近年、話題になっている「エコ住宅」「省エネ住宅」。
地球環境や家計に優しい住宅ということで、住宅業界の新常識となりつつあり、マイホームを建てる際にエコ住宅にする家庭も増加しています。
今回は、そんな「エコ住宅」に関して、種類や特徴・メリットやデメリットなどを色々とご紹介していきたいと思います。
エコ住宅とは
概要
エコと一言にいっても様々な手段があります。
例えば、電気をこまめに消したり、エアコンの温度を高めに設定したり……これらは日常の生活の中で意識して行えるものです。
では、エコ住宅はこれと何が違うのでしょうか。
エコ住宅は、端的にいうと”自然のエネルギーを利用する設備を備えた家”のことです。
太陽光発電やオール電化システムを利用して電気を使用したり、気密性や断熱性を高めて建物の温度差を少なくすることができます。
そうすることで、二酸化炭素の排出量を削減して環境に配慮でき、光熱費を削減し家計の支出も抑えることができるのです。
メリット
エコ住宅にするメリットは、下記が挙げられます。
2.寒暖差が少なく、家のメンテナンスが容易
3.自然災害時にも有効
4.補助金制度がある
それぞれ、もう少し詳しくお話していきます。
【1. 光熱費を抑えることができる】
エコ住宅にする一番のメリットは、光熱費の削減です。
- 太陽光発電
- オール電化システム
- 気密性や断熱性を高めた設計
日々の生活の中で必ず使用する機会がある”電気・ガス・エアコン”などの使用率を減らすことで、光熱費を大幅に削減することが可能となります。
あくまで一例ではありますが、エコシステムを多く取り入れることで、このような削減ができる場合もあります。
※上画像はあくまで一例です。利用方法により金額は異なりますので、参考程度にご覧ください※
【2. 寒暖差が少なく、家のメンテナンスが容易】
高断熱・高気密を実現する設備の一つに「アルミ樹脂複合サッシ」というものがあります。
室外側にアルミサッシ・室内側に樹脂サッシを採用し、高断熱・高気密を実現しています。
これにより、居住内の熱伝導効率が増し外部の熱も伝えにくい構造となることから、通常の住宅よりも寒暖差が少なくなるのです。
また、冬は窓に結露が発生することがあります。
放置しているとカビの原因となってしまいますが、アルミ樹脂複合サッシは結露の発生も抑えることが可能です。
結露・カビの減少により、居住者の健康を害する要因も減り・家の耐久性も高くなり・メンテナンスの手間も削減します。
【3. 自然災害時にも有効】
これは太陽光発電を導入している場合にはなりますが、仮に自然災害などで電気の供給が止まってしまった場合でも、電気を使用することができます。
蓄電池を設置することで、電気を蓄電することも可能です。
【4. 補助金制度がある】
エコ住宅(環境省ではエコハウスと呼ばれている)は、政府の推進事業であり、いくつかの補助金制度が用意されています。
国の事業としての制度は下記があります。
住宅ローン減税(すまい給付金) ※令和3年まで実施予定※
他にも、各自治体が独自に行っている補助金制度なども存在します。
もしエコ住宅を検討されている方がいらっしゃれば、
- 「どこに住まいを建てるか?」
- 「利用できる補助金は何か?」
などを、事前に確認してみることをオススメします。
デメリット
【1. 初期費用が高い】
補助金や税金の優遇制度を受けられる可能性がある
将来的に光熱費を節約できる
こういったメリットがあるものの、工事の際には諸々の費用を全額支払うことになるため、通常の一戸建てやマンションを購入するよりも費用は割高になってしまいます。
【2. エコ住宅に精通している業者を探す必要がある】
例えば、断熱材の厚みや種類は地域によって指定されています。
土地の地質や気候に詳しく、省エネ性の評価基準を満たすように計算をしていく必要があるのです。
また、エコ住宅や省エネ住宅に関する技術というのは、まだまだ発展途上です。
国土交通省の次世代省エネルギー基準は2013年に変更されたばかりですし、補助金や税金の優遇制度も今後変更される可能性だってあります。
こういった状況にしっかりと対応できる業者を見定めて、依頼をしていく必要はあります。
【3. コストを考慮した依頼を心掛けること】
