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建築業界にもテレワーク?難しいと言われる理由や実例を紹介

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新型コロナウイルスは私たちの生活だけでなく働き方にも大きな変化をもたらしました。

「テレワーク」「リモートワーク」「在宅勤務」といった言葉が浸透しつつありますが、建築業界ではこのテレワークを取り入れるのは難しいと言われています。

その理由や、実際にテレワークを導入するためのポイント、課題などを見ていきましょう。

変化を求めにくい建築業界ですが、テレワークを取り入れることでさまざまなメリットを得られます。

建築業界のテレワーク実施率は最下位!

感染力の高い新型コロナウイルスの感染拡大防止策として、テレワークの実施が推奨されてきた昨今。

実際にテレワーク化はどれくらい進んでいるのかを東京商工会議所が調査した結果があります。

2020年9月から10月におこなわれたこの調査では製造業、卸売業、小売業、サービス業、建築業の中で、建築業がもっともテレワークの実施が進んでいないという結果になりました。

一時的に取り入れたものの生産性が低くなってしまった、現場での仕事がスムーズにできなくなってしまったという理由からテレワークを取りやめた建築業も多いです。

建築業はどうしてテレワークを導入しにくいのか、今回の調査結果から考えていきましょう。

建築業界がテレワークを導入しにくい理由

建築業界はさまざまな業界の中でもテレワークを導入しにくいと言われています。

現場での仕事が多く、ITに不慣れな層が多いといった背景があり、今後の大きな課題にもなっています。

これらの点について一つひとつ見ていきましょう。

現場での作業はテレワークでは不可能

建築の仕事は何と言っても現場での仕事がメインです。

実際に建物が建つ場所で作業をしなければ仕事を進められないため、テレワークは実質的に不可能です。

ですがテレワーク化できる仕事も中にはあるのも事実です。

「建築は現場仕事だからテレワークは無理」と最初から決めつけてしまう企業も多く、その結果テレワークの実施率が下がってしまいます。

ITに不慣れな世代が多く働いている

テレワークはパソコンを使用するのはもちろん、さまざまなソフトやツールを駆使しなければなりません。

日頃からこれらを使い慣れている若い世代はテレワークの導入にも抵抗を感じませんが、これまでアナログな方法で働いていた高齢者にとっては大きな負担となってしまいます。

とくに建築業界は働き手の高齢化が進んでおり、若い世代の働き手も非常に少ないです。

テレワークを取り入れたくても何からすればいいのかわからない、他の従業員から反対されてテレワーク化を進められない、導入したものの慣れるまでに時間をロスしてしまうなどの問題を抱えています。

テレワークを導入できる若手、教えられる若手も少ないので、テレワークの実施が大幅に遅れてしまっている状況です。

紙媒体で仕事を進めることが多い

建築業界の仕事は紙媒体でのやり取りが非常に多いです。

設計図はもちろん、クライアントとの打ち合わせの資料やプレゼンの資料、さらに従業員や顧客の管理名簿などをすべて紙媒体で保管している建築会社も少なくありません。

このような紙媒体でのやり取りは直接会って見せる必要があり、テレワークで済ませられないといった問題があります。

事務所に保管してある書類を自宅からチェックできないため出社するしかないといったケースも。

テレワーク導入といった面だけでなくセキュリティ面や今後の業務効率化の面から見ても、書類のデジタル化が急務と言えるでしょう。

他の企業とスムーズなやり取りができない

建築の仕事は一社だけで完結できるものは少なく、多くの場合さまざまな企業、業者、クライアントとのやり取りを進めなければなりません。

テレワークではどうしても早急な対応ができず、メールやチャットに気づかない、連絡がたらいまわしにされてしまうといったことも起こります。

建築現場は綿密なスケジュールが組まれており、少しの遅れが後々に大きな影響を及ぼします。

他の企業やクライアントなどとスムーズなやり取りができないために建築現場にしわ寄せがきてしまうため、テレワークを取り入れたくても取り入れられないという問題もあります。

