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建築業で知っておきたい省エネとは?法律の内容や対象、義務について解説

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日本は地震、台風、津波など、自然災害が非常に多い国です。

そんな環境で安定して暮らしていくためには、エネルギーを上手に節約する仕組み作りも大切です。

2015年に開催されたCOP21で温室効果ガスの排出量削減について話し合われ、日本でもより地球環境に優しい生活に注目が集まるようになりました。

2030年までに家庭や企業での消費エネルギーを40%削減するために、建築業界でもさまざまな試みが取り入れられています。

毎日多くの時間を過ごすことになる住宅やオフィスにおいて、どのような法律があるのかを確認しましょう。

今後建築業界で働いていくために欠かせない知識である省エネ関連の法律を解説します。

建築業界で大切な建築物省エネ法

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建築物の省エネに関する法律が初めてできたのは2015年です。当時は建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律として公布されました。

それから内容が改正されていき、現在は建築物省エネ法として公布されています。さらに2025年からは改正建築物省エネ法が施行されます。

建築物省エネ法は、規制と誘導の二つで構成されています。

誘導装置は任意ではありますが、国が指定する省エネの基準を満たしていると省エネ基準適合認定マークが付与されます。

住宅だけでなくオフィスや商業施設にこのマークがあることで企業のイメージアップにもつながります。

既製装置は義務であり、下記で解説する通り一定基準以上の建築物が対象です。

たに建築する際、既存の建物を改修する際、省エネ法に適合しているかを確認されます。

届出義務も発生し、必要であれば指示や勧告がなされます。

エネルギー消費が少ない建築物を推奨する法律もあり、今後ますます省エネ法に対応した建築物は増えていくことが予想されます。

改正建築物省エネ法の対象

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改正建築物省エネ法について詳しく見ていきましょう。

誘導措置と規制措置のそれぞれについて解説します。

誘導措置

2016年から始まったのが誘導措置です。

誘導措置は任意であり、強制ではありません。

ですが、省エネの効果が高い建築物へ誘導することで、容積率の特例が認められるなどのメリットがあります。

誘導措置が適用されるのは既存の建築物、新築の建築物すべてです。

建築物を所有している人は届出を提出し、建築物の省エネ性が認められると認証マークをもらえます。

規制措置

2017年からスタートしたのが規制措置です。

規制措置は義務であり、かならず守る必要があります。

誘導措置とどんな点が違うのかを解説します。

省エネ基準適合義務・適合性判定義務

住宅以外の2000平方メートル以上の建築物を新築したり増改築したりする際に、省エネ基準を満たす必要があるという義務です。

これまでは任意でしたが、この法令によりすべての建築物の届出が必要になりました。

また、改正された改正建築物省エネ法では床面積が300平方メートル以上の場合届出を出す必要があると変更されました。

省エネ計画の届け出

上記の通り、床面積が300平方メートル以上の建築物を新築、増改築する際は、省エネ計画に関する届け出を提出しなければなりません。

改正建築物省エネ法が提示している基準に満たない建築物は行政が変更に関する指示、命令ができます。

省エネ基準を満たさないまま届出を提出すると変更の指示があり、スムーズに実際の作業に入れない可能性があります。

住宅トップランナー制度

住宅トップランナー制度とは省エネ効果が高い住宅の供給を増やすことを目的とした制度です。

2017年に交付された建築物省エネ法では、150戸以上の新築戸建てを取り扱っている事業者が対象でした。

建築業界の省エネ工事の種類

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建築において、省エネに関するさまざまな工事内容があります。

どんな例があるのか、その一部を解説します。

今後ますます厳しくなる省エネ化に向けた法律に備えて、どんな工事内容があるかを確認し、実践していくことが大切です。

外皮性能を高める工事

外皮性能は、建築物の外壁や床、屋根、天井など、その建築物の外部を覆っている部分の性能を指します。

省エネは設備や内部の構造だけでなく、外部も大切です。

熱を逃しやすい素材、塗料を使えば自宅でエアコンを使う頻度が下がり、設定温度を下げすぎる心配もありません。

建築物の内部を一定の気温に保ちやすいほど評価は高くなります。

外皮平均熱貫流率と冷房期の平均日射熱取得率の二つの基準があります。

外皮平均熱貫流率は室内から室外に逃げていく熱がどれほど小さいかを測るものです。

断熱効果がどれくらい高いかを判断します。

冷房期の平均日射熱取得率は日光をどれほど遮るかを数値化したものです。

外部から室内にかけてどれくらい熱が入ってくるかを判断します。

この二つの基準で判断し、夏は涼しく、冬は暖かい構造として判断される必要があります。

一次エネルギー消費を下げる工事

建築物における一次エネルギーとは、冷暖房、照明、給湯、換気、さらに家電に使われる電力のことです。

一次エネルギーの消費量は一定の基準が設定されており、これを下回る設計を提出しなければなりません。

ZEH、スマートハウス、LCCM

省エネ効果が高い住宅に対して、国はさまざまなサポートをおこなっています。

その中でも代表的なのがZEH、スマートハウス、LCCMです。

ZEHはネットゼロエネルギーハウスの略称で、住宅全体でエネルギーの収支をゼロにしようというものです。

太陽光など、自然の力からエネルギーを生み出し、住宅内で消費していく設計です。

住宅の光熱費を抑えられるだけでなく、余った電力を販売できるという魅力もあります。

スマートハウス家電などに使われる電力を抑制し、効率的にエネルギーを使うことを目的とした住宅です。

外出先でも家電の電源を操作できたり、タイマー機能や温度の変更を自由自在にできるものです。

住宅にいない間も住宅で使用している電力が把握できます。

さらにLCCMZEHをさらに追及した構造の住宅です。

ライフサイクルカーボンマイナスの略称であり、建築の段階から廃棄するまでの長い目で見て、最終的に二酸化炭素の排出量をマイナスにすることを目的としています。

住宅は建築するときだけでなく、解体する際にも二酸化炭素を排出します。その排出量を大幅に抑える仕組みになっています。

ZEHと同じく太陽光発電などを用いて、住んでいるときにも二酸化炭素の排出量を抑える工夫がされています。

建築業界で重要な省エネ関連の法律を確認しよう

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温室効果ガスの排出量を抑え、少ないエネルギーで最大限の電力を生み出す省エネは、さまざまな観点から注目され、実行に移されています。

家電や車などがその一例ですが、とくに長時間、大きな電力を使い続けるのが住宅やビルなどの建築物です。

建築物を省エネ対応にすることで大幅に消費エネルギーを抑えられ、日本が目標としている消費エネルギー40%削減に近づくことができます。

建築業界で働き続ける上で、省エネに関する法律の確認は欠かせません。

より省エネに適した建築物を設計することでイメージアップにつながり、新しい事業の開発にも踏み出せます。

今回解説した建築物省エネ法についてもさらに理解を深め、変更、追加情報なども常に確認しましょう。

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