これはデメリットというよりも”注意点”ではありますが、家族のライフスタイルに合わせたエコ住宅を検討していく必要があります。
例えば、運用方法が想定していたものと違っていた場合、かえってコストがかかってしまうことがあります。
また、新築を建てる(リフォームする)際に、
- 「せっかくマイホームを建てるんだし……」
- 「補助金もでるし……」
など、本来必要でないものまで設置に踏み切ってしまう場合もあります。
工事が始まってから変更してしまうと、工期の遅れや追加工事が発生する可能性もあり、業者の方にも迷惑がかかってしまいます。
設計の段階で「家族にとって何が必要か?」を検討し、納得の上で進めていくことが大切かと思います。
次世代エコポイント制度とは
これは、消費税率10%が適用される一定の性能を満たす住宅の新築やリフォームを行った方を対象とした制度のことです。
対象となる住宅は、下記が該当します。
・新築分譲住宅の購入
・リフォーム
そして、対象となる工事を行うことでポイントが付与され、ポイントに応じて対象商品の中から好きな商品を交換できます。
制度全体の流れは下画像のようになっています。
尚、ポイントには有効期限が存在しますので、期限切れにはご注意下さい。
申請方法・交換対象商品などの詳細は、【国土交通省 公式HP-次世代住宅ポイント】に記載されておりますので、参考にしてみて下さい。
太陽光発電とは
概要
これは、太陽電池を用いて”太陽光を直接的に電力に変換する”発電方式のことです。
太陽電池を繋げて大きなパネルにした「ソーラーパネル」を屋根に設置し、これで太陽光を電力に変換、日々の生活に役立てていくのです。
さらに蓄電池を設置し電力を充電することで、夜間や天候の悪い日・停電などの災害時にも活用することが可能となります。
「光熱費を削減できる」「環境に優しい」という理由から導入を検討する世帯が年々増加しているようです。
また、後述するオール電化システムとも相性が良いので、併せて導入をすることで更なる経費削減を行うこともできます。
雑所得について
これまでにお話してきたメリットに加え、「売電収入」という雑所得を得ることができます。
これは、太陽光発電で発電した電力を、電力会社などに売却することで得られる収入のことです。
太陽光によって作られた電気は、7割が売電収入に、残り3割が自家消費に利用されています。
日々の光熱費の削減とこの収入を併せていくと、10年ほどで初期にかかる費用を回収できることが多いようです(ご家庭の使用状況により変動します)。
尚、”所得税や固定資産税の対象になる”ケースもあります……が、基本的に課税対象になることはほぼありません。
【所得税について】
売電は雑所得であるため、確かに課税対象となることがあります。
しかし、雑所得は”年間20万円を上回る”ことで確定申告が必要となり、規模が住宅用の場合は、売電のみで年間20万円以上の収入を得ることはほぼ不可能です。
【固定資産税について】
これは、下記のようにタイプによって対象かそうでないかが変わります。
- 課税対象:屋根材の役割も果たしているタイプ
- 課税非対象:屋根の上に置くタイプ
屋根の上に置くタイプが一般的であることから、こちらも課税の対象になることはほとんどありません。
念のため、設置する際に依頼する業者の人にも確認を取るといいかと思います。
設置には細心の注意が必要
太陽光発電の設置は、メリットばかりではありません。
以下に、注意すべき点を箇条書きでまとめてみます。
2.メンテナンスを必要とする
3.天候に左右される
4.設置に向かない家も存在する
5.パネルの重さが屋根の負担となる場合がある
6.反射光による近隣トラブルが発生する可能性がある
7.パワーコンディショナーを設置する場所が必要
8.出力制御が発生することもある
9.詐欺に遭うリスクがある
10.施工不良のリスクがある
11.業者の倒産リスクがある
1.~8.に関しては、依頼する業者の人と話を進めていく中で、最善の方法を見つけていくのがベストかと思います。
問題は、9.~11.です。
- 「初期費用が安い」
- 「無償で長期間のメンテナンスなどのサービスを提供する」
- 「契約を急かしてくる」
