空調設備工事の仕事はやりがいを感じられる、給料が高いなどのメリットがたくさんある一方で、きつい、大変だと感じる方も多いです。
実際に転職してから空調設備工事の仕事が自分に合わないと感じると、すぐに離職することになってしまいます。
事前にどんな点がきついのか、どんなやりがいを感じられるのかといった点から自分に合う仕事かどうかを見極めましょう。
空調設備の工事がきついと感じるポイント
空調設備の工事の仕事はやりがいも多い一方で、きついと感じることもたくさんあります。
空調設備工事をおこなう会社の会社の中には、面接の段階で「この仕事はきついですが続けられますか？」と聞くところもあります。
実際に働いている人はどんな点がきついと感じるのかを見てみましょう。
働く時間も曜日も不定期
空調設備工事はクライアントの依頼内容によって現場に赴く曜日や時間がまったく違います。
新しい建物に空調を設置する場合は日中の仕事がメインですが、学校やオフィス、商業施設などのメンテナンスの場合は利用者がいない夜間に作業をおこなわなければなりません。
作業が深夜にまで及ぶことも多く、規則正しい生活は送れません。
夜勤や不規則な生活にすぐ慣れられる方なら問題ありませんが、最初は大変な思いをすることも多いでしょう。
就職、転職の際は、1週間に夜勤がどれくらいあるのか、リフレッシュ休暇や有休の取得率はどれくらいなのかなどをきちんと確認しておきましょう。
夜間の残業が多くなる
空調設備工事は屋内での作業がほとんどのため、建築のように日が暮れたら作業ができなくなることはありません。
ライトさえあればいつまでも作業ができます。それゆえに、作業時間が長くなり夜間にまで残業が続くことも多いです。
設備工事には残業はつきものですが、どれくらい残業をするのか、遅いときは何時くらいまで働くことになるのかはあらかじめ確認しておきましょう。
中には有給の取得率が高い会社、夜勤の次の日は休みにしてくれる会社など、社員が働きやすい環境作りを徹底している優良な会社もあります。
建築業務の進捗に左右される
設備工事は、建築作業の中でも一番最後の仕上げの作業です。
建築業務が終わり建物が完成しなければ空調設備を導入することはできません。
建築段階でのミスや変更、天候の影響により建築業務が大幅に遅れても、全体の納期は変わりません。仕上げとなる設備工事がギリギリになり、結果残業や夜勤が多くなってしまうということは十分にありえます。
これは建築の仕組み上仕方のないことですので、設備工事会社に就職、転職する際は覚悟しておきましょう。
資格の取得が難しい
空調設備工事の仕事をする上で役立つ資格はたくさんあります。
国家資格である管工事施工管理技士、電気通信工事施工管理技士などは取得すると現場でできる仕事が増え、昇格、昇給のチャンスも倍増します。
ですが国家資格は簡単に取得できるものではありません。筆記、実技、さらに一定年数以上の実務経験も求められます。
国家資格を取得することで得られるメリットはたくさんありますが、取得できるようになるまでに仕事自体を辞めてしまう可能性もあります。
資格の中には民間資格もあり、国家資格よりは難易度は低いです。まずはこのような民間資格から取得し、コツコツ技術を身に着けるようにしましょう。
また、働き続けていれば特別な勉強をしなくても取得できるようになる資格もあります。空調設備に関わる資格もたくさんありますので、転職の際に自分のスキルをアピールするためにもできるだけ多くの資格を取得しておくことをおすすめします。
上下関係が厳しい現場も
空調設備工事の現場は上下関係が厳しいところも多いです。
職人から技術を学ばなければならず、テキストで勉強したことだけではまったく歯が立たないことも珍しくありません。
職人が一から優しく丁寧に教えてくれるわけでもなく、忙しいときには仕事ができない新人はないがしろにされてしまうことも。
厳しい上下関係や職人とのやりとり、現場の雰囲気に耐えられなくなり辞めてしまう方は多いです。
常に前向きに学ぶ姿勢を持てる人、コミュニケーションを取るのが得意な人でなければ環境に馴染むまでに時間がかかるでしょう。
空調設備の工事のやりがい
空調設備工事は大変なこと、きついことも多いですが、その一方でたくさんのやりがいがあります。
仕事を長く続けるにはやりがいを感じながら仕事を楽しむことが一番大切です。空調設備の仕事でどんなやりがいを見つけられるのかを見てみましょう。
