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造園工事の仕事内容はキツい?向いている人ややりがい

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庭師として日本では古くから親しまれ、その伝統を守り続けている造園工事の仕事。

個人宅の庭の剪定をおこなうだけでなく、新築のエクステリアをデザインしたり、ホテルやマンションのエントランスのデザインをしたり、さらに公園や広場の造園を手掛けることもあります。

造園工事の仕事が気になるという方は、造園工事の仕事内容ややりがい、向いている人をチェックしておきましょう。

造園工事の仕事がキツいと言われている理由についても解説します。

造園工事の仕事内容

まずは造園工事の仕事内容を確認しましょう。

造園工事の仕事は庭の木の剪定だけではありません。さまざまな仕事があり、それらを効率的にこなしていく必要があります。

どれか一つだけができるという現場、会社は少なく、まんべんなく高い技術を身に着けなければなりません。

植栽工事

造園工事の中でもとくに重要なのが植栽工事です。

木を植えるだけではありますが、強風で倒れないように、雨で腐らないように、さらに先を見越して近隣の迷惑につながらない場所を選んだりなど、繊細な注意力が必要になる仕事です。

木を守るためにレンガや石で囲う作業をしたり、木材や縄を使って木の枝の形を整えたりといった作業もあります。

また、木は自然のものなので人が思うようにスムーズには成長しません。ちょっとした環境の変化から成長が遅れる、想定より早く育つ、枝が曲がる、幹が腐る、害虫が発生するなどさまざまな問題が発生します。

定期的にメンテナンスをしてトラブルを回避する、実際に問題が起きた際は速やかにかけつけて対処するなど、アフターフォローも重要です。

景石工事

景石工事とは庭に石を配置する工事のことです。

日本庭園を見ればすぐにわかりますが、景石は庭作りには非常に重要なアイテムです。川の流れのような動きを生み出したり、味気ない地面を美しい印象にしたり、全体のデザインを整えるのにも重宝されています。

庭を芝にしてしまうとお手入れが大変ですが、砂利を敷き詰めることでお手入れも楽になります。そのため日本庭園ではなくても砂利や景石を希望する方も多いです。

大きな景石や大量の砂利を運び込む必要があるため体力仕事であり、車だけでなくトラックや重機を運転するための技術、資格も必要です。

地被工事

地被工事とは庭の地面の部分の工事のことです。

芝を敷き詰める、コケ類を配置するなどして、緑豊かな庭に導きます。

芝は定期的にメンテナンスをしなければ枯れてしまったり雑草が多くなってしまいます。

施工後も依頼主の元を訪問し、芝の状態をチェックして適切なメンテナンスをおこないます。

地拵え工事

庭の植栽などが終わってから最終的に枝先を整えたり、雑草を刈り取ったり、木の周辺の片づけをします。

簡単な作業に見えますが、この地拵えをきちんとしておかないと木や芝が十分に養分を吸収できなかったり、斜面の表面が崩れたりしてしまいます。

最後まで細心の注意を払う必要のある仕上げの作業です。

広場設備工事

公共の広場やマンション、アパート、ホテルなどのエントランス部分の広場の設備工事を請け負うこともあります。

一からデザインを任されることもありますが、設計図通りに木を植える、花壇を設置する、噴水の工事をおこなうなどの仕事をすることも多いです。

常に美しい景観を守るために定期的にメンテナンスをする、花を植え替えるなどの作業にも対応します。

公園設備工事

公園の地面を整える、木を植える、植えられた木のメンテナンスをする、花壇を設置する、花壇のメンテナンスをする、さらに噴水を設置する、休憩所を設置する、公園内の遊具を設置するなど、公園の設備全般に携わります。

小規模の公園から大型の公園、有料の公園の設備の依頼があることも。

簡単な作業から、重機を利用した作業までさまざまな工程があります。

噴水工事

広場や公園の噴水や人工の池、滝などを設置する工事です。

植栽などよりもさらに精密な作業が求められます。水道を引くなどの工事も必要であり、重機の扱いにも長けていなければなりません。

小規模の造園会社でこのような噴水などの工事を依頼されるケースは少ないですが、規模の大きい造園工事を請け負うことが多い造園会社ならこのような工事を依頼されることも珍しくありません。

緑化工事

マンション、ホテル、オフィスビル、ファッションビルなどの緑化工事をおこないます。

屋上に植物が多い空間を作る、生垣を設置する、エントランスなどに木や植物を植えるといった作業がメインです。

とくに景観が重要なホテルやファッションビルなどでは定期的にメンテナンスが必要であり、かつ仕上がりもビルのコンセプトに適した美しいものにしなければなりません。

造園工事がキツいと言われる理由

造園工事はキツいと言われることが多い仕事です。実際に造園工事に携わっている方はどのような点がキツいと感じるのかをチェックしてみましょう。

人によって得意不得意はあります。実際に働く前に自分には合っているのかを考えてみてください。

花粉症に悩まされる

造園工事は植物と常に触れ合う仕事です。そのため、花粉に悩まされる方が多いです。

花粉にアレルギーがあると目のかゆみ、くちゃみ、鼻水といった症状が出て、まともに作業ができないことも。

今は花粉症でなくても、花粉を多く吸い込むことでアレルギーを発症することもあります。

もとから重度の花粉症の方は造園工事に携わるのは難しいでしょう。

また、家族に花粉症の方がいる場合は帰宅する前にシャワーを浴びて着替えたり、洗濯物をわけたりしなければならないなど、仕事中だけでなく私生活にもさまざまな影響が出ます。