こういった提案をしてくる業者は特に要注意です。
後に様々なトラブルに発展する可能性があるため、依頼する業者はしっかりと見極めていく必要があります。
大切なのは”相場を知る”ことと”複数の会社に相談・見積もりをお願いする”ことです。
後は、依頼する業者が、”下請け会社”か”自社施工”かを確認することも大事です。
下請けの場合、そこから工事会社に仕事を依頼する流れになるため、連携が上手く取れずに工事費用が高くなりやすく低品質になりやすい、という問題が生じることがあります。
ただし、販売店側は”下請けであることを敢えて口にしない”こともあり、これに関しては会社のホームページや口コミなどで、依頼するご本人が確認を取った方が良いかと思います。
オール電化システム(住宅)とは
特徴
これは、IHクッキングヒーターやエコキュートなどの機器を導入することで、調理・給湯・冷暖房などに使用するエネルギーを全て電気でまかなうシステムのことです。
全て電気を利用することから、
・太陽光発電と相性が良い
・ガスの基本料金が発生しない
・ガスを使用しないため、二酸化炭素が排出されず環境に優しい
・“火を使用しない”ため火災の危険性が低くなり、火災保険の割引も受けられる
という利点があり、光熱費を大幅に抑えることが可能です。
また、新築の場合はガス配管工事が不要となるため、建設コストを抑えることもできます。
ただし、メリットばかりではなくデメリットも存在するため、導入を検討する際はしっかりと情報を入手していく必要はあります。
注意するべき点
まず、初期費用です。
ガスコンロや給湯器と比べ、導入コストが高くなる場合があります。
ただ、この点は”ガス配管工事が不要”ということもあり、新築時などは費用が抑えられる場合もあります。
もう一つの注意点は、”光熱費が割高になる可能性がある”という点です。
電力に一本化することから、原燃料価格の高騰などにより電気料金が上がると、その影響をそのまま受けてしまうことになります。
近年は電気料金が値上げしており、電力会社は特にオール電化住宅向けの料金プランの値上げ幅を大きくしている傾向にあります。
また、オール電化住宅は、夜間の余剰電力を利用してお湯を炊き上げ、それを日中に使用することがほとんどです。
深夜割引プランなどを提案してくる営業の人もいますが、現状は特にその夜間の電気料金そのものの値上げが行われています。
そのため、”光熱費がお得になる”という謳い文句だけを切り取って導入してしまうと、「逆に光熱費が上がってしまった……」と後で後悔する事態にも陥ってしまうことがあります。
加えて、オール電化住宅は昼間の電気料金が高額となる場合があります。
仮に夜間の電気料金が割安になったとしても、お子様やお年を召した方・在宅勤務されている方など”日中に家にいる機会が多い”というご家庭の場合は、これも光熱費が増えてしまう原因となってしまいます。
オール電化を導入してしまうとガスとの併用が難しくなります。
もし電気が使えない環境に陥ってしまった場合、ガスに頼ることができなくなってしまうため、検討する際は慎重に事を進めていく必要があるといえます。
訪問販売トラブルにもご注意を
もう一つの問題点として、オール電化の訪問販売トラブルが挙げられます。
内容は太陽光発電の時と似たものになりますが、メリットばかりを強調してくる業者は要注意です。
もちろん、オール電化システム自体にはメリットも存在し、うまく活用すれば経費削減を行うこともできます。
上述でもお伝えしたように、大切なのは”相場を知る”ことと”複数の会社に相談・見積もりをお願いする”ことです。
親身に相談に乗り、最適な提案・工事を行ってくれる業者も数多く存在します。
冷静に状況を判断し「本当に導入すべきなのか?」と様々な検討をした上で、信頼できる業者に仕事を依頼するようにして下さい。
まとめ
エコ住宅は、メリット・デメリットが明確に存在するため、導入する際は事前にしっかりと情報を集め検討を行っていく必要があります。
一度工事が開始されれば、依頼内容を変更することは困難となります。
新築・リフォームどちらであっても多額の費用が発生してしまうため、熟考した上で信頼する業者に作業を依頼するよう心掛けて下さい。