技術を身に着けながら働ける
空調設備工事は働きながら技術を身に着けられます。
専門学校や大学などで学んでおけば知識はたくさんつきますが、現場では臨機応変な対応が求められテキスト通りにはいかないことも多いです。
そんなときにどう乗り切るのか、どんな技術を導入すればいいのかを実践の中で知れるのも空調設備工事のやりがいの一つです。
空調設備工事に必要な国家資格を取得するには一定以上の実務経験も求められます。
空調設備工事の会社に勤めていればこの実務経験も重ねることができ、国家資格取得に一歩近づけます。
頑張りが給料や地位に反映される
空調設備に関連する国家資格を取得すると現場でできることが多くなります。
例えば電気通信工事施工管理技士の2級の資格を取得すると営業所で専任技術者として働ける、現場で主任技術者として働けるようになります。1級を取得するとこれらの資格に加えて監理技術者としても働けるようになります。
このような人材は設備業界の中でも少なく、非常に需要が高いです。専門的な知識も豊富にある人が資格を取得できるため、その分給料がアップしたり役職が上がることも。
がんばればがんばった分だけ目に見える形で反映されていくので、大きなやりがいを感じられるでしょう。
パズルを組み立てるように働ける
空調設備の工事は配管の配置やスペースの有効活用方法などを模索しながら計画を立てていきます。
この作業がパズルを組み立てるようで楽しいと感じる方も多いようです。
より効率的に、見た目も美しく、さらにその後のメンテナンスもしやすい配管にするにはどうすればいいのか、的確に空調設備を配置するにはどうスペースを使えばいいのかなどを考えるのは大変ですが、続けるうちにこの作業も楽しいものになっていきます。
プラモデルやパズルなどが好き、地道な計算で答えを導き出すのが好きという方ならとくに楽しみながら働けるでしょう。
やりがいや楽しみを見つければ、大変な空調設備工事の仕事も続けていくことができます。
空調設備の工事ならではのメリット
空調設備工事の仕事にはきついこともやりがいもあります。
さらにこの空調設備の工事だからこそ得られるメリットについてもチェックしていきましょう。
屋内で作業ができる
空調設備の工事は屋内で作業ができるというメリットがあります。
建築の現場は屋外での作業が多く、気温が高い夏や反対に寒い冬の厳しい環境の中でも作業を続けなければなりません。
大雨や台風などが来ると作業を中断しなければならず、納期ギリギリになって残業が続くということも。
また、基本的に夜間の作業ができず、日中にどれだけ作業できるかが重要なポイントになります。
一方で空調設備工事は屋内の空調機器の設置や配管工事がメインですので、直射日光に長時間さらされたり冷たい風にあたって体調を崩す可能性が低いです。
天候に作業が左右されることもないので、計画通りに作業を進めやすいでしょう。
夜間でも作業ができるのもメリットです。（メリットではありますが長時間の残業につながるというデメリットにもなりえます。）
専門技術が身に着く
空調設備工事にはさまざまな専門技術が求められます。
国家資格レベルの技術も必要ですが、これらを働きながら習得できるのも空調設備工事の仕事のメリットの一つです。資格を取得していなくても、実務経験が豊富であればそれだけできることも広がり、周囲から信頼される人材にもなれます。
現場に出なければ見えてこないことはたくさんあります。実際に現場を見て、職人の技を盗んで、どんどん自分のスキルを磨いていきましょう。
身に着けた専門技術は現場に還元できるだけでなく、資格を取得して自身の転職やキャリアアップに役立てることもできます。
転職を有利に進められる
空調設備工事の仕事は大変なことが多いです。残業が多い、夜勤が多い、職場の人間関係が悪いなどなど。
さまざまな理由でこの仕事を辞めたいと思ったとき、知識や経験、吸キルが十分にあれば転職を有利に進めることができます。
とくに電気通信工事施工管理技士などの国家資格を所持している人は少なく、業界でも引く手あまたとなることでしょう。
今働いている会社よりももっと条件のいい会社、自分に合う働き方ができる会社を見つけることができれば、これまで培ってきた知識、技術を無駄にすることなく、より快適に働き続けることができます。
もし空調設備工事の仕事を辞めたいと思っているのなら、その仕事自体が嫌になったのか会社に原因があるのかを考えてみてください。勤めている会社を辞めて別の会社に転職するだけで、ずっと働きやすくなるかもしれません。