屋外での長時間の作業

造園工事は必然的に常に屋外での作業になります。

暑い時期でも炎天下の中何時間も作業をしなければなりません。暑くても薄着で作業をすると怪我をしたり虫に刺される可能性があるため作業服を着こむ必要があります。

冬の寒い時期にも雪の中で作業をします。春に備えての仕事も多いため休業するわけにもいきません。

建築関連の仕事は基本的に屋外での作業ですので、それに耐えられないという方は建築業界では働きにくいでしょう。

蜂や害虫の影響

木や植物にはさまざまな虫が住み着いています。

とくに危険なのはです。刺される可能性が高く、誤って巣を攻撃してしまうこともあります。

ですが蜂は木や植物の繁殖には欠かせません。そのため駆除するわけにもいかず、蜂がいる中で作業をしなければならないこともあります。

スズメバチに刺されると最悪死に至るケースもあり、きちんと防護服などで対策を取らなければなりません。

他にも造園工事は毛虫や害虫との戦いの連続でもあります。虫が苦手な方は造園工事をキツいと感じるでしょう。

高所での作業の危険性

木の先端の剪定など、造園工事は高所での作業も少なくありません。

高所恐怖症の方はもちろん、そうでなくても高所での作業には危険が伴います。

風が吹く中、雨で足元が悪い中でも作業をしなければならず、命綱もないため常に危険と隣り合わせの仕事です。

また、高所での作業中に地震が来た場合は大事故につながる可能性もあります。

造園業の資格の中には高所で安全に作業をするための知識を学べるものもあります。現場で働くだけでなく資格の勉強もして、時には講習を受け、高所でより安全に作業をするための知識や技術を身に着けましょう。

造園工事のやりがい

造園工事はキツいことだけではなく、やりがいもたくさんあります。

造園工事の仕事を続けている方はどんな点にやりがいを感じているのかを見ていきましょう。

働きながら資格を取得できる

造園工事をおこなうにあたってはさまざまな資格が役に立ちます。

中には自動車免許などもとから必要な資格もありますが、造園工事の実務経験がなければ受験できない資格もあります。

実務経験の中で知識やスキルを磨き、資格取得の準備ができるでしょう。

資格を取得することで任せられる仕事の幅も増えます。そのため、資格取得をサポートしてくれる会社もあります。資格手当て制度がある会社もありますので、就職、転職の前にこのような資格についての制度はチェックしておきましょう。

造園工事の資格は自分のスキルや実務経験をアピールする際にも役立ちます。転職や独立を考えている方も、資格取得には積極的になることをおすすめします。

自然と触れ合うことができる

自然が好き、植物が好き、何かを世話することが好きという方も造園工事には向いています。

植物は機械でコントロールできるものではなく、必ずしも人間の思い通りにはなりません。難しいこともたくさんありますが、その分世話をして育てていくことの楽しさを感じながら仕事ができます。

枯れてしまいそうな木をメンテナンスすることで元気にしたり、ボロボロの花壇を綺麗に整備したりすれば、クライアントにも喜んでもらえます。

体力や精神力を使うことが多い造園工事の仕事ですが、やり終えたあとは達成感、充実感を味わうことができます。

自然に触れあいながら、心も満たしてくれるやりがいのある仕事と言えるでしょう。

自分のセンスを活かして働ける

造園工事は設計図通りに正確な作業を求められる建築系の工事とは違い、職人のセンスによって完成度が大きく変わる仕事です。

枝先の少しの乱れが全体の調和を崩すこともあり、景石の位置や植物の種類など、全体のバランスを考えながら作業をしなければなりません。

自分のセンスを活かし、クリエイティブな仕事をしたいという方にはぴったりです。

造園工事にはセンスも大切ですが、配置や色、剪定のバランスなどはある程度法則があり、勉強することで身に着けることができます。

そこから自分のセンスを磨いたり、先輩の技術を真似たりして、素敵な空間作りができるようになりましょう。

造園工事に向いている人

造園工事に向いているのはどんな人なのでしょうか。

未経験でも伸びしろがある、この業界で活躍できる人材になる素質がある人の特徴を紹介します。

見て学ぶのが得意

造園工事で役立つ建築などの技術は専門学校や資格の勉強でも学ぶことができますが、現場での経験は何よりも大切です。

どの角度から見ても美しい剪定や景石の置き方などは、熟練の職人にしかわからないこともあります。

このような職人の技術を見て学ぶことができる方は、造園業界で活躍できる人材になれるでしょう。

高齢の職人は「技術は見て盗む」という考えを持っている方が多いです。直接教えてくれるわけではなく、現場で磨かれた技術を見せることで後輩に教えようとしてくれます。

さりげない工夫も見逃さず、自分のものにしていきましょう。

効率的に動ける

造園工事は効率的に動くことも大切です。基本的に日中しか作業できず、作業後の片づけや仕上げにも時間がかかります。のんびりと作業をしていると期限に間に合わず、スケジュールを変更しなければなりません。

