建築現場を指揮する施工管理は、その名の通り建築現場に関するあらゆる物事を管理しなければなりません。安全、品質、工程といった点の他、原価を管理するのも施工管理の業務の一つです。
原価管理には材料費や人件費といった建築現場で必要な費用を計算するスキルなどが求められます。
施行管理として活躍したい、スキルアップしたいという方は、それぞれの管理の内容について今一度よく確認し、欠けていると感じるスキルを磨いていくことが大切です。
施行管理の原価管理の業務内容
施行管理の中の大切な管理の一つ、原価管理について解説します。原価管理とは具体的に何をするのかを理解していきましょう。
工事にかかる費用や工事で得られる利益などを計算しながら、その計算結果通りになるよう作業を進めていくのが原価管理の大切な仕事です。
企業の利益や損失につながる重要な部分となりますので、ミスや漏れのないようにしなければなりません。
その工事で得られる利益を計算する
原価管理は建築現場だけでなく、工事が始まる前からスタートします。
その工事を請けることでどれくらいの利益が得られるかを計算し、その上で工事の依頼を請けるかどうかを決定します。
依頼を請ける場合はその金額から工事に使う金額を計算します。
工事の費用にいくらかかって、利益がどれくらいになるかを事前にある程度計算しておくことは非常に大切です。
依頼を請けた金額いっぱいまで工事費用に充ててしまうと会社にとっての利益がほとんどなくなってしまいます。少しでも企業の利益を増やすためにはいくらの金額で仕事を請ける必要があるのかを考えなければなりません。
利益がより高くなる工期を考える
仕事を請けたら工事にかかる工期を考えていきますが、工期が長引けば長引くほど余計な費用がかかってしまいます。
この際に利益を出したいからといって手抜き工事をするわけにはいきません。場合によっては違法となりますし、クライアントや社会からの信頼も失ってしまいます。
必要な工事はきちんとおこないつつ、より利益を出すためにはどんな工夫が必要かを考えなければなりません。
建築現場に必要な費用は材料費の他、労務費、外注費、機械費。水道光熱費、通信費、保険料、交通費、備品費などがあります。これらの中からカットできる部分はないかをよく考えましょう。
その上で無理なく作業を進められる工期を考え、適切な費用内で収まるようにすることが大切です。
利益を維持しながら作業を進める
実際の作業がスタートしても原価管理の仕事は続きます。
予定通りの利益が出ているか、想定以上の支出が多くないかを確認しましょう。
材料費が当初の予定よりもかかってしまった、空調代が高額になったなど、支出が増えてしまう可能性は多いです。
トラブルは避けて通れない建築現場では、事故や人員の欠如によるスケジュールの変更、それに伴う追加の費用などもかかります。
その上で当初に計算した利益をどう守っていくかは原価管理の重要な責任です。
思わぬ支出に早い段階で気づけるように、こまめに収支の確認をすることが大切です。
追加費用の計算、提案をする
当初の予定よりも支出が多くなってしまうことは珍しくありません。
その場合、備品など節約できる部分を節約して利益を減らさないようにするのはもちろん、どうしても不足する場合は会社へ予算の修正を提案しなければなりません。
いくらの金額が何の作業のために必要なのか、その必要性を明確にした上で費用を増やしてもらうように提案しましょう。
費用の増額については施行管理の担当者一人では判断しきれないケースもあります。大規模な工事の場合、会社やクライアントと一緒に考えていくこともあります。
費用を記録し、最終的な利益を計算する
工事にかかった費用はその都度細かく記録していかなければなりません。そうすることで原価管理の透明性がアップするだけでなく、最終的にどれくらいの利益を得られるかが計算しやすくなります。
建築現場では予算を修正することも多く、当初の予想と最終的な利益が大きく違ってしまうことも珍しくありません。
その差を少しでも減らすのが原価管理の大切な仕事の一つです。
これらの記録はその工事における利益を計算するためでなく、次回以降にいくらの金額で工事を受けるべきなのかを考える際の資料にもなります。
施行管理の原価管理に必要なスキル
施行管理の原価管理にはどんなスキルが必要なのかを解説します。
お金を扱う業務ですので基本的な計算スキルはもちろん、施工管理のその他の業務にも求められる対応力やコミュニケーションスキルなども重要です。
基本的な計算スキル
まずは基本的な計算のスキルです。
もともと数字に強いだけでなく、正確な計算ができる、ミスや見落としが少ない、根気強く計算を続けられるといったスキルは原価管理においておおいに役立ちます。
材料費を安く抑える方法を考えたり、節税対策をおこなったりして原価を決定し、その結果どれだけの利益が発生するかを考えていくのが原価管理の仕事の一つです。
建築現場、施工管理ならではの費用の計算、税金や保険料などの計算など、法律に関連する数字の知識も必要になります。必要であれば税金などのお金に関する資格の勉強をして知識を身に着けましょう。
スケジュールを管理するスキル
スケジュールに遅れが発生するとその分余計なコストがかかり、会社の利益を減らす結果になってしまいます。
そのため、スケジュールを管理して納期を守るスキルは必要です。
建築現場は一人の力ではどうにもならないことも多く、天候や天災の影響で作業がストップしてしまうこともあります。
そんなときに工期をどう見直せば損失を最小限にできるのかを即座に考えるスキルも求められます。
また、作業を効率化するスケジュールを作成することで、より納期を短く、会社の利益を多くすることも可能です。
コミュニケーションスキル
原価管理はひたすら計算をするだけの業務に思えますが、コミュニケーションスキルも求められる仕事です。
材料を仕入れる、人材を派遣してもらう、作業を外注するといった際、他の業者とさまざまなやり取りをしなければなりません。ときには金額の交渉をおこなうこともあります。
スムーズにやり取りができるようなコミュニケーションスキルは必須と言えます。
また、作業内容や変更内容などを作業員に正確に伝えること、予算の内容、修正案などを会社やクライアントに正確に伝えることも大切です。
臨機応変に対応するスキル
事前にきちんと予算や利益を計算していても、作業が進む内にズレが生じます。
このズレに対して臨機応変に対応するスキルは大切です。
想定以上の支出に気づかないまま長期間作業を進めていたり、修正方法がわからないまま日数が経過したりしてしまうと会社の損失が多くなってしまうので注意しましょう。
建築現場を維持する原価管理について理解しよう
建築現場を守る施工管理の大切な業務の一つ、原価管理について詳しく解説しました。
原価管理をおこなうことで会社は利益を見通しやすくなり、いくらの金額で仕事を請ければいいのかを把握しやすくなります。
作業を進めながらかかった費用や足りない費用などを計算し、速やかに修正、対応していくことも原価管理の大切な仕事です。
依頼の規模が大きくなればなるほど扱う金額も当然高額になりますので、計算スキルやお金に関する知識は常に高めていきましょう。