建築業でもできるテレワークの仕事

建築業はテレワークの導入は難しい問題ですが、そんな中でもテレワークを導入している建築会社もあります。

実際にはどのような方法でテレワークを導入しているのか、どんな仕事をテレワークに回しているのかをチェックしてみましょう。

CADを利用した図面の制作

図面の作成にCADを利用する建築会社は多いです。CADは数値を入力するだけで簡単に正確な図面を作成できるソフトで、設計士の負担を大幅にカットできます。

CADソフトがパソコンに入っていればどこでも仕事ができるため、事務所でおこなう必要はありません。

図面の制作をメインにおこなうスタッフがいるのであれば、テレワークを推奨しましょう。

CADによる図面の制作を外部に委託している建築会社も多くあります。

家庭の都合、身体上の理由などで出社できない、育児や介護などでフルタイムで働けないといった方にも人気の仕事です。

図面の最終チェック

CADソフトなどで制作した図面を最終的にチェックする作業もテレワークで対応できます。

CADで制作した図面は紙にプリントアウトしてもいいですが、そのままメールに添付したりクラウドに共有することでも他の社員が閲覧できます。

最終的なチェックや細かい部分の調整などもソフトを利用すれば簡単にできますので、積極的にこのようなソフトを利用しましょう。

設計士やCADオペレーターの作業をテレワーク化するだけでも事務所での人の密集や通勤時の感染を大幅に防ぐことができます。

打ち合わせ資料の作成

建築の仕事は打ち合わせも非常に多いです。

クライアントとの打ち合わせだけでなく社内での打ち合わせ、取引先の業者や共同で作業をする企業との打ち合わせもあります。

打ち合わせ自体のリモート化は進んでいますが、資料の作成についてはどうでしょうか。

パソコンを使っての作業はほとんどがテレワークに移行することが可能です。事務所でしか資料作成に必要な書面を確認できない場合は早急に書面のデジタル化、クラウドでの管理を進めるべきでしょう。

作成した資料は同じくクラウド内で共有可能です。

マニュアルを作成したり研修をおこなったりしてすべての従業員がソフトを使いこなせるようにしていきましょう。

事務作業全般

書類の作成、請求書の作成、給与計算などの事務作業全般はテレワークでも可能なものが多いです。

事務所での作業にこだわっている場合はなぜ事務所でおこなう理由があるのかを今一度明確にしましょう。

セキュリティ面などから事務所で作業をしたもらいたい場合は、時間差出勤を推奨する、時短勤務を推奨するといった感染症対策もできます。

建築業がテレワークを導入するための課題

建築業の仕事でもテレワーク化できるものはいくつもありますが、なかなかスムーズにテレワーク化を進められない企業が多いのも事実です。

建築業界のテレワーク化においてどんな課題が残されているのかを考えていきましょう。

インターネットなどの周辺環境を整備する

まずはテレワークに必須のインターネットなどの周辺環境を整備しなければなりません。

最新ソフトに対応していない旧型のパソコンを長く使っていたり、そもそもインターネットについての知識がないまま仕事をしていたりといった高齢の方も多い建築業界ですが、まずはここから始める必要があります。

ですが最新の設備を整えられるほどの余裕がない中小企業も多いです。新しい業務やソフト、ツールの使い方を教育するコストなどを考えると、どうしてもテレワーク化を進められません。

政府はテレワーク化、IT導入のためのさまざまな助成金を用意していますので、これらを積極的に利用しましょう。

リアルタイムのコミュニケーション方法を構築する

建築業界の仕事はスムーズなコミュニケーションが非常に重要です。

連絡が少し遅れるだけでも現場の仕事には大きく影響があります。

メールではチェックが遅れたり、電話では一度に多くの人に連絡事項を伝えられなかったりといった問題があります。

そのため、リアルタイムでコミュニケーションを取る方法を構築する必要があります。

もっとも便利なのはチャットツールを活用することです。チャットツールにもさまざまな種類がありますので、多くの従業員が使いやすいツール、取引先も多く導入しているツールを選ぶようにしましょう。

文字の入力が不慣れな従業員がいる場合はボイスチャット機能のあるツールを使うこともおすすめです。

業務を細分化しテレワーク可能な仕事を見つける

どの業務をテレワーク化できるのかわからない場合、業務を見ずに人を見て判断している可能性が高いです。

「この人の仕事はこれ」といった仕事の割り振り方をしているとその人に聞かなければわからないことやその人しか所持していない資料が多くなり、テレワーク化が難しくなってしまいます。

一旦誰が何の仕事をしているのかは置いておき、業務一つひとつを細分化していきましょう。

業務単体を見ることでテレワーク化できる仕事も見つけやすくなります。

業務を再確認するのは手間のかかる作業ではありますが、これによって無駄な業務、より効率化できる業務を見つけることも可能です。今後より働きやすい環境を作るためにも業務の見直しは定期的におこないましょう。

クラウドツールなどを導入する

書類や資料を紙媒体で管理している場合はデジタル化を進め、クラウドツールなどで共有できるようにしましょう。

テレワークを実施するためには、自宅やどこにいても事務所で作業をするのと同じような環境を作る必要があります。

事務所に行かなければ資料を閲覧できない、特定の人に聞かなければ書類の書き方がわからないといったことがないように、すべての情報をネット上で管理できるようにしましょう。