そうなるとクライアントにも会社にも迷惑をかけてしまいます。

こだわりが強ければ強いほど時間もかかってしまう作業が多い造園工事ですが、何から先にして次に何の作業をして仕上げにどれくらい時間がかかるかなどを瞬時に判断し、的確に動く必要があります。

無駄がなく効率的な作業が好き、タスクを組み立ててそれ通りに仕事をこなすのが得意という方は造園工事でも活躍できるでしょう。

美的感覚が優れている

造園工事には美的感覚も欠かせません。

その庭や広場、公園に合った剪定、枝や葉が成長したあとのことも見越した植栽などをおこなう必要があります。

美的感覚は持って生まれたものももちろんありますが、勉強することでも身に着けられます。

さまざまな美しい庭や造園の資料を見て、そして写真や映像だけでなく実物を見て使われている技術を肌で学んでいきましょう。

カラーや形、配置のバランスなどは基本的なカラーコーディネートの知識を学ぶことでも身に着けられます。ファッションやデザイン、建築物にも造園のヒントはたくさん隠されていますので、常に美的感覚を磨くためのアンテナは張っておくようにしましょう。

造園工事に役立つ資格は?

造園工事に役立つ資格を紹介します。

これらの資格は必須の場合もありますが、働きながら取得できるものもあります。

資格があればできる仕事も増え、より自分やクライアントの理想通りの造園ができるでしょう。

転職の際にも役立ちますので、自分に必要な資格を今一度チェックしてみてください。

自動車免許

造園工事では重機や景石、木などさまざまな重たいものをクライアントの指定するエリアまで運ばなければなりません。当然移動は自動車やトラックになります。

また、大きな公園や広場の設備工事を担当する際は重機の運転も必須です。

自動車免許だけでなく、トラックや重機の免許も取得しましょう。

造園技能士

造園技能士は国家資格です。最高ランクの1級を取得するには7年以上の実務経験が必須ですが、1級を持っていれば実務経験が長い、知識やスキルを豊富に持っていることの証明ができます。

造園技能士は基本的な造園だけでなく剪定の技術や公園などの工事についての問題が出題されます。

筆記だけでなく実技試験もあるのでしっかり対策をしておきましょう。

この資格を取得すると造園技能士という肩書きをつけられます。造園会社によっては造園技能士の資格を取得することで手当てが出ることもあります。

造園施工管理技士

造園施工管理技士も国家資格です。1級の受験には1年以上現場監督として働いていた実績が必要です。他には主任技術者の実務経験でも可能えす。

2級の場合は1年半の実務経験が必要ですが、こちらの方が気軽に受験に挑めるでしょう。

この資格を取得すると現場で主任技術者、監理技術者として働けます。スタッフの安全を守るだけでなくスケジュールを管理したりクライアントと直接やり取りしたりといった作業を任されます。

造園施工管理技士を何人も抱えている造園会社は少なく、社長やリーダーのみが取得している場合も多いです。

ですが造園施工管理技士の数は少なく、転職や独立の際には役に立つことでしょう。

樹木医

樹木医は国家資格ではありません。ですが7年以上の実務経験が必要であり、筆記試験だけでなく研修を受ける必要もります。

民間資格でありながら取得の難易度は高く、その分取得している人が少ないので転職の際などにはアピールポイントとなるでしょう。

樹木の診断についての知識を高められ、その樹木が現在どのような状態かを木を切らずに見極められるようになります。

木の状態によって適切なメンテナンスをできるようになり、美しい庭や空間を長く維持できます。

マンションやビル、広場の緑化に貢献できる、今後も需要が伸びる資格と言えるでしょう。

植物と触れ合える造園工事の仕事

造園工事について、仕事内容からやりがい、向いている人、資格などを紹介しました。

造園工事は大変なことも多く、キツいと感じる方も少なくありません。ですが植物と触れ合える、長年かけて現場と向き合える、一度身に着けた技術は転職などでも役立てられるなど、やりがいも大きい仕事です。

造園に興味がある方はまず仕事内容や大変なことをチェックして、自分にこなせるかどうかを考えてみましょう。

就職や転職に役立つ資格もありますので、資格取得に向けた勉強を始めてみるのもおすすめです。

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