建築士の国家資格を取得するとさまざまな仕事ができます。
一般的に高収入なイメージのある建築士の仕事ですが、中には現在の給与に納得できていない方も多いのではないでしょうか。
建築業界だけでなく日本全体で副業を推進する動きがあり、建築士の中にも副業を始める方が増えています。
建築士が副業をするのであれば、国家資格である建築士の資格を活かせる仕事を探しましょう。
建築士が年収をアップさせる方法、おすすめの副業などについて紹介します。
建築士が年収をアップさせるには?
建築士が年収をアップさせる方法はたくさんあります。
建築士の国家資格の合格率は低く、建築業界にとっても重宝される存在です。
とくに一級建築士は二級建築士よりも数が少なく、そして対応できる仕事の範囲も広がるため、多くの仕事を探すことができるでしょう。
建築士が年収をアップさせるための4つの方法を紹介します。
転職する
建築士の年収アップとしてもっともよく考えられる手段が転職です。
ある程度実績を積んでいればアピールポイントにもなり、よりよい条件の企業に転職できる可能性が高くなります。
二級建築士が一級建築士になるには実務経験が必要です。実務経験を積み一級建築士の試験を受け、合格してから転職するという方法もあります。
給料が高いだけでなく残業が少ない、自分のやりたい仕事により近い仕事ができるなど、企業のことをよくチェックしてから応募しましょう。
ですが転職は簡単にできるものではありません。
まだ実績が少なかったり、なかなかいい企業が見つからない可能性もあります。
転職先が提示していた条件と違った、人間関係が悪かったなどでまた転職を繰り返すことになってしまうかもしれません。
まだ転職をするには早いと感じる方は、他の方法で収入アップを目指しましょう。
アルバイトをする
企業に勤めながらアルバイトをして収入をアップさせる方法もあります。
飲食店やコンビニなどの一般的なアルバイトもありますが、せっかく国家資格である建築士の資格を所持しているのであれば資格を活かせるアルバイトを探しましょう。
設計図の作成やアドバイザーなどのアルバイトもあります。
ですがアルバイトはシフト制であることも多く、残業や飛び入りの仕事、スケジュールの遅れなどの多い建築士の仕事をしながらアルバイトを続けるのは難しい可能性も高いです。
建築士の仕事量は多く、アルバイトとの両立自体が難しいかもしれません。
無理なく働ける条件かどうかをチェックしましょう。
また、建築士の資格を活かせるアルバイトは一般的なアルバイトの時給よりも高い仕事が多いです。時給は適正かどうかを見極めることも大切です。
業務委託として副業をする
建築士の副業として人気なのが業務委託の仕事です。
設計図の作成やCAD操作などを外部に委託している企業はたくさんあります。
アルバイトや派遣としてではなく業務委託として仕事を請ける建築士は多いです。
業務委託であれば開いた時間でできる仕事が多く、もちろん自宅での作業も可能です。
忙しい建築士の仕事の合間にもできる仕事を選べば十分に続けることができるでしょう。
また、設計図の作成などの仕事は今後の建築士の仕事としても役立つものが多いです。
働きながらスキルを身に着け、今後の仕事に活かす、転職に活かす、さらに独立開業に活かすといったキャリアアップについても考えましょう。
独立開業する
建築士の年収アップの方法には独立開業という方法もあります。
独立開業すれば自分のやりたいよいに仕事ができ、依頼料などもすべて自分で決められます。
利益から支出を差し引いた分をすべて自分の所得にできるため、場合によっては勤めているよりも収入をアップさせられます。
ですが独立開業するには、転職するよりもさらに実績を積む必要があります。
建築業界である程度名前が知られるようになり、人脈もできて初めて、独立開業しても安定した収入を得続けられるようになるでしょう。
建築士としての実力だけでなく経営力やプロモーション能力なども必要ですので、独立開業を目指すなら着実に準備をしておきましょう。
建築士が副業をする際は確定申告を忘れずに
副業をする前に、勤めている企業が副業OKかどうかを確認してください。
副業を解禁している企業は多いですが、中には禁止している企業も少なくありません。
副業をして得た収入は年末調整などでバレてしまいます。
副業がOKの企業の場合でも、副業による収入が年に20万円以上ある場合は年末調整とは別に確定申告をしなければなりません。
確定申告を怠ると脱税の疑いがかけられ、最悪の場合無申告加算税や延滞税を払わなければならなくなる可能性があります。
