり合わせて本格的にリノベーションを行うためのプランを設計します。
設計図の他、展開図、賢愚表、仕様書、構造図なども作成します。
この設計図をもとにスケジュールや資材も決定し、最終的な見積人気金額を確定します。
施工管理
リノベーションの設計職は現場の施工管理もおこなうケースが多いです。
既存の物件に手を加えるリノベーションは、実際に配管などを見てから修正が必要になるケースもあり、設計担当者が迅速に対応しなければなりません。
また、クライアントの要望を実現するためにせこうを行う業者とも綿密に打ち合わせをしながら作業を進める必要があります。
ワンストップ型はほとんどない
規模が小さい設計事務所では設計職がクライアントからのヒアリングを行うこともあります。
ですが、営業から設計までワンストップで行うためには長年の経験が必要です。
これからリノベーションの仕事を始める比較的若手の人材や、できたばかりの新しいリノベーション事務所の場合は、営業職と設計職は分かれているケースが多いです。
今後リノベーションの需要が高まり、リノベーション事務所も増えてくれば、ワンストップ型の業務を任される可能性もあります。
リノベーションの設計スキルを高めることはもちろん、ヒアリングスキルや営業スキルも働きながら吸収していきましょう。
リノベーションの設計職の特徴
リノベーションの設計職は、一般の設計職と比べるとさまざまな違いがあります。
基礎からすべて考える新築の設計とは違い、既存の物件の良さを活かした設計を考えなければならないのが難しい点でもあり、やりがいを感じられる点でもあります。
ある程度決まったスタイルを確立できる新築の設計とは違い、リノベーションは毎回依頼される物件に違いがあります。
毎回違う物件に対応しなければならないため、常に学びながら成長できる環境でもあります。
また、新築のように一から設計していく必要がない分一つの依頼にかかる時間も少なく、年間を通してより多くの物件に対応できるという点もメリットです。
今後リノベーション業界で活躍したいのであれば、どんどん経験を積んで実績を残していくことが大切です。
リノベーション業界で培った設計や現場監督の経験は、リノベーション業界だけでなく建築業界全般でも通用します。
自身のさらなるキャリアアップのためにも、リノベーションの設計職の経験、知識はおおいに役立つでしょう。
リノベーションの設計職に必要な資格やスキル
リノベーションに特化した特別な資格はありませんが、既存の物件に手を加える以上、建築関連のスキルは必要です。
リノベーション事務所によって求められる資格やスキルは違いますが、最低限の資格スキルは用意しておきましょう。
建築士資格
建築業界で活躍する上で必須となるのが建築士資格です。
国家資格であり、建築士資格を所有していなければできない業務は多数あります。
戸建てのリノベーションであれば二級建築士の資格で十分です。
しかし、オフィスや宿泊施設など大型の建築物のリノベーションをしたい、今後リノベーション事務所を立ち上げたいとお考えの方は、一級建築士の資格を取得しておくと良いでしょう。
一級建築士資格を取得するには、二級建築士資格受験よりも厳しい条件や実務経験が求められます。
建築施工管理技士
リノベーションの現場では設計職が施工管理を行うことが多いため、建築施工管理技士資格も必要です。
事務所によっては必須ではありませんが、今後リノベーション業界で活躍することを検討しているのであれば早めに取得を目指しましょう。
建築施工管理技士資格には一級と二級があります。
二級では一般的な建築物の専任技術者、主任技術者として現場をまとめることができ、一級ではより大規模な建築物の専任技術者、主任技術者、さらに管理技術者として配置されます。
インテリアや内装のセンスも必須
リノベーションは古い建築物をより住みやすくするためだけでなく、おしゃれでハイセンスな住まいにしたいと考える方からの依頼も多いです。
多様化する家族の在り方や価値観に対応する、最新のトレンドを把握するスキルが必要です。
リノベーションの設計職は基本的な部分の設計だけでなくインテリアや内装まで考えることも多いため、これらの知識、センスも求められます。
日頃からハイセンスな建築物、内装をよくチェックし、自身の設計に活かせるようにしましょう。
リノベーションの設計職を目指そう
リノベーションの設計職の仕事内容や必要資格について解説しました。
リノベーションの設計職は一般的な設計職とは違い、既存の物件にどのように手を加えればよいかを考えたり、解体できない部分を経験や想像から補ったりしなければならないのが特徴です。
インテリア、内装についてアドバイスをすることも多く、建築、内装、デザインの幅広い知識が必要です。
大変ではありますが成長しがいもあり、今後も拡大が期待される市場です。
リノベーション業界へ転職、就職して、自分の可能性をさらに広げましょう。
下記の記事では、リノベーション業界についてさらに詳しく解説しています。今後リノベーション業界への転職、就職を検討している方、リノベーション業界の将来性をチェックしたい方はぜひ参考にしてください。