建築現場をまとめる施工管理にはさまざまな仕事があります。
その中の一つ、品質管理について解説します。品質管理は建築内容の品質がきちんと維持されているかを管理するもので、問題点を早期に発見したりクライアントに安全に利用できる建築物を引き渡すために大切です。
施行管理の大切な仕事の一つ、品質管理について、その仕事内容や品質管理をおこなうために求められるスキルを解説します。
施行管理の品質管理の業務内容
施行管理には安全管理、工程管理、原価管理、品質管理といった4つの管理があります。その中で建築物の一定以上の品質を守るために大切な品質管理について、その業務内容を解説します。
資材の品質確認や作業工程の記録など、建築現場の品質を維持するために大切な品質管理を確認しましょう。
資材の品質を確認する
建築現場には欠かせない資材を最初に確認するのは、施工管理の大切な仕事です。
発注した資材と同じものが発注した数だけきちんと届いているか、不良品や使用に問題があるものは混じっていないかを確認します。
仕入先の業者が発注内容を間違えていたり不備のある資材を送ってくることもありますが、それを見落としたまま作業を進めると不備が発覚した際に一からやり直さなければなりません。
建築の現場でのやり直しには莫大なコストがかかる上に納期の遅れにもつながり、施工管理の担当者の責任になるかもしれません。
事前にきちんと確認する慎重さが非常に大切になります。木材一枚からネジの一本まで、すべて発注内容通りかを確認しましょう。
工事の過程を撮影する
工事の過程を撮影して写真に残すという仕事があります。施工管理の品質管理の中でもっとも重要かつ多くの割合を占める業務内容です。
指示通りに作業が進んでいるか、問題のある作業をしていないか、作業工程を飛ばしていないかなどをいつでも確認できるようにしなければなりません。
品質管理の仕事には作業工程を正確に記録するという仕事もありますが、写真などの証明できるものがないまま記録をしていても、万が一問題が発生した際にきちんと証拠を提示できません。
こちらの作業に問題がないことを証明するためにも、どんな作業をおこなったかをきちんと写真に残しておく必要があります。
工事の過程を記録する
作業の工程を撮影するだけでなく、すべてを正確に記録することも施工管理の仕事です。
建築物は一度建ててしまうと外部からは見えない構造部分もたくさんあります。
この部分に問題はないか、安心して利用を続けられるかなどを証明するためにこの記録は大切です。
完成後に事故やトラブルがあった際に責任がどこにあるかをわかりやすくし、何が原因か、どこを修理すればいいのかなどをスムーズに発見する目的もあります。
建築物の耐久性を示す試験などをおこなう場合は、その試験結果も正確に記録して後々の資料にしなければなりません。
現場を目視して確認、指示をする
品質管理のためには現場に密着して写真を撮影したり試験をおこなったり記録を残したりする必要がありますが、その段階で現場を目視し、指示通りに作業が進んでいるか確認するのも施工管理の大切な仕事です。
問題がある場合や作業が遅れている場合は的確な指示を出し、指示書通りに作業員を動かさなければなりません。
施行管理の担当者の見落としが、建築物の完成を遅らせたり後々の責任問題になる可能性もあります。
施行管理の品質管理に必要なスキル
施行管理の業務の一つ、品質管理をおこなうために必要なスキルを解説します。
将来施工管理として活躍したい、現在の施工管理の仕事をさらにスキルアップしたいとお考えの方は、下記のようなスキルを磨いていくことも忘れないようにしてください。
正確な写真を撮影する能力
建築の現場を正確に写真に残すことは非常に大切です。スマホで簡単に撮影できるようになった昨今では写真を撮ることは簡単なことのように思えますが、どんな作業をしているのかを誰が見てもわかりやすく撮影するためにはコツが必要です。
誰がどの段階で何をしたのか、どのように作業をしたのかといったことが一目瞭然な写真を撮影できるようにしましょう。
デジタルカメラ、スマホ、タブレットなどで撮影することも多く、撮影後データをすぐにパソコンやクラウドソフトに移したり、見えやすいように写真を編集したりするのも施工管理の仕事です。
撮影の経験が少ない間は時間がかかってしまう作業ではありますが、慣れるまで何度も練習したり写真が上手い先輩の施工管理スタッフの資料から学んだりすることも大切です。
マネジメント能力
作業に問題はないか、今現在どんな人がどの作業をしているかなどを把握するマネジメント能力は品質管理において重要です。
人材の配置などをきちんと把握できていないとミスが発覚した際や作業に遅れが見られた際に正確に指示を出すことができません。
場合によっては納期に遅れてしまったり、事故を引き起こす可能性もあります。人件費などが無駄にかかってしまう、業務の効率を下げるという原因にもなります。
マネジメント能力は元から備わっている人もいれば、現場の経験を積んで育てていく人もいます。今は自信がなくても、どのように管理すればマネジメント能力が高まるのかを先輩から学んでいくことは可能です。
コミュニケーション能力
建築現場ではさまざまな人と関わりながら作業をしなければなりません。その中で必須となるのがコミュニケ―ション能力です。
的確に指示を出したり、問題点を指摘したりするだけでなく、作業員が問題を発見した際、日頃からきちんとコミュニケーションを取れていればその報告もしやすくなります。
ミスを早期に発見する、未然に防ぐことにもつながり、作業の効率化、無駄やコストをカットすることにもつながります。
コミュニケーションスキルとはただ多くの人と仲良くするスキルのことではありません。必要なときに必要なコミュニケーションが取れるよう、日頃から信頼関係を築き上げていくことが大切です。
トラブルの原因を分析する能力
どんなにきちんと品質を管理していても、自分一人では建築の仕事を進めることができません。建築現場の規模が大きくなればなるほど関わる人材の数も増え、その分だけトラブルが起こる可能性も高くなります。
トラブルを未然に防ぐのは施行管理の仕事ではありますが、それでも起きてしまったトラブルに対してどう対応するかも大切な施工管理の仕事です。
トラブルに対して場面的に対応するのではなく、どうしてそのトラブルが発生したかを客観的に分析する能力が求められます。
これによってトラブルの再発を防げるだけでなく、よりよい作業現場にしていくことも可能です。分析した結果をわかりやすく作業員に伝え、時には上層部やクライアントに報告し、建築の現場の安全を守ることにもつながります。
建築現場の品質管理を徹底しよう
建築現場で活躍する施工管理の業務の一つ、品質管理について解説しました。
建築物の品質を一定以上に維持し、現場の作業工程を正確に記録するのが品質管理の主な仕事です。
品質管理を徹底することで、より安全な建築物を作れるだけでなく作業の効率化やトラブルを未然に防ぐことにも役立ちます。
建築現場においての品質管理の重要性を今一度再確認し、今後の仕事に役立てましょう。