業務委託で働いた場合はその収入から経費(ソフトやパソコンなどの購入費用)を差し引いた金額が所得となりますので、経費の計算も忘れないようにしてください。
年末調整を受けた源泉徴収をもとに確定申告をおこなう必要がありますが、副業程度の収入であれば記帳の簡単な白色申告で構いません。
反対に20万円以下の収入であれば確定申告の必要はありませんので、これ以内に抑えたい方は事前に収入をよく計算しておく必要があります。
建築士の副業の探し方
建築士が副業を探す際はどんな方法で探せばいいのかについて解説します。
建築士の資格を活かし、かつ建築士として成長できるような副業を選ぶようにしましょう。
無理のないペースで働ける
建築士の仕事は非常にハードな仕事です。
残業も多く、スケジュールの遅れで思わぬ仕事が入ることもあります。
自宅に持ち帰って仕事をする建築士も多く、副業をする時間を取るのが現実的に難しい場合もあります。
時間に縛りがある副業や納期が厳しい副業などは建築士向きの仕事ではありません。
ある程度余裕をもってできる仕事を選びましょう。
最初は少ない収入でも自分のペースに合う仕事を選び、徐々に時間配分に慣れてきてから仕事を増やすのがおすすめです。
キャリアアップできる仕事を選ぶ
建築について学べる、設計図作成などの技術を磨けるなど、建築士としての技術を磨ける副業はたくさんあります。
建築士を目指す方に向けて建築士の仕事や試験対策について教える講師の仕事もあり、自分自身の仕事を見つめ直すきっかけにもなることでしょう。
建築士の合格率は低く、その存在は建築業界の中では非常に貴重です。
今後さらにキャリアアップできるよう、スキルを磨いていける仕事を選ぶのがおすすめです。
欲しい収入を予想しておく
今の給料にどれくらい不満があるのか、あといくらくらいの収入があれば満足できるのかを考えてみましょう。
欲しい収入に応じて副業を選ぶと、自分のペースに合った仕事を選びやすいです。
単価が高い仕事でもハードであれば本業に支障が出てしまいます。
安い単価でも、時間的にも余裕を持ってできる仕事を選ぶのもおすすめです。
副業をしても欲しい収入に到達しない、副業をしてまで収入を得る時間がないという方は転職を考えた方がいいかもしれません。
建築士におすすめの副業7選
建築士におすすめの副業を7つ紹介します。
ライターやブログ運営など比較的簡単なものから、建築士としての資格を活かせる図面作成や講師など、建築士におすすめの副業は多岐に渡ります。
ライター
ライターはネットや雑誌などにコラムを書く仕事です。
ライターの仕事は簡単なものが多く、文章を書くのが得意であれば誰でも始めやすいです。
単価は低いものが多いですが、建築士目線での内容が必要な場合は他の案件よりは高い単価での仕事ができます。
クラウドソーシングサイトで検索すれば建築士向けのコラム記事作成の募集がたくさんありますので、ぜひ応募してみてください。
パソコンがあれば自宅でもどこでも好きな場所で仕事ができるという気軽さもあります。
また、時間の融通が利きやすく、空いた時間に記事を書くこともできます。
記事単位や文字単位で収入の調整が可能で、最初は無理のない範囲で続けつつ、徐々に仕事量を増やしていくのもいいでしょう。
講師
一級建築士は社会的な信頼も高く、講師として採用されることも多いです。
専門学校や予備校などで建築士の試験に向けての授業をおこないます。
予備校などの場合は、その授業を受けた生徒の建築士試験の合格率が上がれば手当てがアップすることも。
デメリットとしては、当然時間の縛りがあることです。通常仕事をしている時間帯に授業がある場合に講師として副業をするのは現実的ではありません。
ですが、夜間や土日の授業であればスケジュールを調整して講師として働ける可能性もあります。
また、最近は一つの教室に集まって授業を受けるのではなくオンラインでの授業も人気があります。
相手が希望する時間帯に時間を空けられるのであれば、自宅からでもパソコン一つで授業をおこなえます。
家に小さい子どもがいる、一人になれる部屋がないという場合は別個に部屋を借りたりする必要があるので注意してください。
ブログ運営
ライターと少し似ていますが、ブログ運営という形で副業をする方もいます。
ブログ記事の中に広告を貼り、その広告のクリック率や購入率から収益が出れば収入を得られるという仕組みです。
読者が多ければ多いほど収益が上がりやすいため、他にはない魅力的なブログを書く必要があります。
