建築業界にはさまざまなタブーがあります。
依頼主とのやり取りや現場での作業、そして転職時の行動など、知らない間にタブーを犯してしまわないように注意しましょう。
今回は建築業界でタブーとされていることを10個紹介します。
今後建築業界で働きたい方、現在建築業界で働いている方はぜひ参考にしてください。
依頼主との間で注意したいタブー
建築の仕事は依頼があってこそ成り立ちます。
依頼主とは信頼関係を築くことも大切ですが、その分守らなければならない暗黙の了解もたくさんあります。
双方が気持ちよくやりとりできるよう、そして次の仕事につながるよう心がけましょう。
元請け業者を通さずに依頼主と契約する
建築業界でよくあるのが、元請け業者を通さずに依頼主と契約してしまうケースです。
依頼主はできるだけコストを抑えて依頼したいため、下請け業者に契約を持ちかけることがあります。
直接下請け業者に依頼すれば中間マージンが発生しないため、下請け業者にとってもメリットがあります。
ですが万が一トラブルが発生した際、責任を問われるのは元請け業者です。
このような事実が発覚した場合、元請け業者との信頼関係に大きく影響します。
次回以降下請けの依頼をしてもらえなくなり、仕事がなくなる可能性もあります。
目先の利益にだけ囚われないことが大切です。
依頼主に原価を教える
依頼主に原価を教えると「じゃあもっと安くできるはず」と値下げ交渉の材料にされてしまいます。
建築には資材や人件費など、さまざまなコストがかかり、その上で利益を得られるだけの金額を上乗せしなければなりません。
原価を教えると利益を取りすぎだと思われてしまいます。
建築会社やハウスメーカーの中には原価を教えて信頼してもらうよう努めるところもありますが、無理に教える必要はありません。
また、うっかり漏らしてしまうといったことがないよう注意が必要です。
設計変更の費用を請求しない
依頼主側から、契約後に設計変更を希望されることがあります。
設計にはデザインだけでなく基礎や外装、内装なども含まれます。
依頼主にとっては一部分のみの変更に見えても、その一部分を変更するために他を大幅に変更しなければならない可能性もあります。
そして変更後には資材の数や人材の調達、スケジュールの確保など、さまざまな調整をおこなわなければなりません。
設計変更後は追加料金を加算するのが一般的ですが、クレームを避ける、信頼関係を壊したくないといった理由から費用を請求しない建築会社もあります。
そうなると依頼主は「別の会社では請求されなかった」「前回は請求しなかった」と、次回以降の依頼でトラブルになる可能性があります。
業界全体にもかかわるので、必要な費用はきちんと説明した上で請求しましょう。
設計変更の費用を支払わない
依頼主が設計変更後に費用を支払わないというトラブルもあります。
上記で解説したように、契約後の設計変更にはさまざまなコストがかかります。
その分を請求されるのは当然のことです。
ですが「以前は請求されなかった」「別の会社では請求されなかった」といった場合に、支払いを拒否する依頼主もいます。
金銭に関するトラブルは大きな問題に発展しやすく、信頼関係を失うだけでなく場合によっては訴訟問題になる可能性もあります。
金銭面は契約書をよく確認し、必要な費用は必ず支払うようにしてください。
現場の作業で注意したいタブー
建築現場でもさまざまなタブーがあります。
安全な工事をおこなうために、守らなければならないルールを確認しましょう。
目の前の作業ばかりしてしまう
建築現場の仕事の中でも、施工管理は現場全体をまとめてスピーディーに、安全に作業を進めるよう管理するのが仕事です。
ですが若手の施工管理は自分が何をすればいいのかわからず、目先の作業ばかりに集中してしまうケースが珍しくありません。
とくに重機を熱かったり重たい資材を運んだりする際、事故があったらその責任は施工管理が負わなければなりません。
目先の作業に集中するのは現場の職人の仕事です。
施工管理は全体を見渡し、施工管理としてできることを考えましょう。
安全確保をおろそかにする
毎日建築現場で作業をしていると、安全の確保もおろそかになりがちです。
安全ベルトやヘルメットをしない、周辺の確認をしないなど、「いつも大丈夫だから」という油断が最悪の事態を引き起こします。
法律でさまざまな安全確保が義務付けられていますが、それらを守ることはもちろん、いつも新鮮な気持ちで気を引き締めて作業に取り掛からなければなりません。
迷信を軽視する
日本にはさまざまな迷信や言い伝えが残っています。
お地蔵様が出てきたらきちんと処理をしてから作業をしなければならない、雨の日は山の神様が降りてきているから山に入ってはいけないなど、現代の価値観で考えればばからしいと思えるようなものもあります。
ですが軽視すると思わぬトラブルや事故につながる可能性もあります。
あのときああしていればという後悔をなくすためにも、郷に入っては郷に従えの精神を守ることも大切です。
転職時に注意したいタブー
建築業界の転職時にもさまざまなタブーがあります。
明確に禁止されているわけではないので線引きが難しいですが、今後快適に働き続けるためにも、転職時のタブーをあらかじめ確認しておきましょう。
競業避止義務を破る
競業避止義務とは、雇用契約の際に「退職後〇年間は同業に転職しない」といった契約をするものです。
退職後すぐに同業に転職されると、その会社が作り上げてきたノウハウや技術、スキルが他社に流出してしまいます。
優秀な人材やノウハウを確保するためにも競業避止義務があります。
ですが日本国憲法では職業選択の自由があり、競業避止義務の契約をしたからといって罰せられることはありません。
ただし、ノウハウは技術が流出したことで前職の企業に重大な損失を与えた場合は裁判で負けてしまう可能性があります。
取引先に引き抜かれる
建築業界では、取引先からうちに来ないか?と声がかかることも少なくありません。
元請けと下請けの関係から、自社で活躍する人材になってもらえた方がその企業にとってメリットが多いためです。
引き抜かれる側にとっても、好待遇で転職できるのは大きなメリットです。
転職先探しの手間もかからず、信頼できる企業に転職できます。
引き抜きに応じるのは、先ほど紹介した日本国憲法の職業選択の自由があるため悪いことではありません。
ですが、今後前職の企業とも取引をする可能性がある場合は心象がかなり悪くなることは理解しておかなければなりません。
転職先で上手くいかなくなったときも出戻ることができず、新たな転職先を探さなければなりません。
面接時に前職の悪口を言う
転職活動中に前職の悪口を言うと印象が悪くなるだけでなく、その内容が伝わってしまう可能性もあります。
建築業界はさまざまなつながりがあり、どこで誰が話を聞いているかわかりません。
従業員の扱いが悪い、賃金が低い、上司と息が合わないなどさまざまな理由がありますが、直接的なことを言うのは面接官にも良い印象を与えません。
転職理由を聞かれたら前職の悪口を言うのではなく、前向きな転職理由を用意しておきましょう。