将来性や需要が高い
空調設備は現代にとってなくてはならない存在です。
夏や冬に快適な温度で過ごせるようにする、花粉や排気ガスなどを取り除いて快適に過ごせるようにするといった利便性だけでなく、商品の品質管理、工場の機械を動かすためにも空調設備は用いられています。
人が生活を続ける限り空調設備の需要が下がることはありません。少子高齢化が進んでも、空調設備が必要なシーンが減るわけではありません。
このように空調設備工事の仕事は将来性が高く、一定の需要は常にあります。
仕事がなくなって露頭に迷う、いきなり別の仕事を任されるようになるという心配も少なく、長く安定して働き続けられるのも空調設備工事の仕事のメリットです。
空調設備の工事に向いている人
空調設備工事の仕事にはどんな人が向いているのかを考えてみましょう。
きついことややりがい、メリットなどを紹介しましたが、さらに自分に適正があるかどうかを見極めることで転職活動もしやすくなりますよ。
チームで成し遂げるのが好きな人
空調設備工事の仕事は一人ではできません。
グループで連携しながら空調設備の設置や配管の設置をおこないます。きわめて緻密な作業が求められ、仲間とのコミュニケーション、意思疎通は欠かせません。
ですが仲間と一緒に作業をしたあとの達成感は非常に大きいです。
単独で仕事を進めるのが得意な人よりは、仲間と結束して一つの仕事に取り組むのが好きな人に向いている仕事と言えます。
もちろん協力しながら仕事をするのが苦手な人でも、困っている部下を助けたり上司や同僚の役に立つことで単独での仕事では味わえない喜びを感じることができますよ。
常に学び続けられる人
空調設備の工事は常に進化しています。
新しい機器が出たり、新しい技術が生まれたり、そのどれもを常に勉強し、仕事に取り入れなければなりません。
空調設備工事に関連する資格を取得したら終わりというわけではなく、現場で活躍するためには常に学び続ける姿勢が大切です。
学び続けるにはその仕事を好きでいることも大切。自分の仕事に自信を持って、愛を持って接していれば、自然と新しい知識や技術についても取り入れていくことができるでしょう。
空調設備工事や配管工事などの細かく正確な作業が好きな方、学び続けるのが苦にならない方にとっては最適な仕事と言えます。
体力に自信のある人
空調設備工事の仕事は常に体力との戦いです。
残業や夜勤は当たり前の世界でもあり、体調を崩すと現場全体に迷惑がかかってしまいます。自分自身も仕事に穴を開けてしまう罪悪感で精神的にも苦しくなってしまうでしょう。
常に同じ場所で同じ時間にデスクワークをしているだけでは知ることのできないさまざまなことを知れるのが現場の仕事のいいところではありますが、長時間動き回る仕事ができるかどうかは体力によるところも大きいです。
デスクワークが向いているか、現場の仕事が向いてるかは人それぞれ。自分に合う仕事かどうかをよく考えてから就職、転職に踏み出しましょう。
人の役に立つのが好きな人
空調設備は人が毎日快適に過ごすために、また商品を生産したり保管したりするために欠かせません。
空調設備工事の仕事は多くの人の生活に役立つ大切な仕事です。
まだ使われる前の建物、従業員やお客様、生徒などの利用者がいない時間帯の建物での作業になりますので直接感謝されることは少ないですが、自分が暑い屋外から涼しい施設に入ったときなど、ふとしたときに誰かの役に立っていることを実感できるでしょう。
このように、人の役に立つことがしたい方にとっては最適な仕事とも言えます。仕事を通して社会貢献がしたいという方にも向いている仕事です。
空調設備工事の仕事を知ろう
空調設備工事の仕事について、きついと感じること、やりがい、メリットなどを紹介しました。
空調設備は今やどの家庭にも欠かせない存在で、病院、学校、商業施設、さらには工場や倉庫にも設置されています。
そんな空調設備を設置したりメンテナンスしたりする仕事は、一見目立ちにくい仕事ではありますがとても大切です。働きながらさまざまなやりがいを見つけていくことができるでしょう。
空調設備工事の仕事は将来性も高く、国家資格を取得すれば転職の際も豊富な選択肢の中から自分にぴったりの職場を選べます。
今後長く働ける仕事に就きたい、一生ものの技術を身に着けたいという方は、ぜひ空調設備工事の仕事もチェックしてみてください。