問題があればその都度フローを見直す

上記で紹介した東京商工会議所の調査結果によると、一時期はテレワークを導入したものの作業効率や生産性が下がったためテレワークを取りやめたという意見も多かったです。

普段からデジタル化、テレワーク化を進めていない企業がいきなりテレワークを完璧にこなそうとしても難しいでしょう。そんなときは少しの失敗でテレワークすべてを取りやめてしまうのではなく、何が問題だったか、どう改善できるかをよく考えてさらにいい働き方を提案することが大切です。

問題点を従業員に挙げてもらう、従業員同士で話し合うなどして改善策を見出していきましょう。

これを繰り返すことでテレワーク化もスムーズに進められるだけでなく、職場環境を改善していくこともできます。

建築業がテレワークを導入することのメリット

建築業はテレワーク化が難しい業界ではありますが、テレワークを進めることでさまざまなメリットを得られます。

コロナ禍の終息後にも役立つメリットが多いですので、今一度確認してください。

無駄な時間やコストをカットし生産性がアップ

テレワークを導入すると、従業員の移動時間を大幅にカットできます。

新幹線での出張では移動費や宿泊費が企業にとって負担となります。

自家用車で移動する場合はガソリン代、車検代、保険料などの維持費も高額です。

もちろん毎日の従業員の交通費もかかります。

ですが移動や出勤が減れば、これらのコストはすべてかからなくなります。

リモートでの打ち合わせや会議を推奨して事務所への出社を減らすことで事務所の光熱費をカットすることも可能です。

コロナ禍でテレワーク化が進み、事務所をよりコンパクトで安い家賃のところに変えたという企業もあります。

移動にかかる時間を別の仕事に回すことができる、休息の時間に使えるなど、従業員の生産性を高めるのにも役立ちます。

育児、介護、高齢化による退職を減らせる

建築の仕事は残業や肉体労働が多く、産休や育休の制度が整っていない企業も多いです。

そのため女性は結婚や出産を機に退職してしまい、その都度新たな人材を募集しなければなりません。建築業界を目指す若者の数は減少傾向にあり、制度を整えない限り新規雇用はどんどん難しくなるでしょう。

ですがテレワークを導入し恒常化すれば、妊娠、出産した女性でも働きやすく、退職する必要がなくなります。これは現在働いている女性社員に対してだけでなく、新しく人材を募集する際にも大きなアピールポイントとなります。

もちろん女性だけでなく、介護をしなければならない若者や体力的な問題などで出社しにくい高齢者にもテレワークは場所に囚われず働きやすいというメリットがあります。

若手の人材の確保につながりやすい

建築業界の中でもとくに中小企業はいまだにアナログな仕事方法をおこなっているところが多く、それ自体が若者から敬遠される理由にもなっています。

新しいことを取り入れない風潮は若者にとっても働きにくく、非効率的な働き方はストレスを溜める原因にもなります。

デジタル化、テレワーク化を積極的に取り入れることで、若者が働きやすい環境作りができます。

新しいことを取り入れているというアピールポイントにもなり、求人を出す際にも注目される企業になれるでしょう。

少子化の影響もあり今後建築業界ではますます人材不足が深刻になることが予想されています。優秀な若手の人材を確保するためにも、若者にとって魅力的な職場環境を作っていきましょう。

従業員一人ひとりの成長につながる

テレワークによって移動時間が減ったり自宅で過ごす時間が増えたりすることで、従業員一人ひとりに大きな心の余裕が生まれます。

職場の人間関係に必要以上に悩まされる心配もなく、自分の働きやすい環境を整えて伸び伸びと集中して仕事に取り組むことができるでしょう。

開いた時間を使って資格取得のために勉強をしたり、より業務を効率化するためにできる対策を考えたりすることも可能です。

テレワークはオンオフのメリハリがつけにくいとも言われていますが、ゆったりと休息を取る時間を増やすことでかえって従業員一人ひとりの生産性を高められます。

家族と向き合う時間が増えた、家事や育児、介護も両立できるようになったなど、より個人に寄り添った働き方も提案できるようになるでしょう。

建築業でもテレワークを取り入れよう

コロナ禍においても現場での作業が多い建築業はテレワーク化を進めにくい現状があります。

ですがテレワーク化できる作業は意外と多く、少しでも出社する回数や移動時間を減らすことで感染症対策につなげられます。

建築業界はIT化が遅れている、高齢化が進んでいるといった問題もありますが、できることから少しずつテレワーク化を進めていきましょう。

感染症対策としてだけでなく、人材不足が叫ばれる建築業においてテレワークにはさまざまなメリットがあります。

建築業界で長く活躍するために、そして優秀な人材を採用するためにも、テレワーク化について今一度じっくり考えてみましょう。

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