毎日の日常的な日記ではなく、建築士ならではの悩みに応えるブログやさまざまな実例、建築士試験についてなどの記事を書くようにしましょう。
実際の案件について書く際は個人情報が特定されないように配慮することも忘れないでください。
そしてブログに安定した読者がつくには最低でも3か月から1年程度はかかります。
副業としてしっかり稼ぐことを目的とするのではなく、根気強く続けてお小遣い稼ぎができればいいくらいの感覚でブログの運営を続けましょう。
建築士の副業の中では得られる収入は少ないですが、ブログを書くこと自体の楽しさやネットでの交流、徐々に読者が増えていく楽しさなどを味わうこともできますよ。
図面修正やCADオペレーター
図面修正やCADオペレーターといった建築士なら簡単に操作できる仕事を副業として請けることもおすすめです。
こちらも業務委託という形になっていることが多く、請けた案件の数だけ収入を得られます。
CADオペレーターの仕事は建築士ならある程度理解できるので、発注する側としても気軽に依頼できてメリットが多いです。
建築士の中にはCADオペレーターに設計図作成を任せきりであまり操作に慣れていない方もいますが、この機会に操作に慣れておくのもおすすめです。
独立開業する際や転職する際にCADソフトも扱かえるという点はアピールポイントになることでしょう。
デザインパース
CADオペレーターだけでなくデザインパースの仕事を外注で請けることもできます。
こちらも業務委託の形になりますので、自分のペースで作業を進めやすいです。
かつては設計図は手書きが当然でしたが、近年はソフトを使って3Dのデザインパースを提出するのが主流です。そしてこのようなパースの作成はほとえどが外注です。
建築士の仕事をしているとデザインパースを扱うことも多いので、個人としても仕事を請けやすいでしょう。
技術を磨くこともでき、建築士としての成長を促すことも可能です。
設計図作成
CADオペレーター、デザインパースの他、設計図作成の仕事を外注で請ける副業もあります。
一見他二つと同じような仕事だと思われがちですが、設計図作成は他二つよりもかなり大変です。
少しのミスも許されず、業務委託であっても責任は重いです。
作成に時間もかかり、納期も厳しいため建築士として働きながら続けるのは少し大変かもしれません。
ですがその分報酬は高く、やりがいのある仕事となるでしょう。
建築アドバイザー
建築アドバイザーはハウスメーカーのモデルルームや展示会場でお客様に対してアドバイスをおこなう仕事です。
本業として建築アドバイザーをしている方も多いです。
時間に縛りのある仕事なので一見建築士の副業としては不向きに思えますが、展示会場にお客様が多く来るのは土日が多く、土日が休みの企業で働いている建築士にとっては空いた休日を使って効率的にしっかり稼ぐことができる仕事と言えるでしょう。
日給、時給のケースが多く。収入も安定して得ることができます。
建築士の資格を持っていないと応募できない求人も多く、需要は高いと言えます。
平日に建築士として働き土日にもアドバイザーとして働ける体力があるのであれば、一度目指してみてもいいかもしれません。
確認申請の代行
一級建築士の資格を持っているのであれば、確認申請を代行する仕事もできます。
建築をおこなう際はその建物が法律の基準を満たしているかを実際に現場で確認して設計図を用い、専門の機関にチェックしてもらわなければなりません。
これには複雑な資料作成や確認のための時間がかかり、時間短縮や人件費削減のために代行業者を利用するケースも多いです。
確認のためには建築士の免許が必須であるため、建築士の資格を所持している方にとってはふさわしい副業と言えるでしょう。
報酬も高く、一つの案件で充分な収入を得ることができます。
その分時間も手間もかかり、本業に支障が出る可能性があることも考慮しておいてください。時間や納期などの問題で副業として続けるには現実的でないケースも多いです。
この確認の作業は代行を依頼しなくても建築士であればできる仕事です。将来独立開業を考えている方がこの仕事を副業として続ければ、将来の役に立つことでしょう。
建築士として成長できる副業を探そう
建築士におすすめの副業や副業の探し方について紹介しました。
国家資格である建築士の資格を活かしてできる副業はたくさんあります。
収入をもう少し増やしたい、建築士としてできる仕事の幅を広げたいという方は、ぜひ副業にチャレンジしてみてください。
副業をする際は勤めている企業が副業OKかを確認し、年末年始の確定申告も忘れないようにしてください。