インテリアコーディネーターは、家や店舗、オフィスなどを建てる際にインテリアに関してて的確なアドバイスをしたり、インテリアアイテムや内装を考えるときに理想を叶えるお手伝いをしたりする仕事です。
インテリアが好き!という方の中にはこの職業を目指している方も多いですが、実際のインテリアコーディネーターの仕事は非常にハードです。どんな点が大変なのかをあらかじめ確認しておきましょう。
一方で、インテリアコーディネーターの仕事を続けている方はそのやりがいの大きさに魅力を感じている方も多いです。どんな点にやりがいを感じているのかについても紹介します。
さらにインテリアコーディネーターの素質がある人の特徴や今後インテリアコーディネーターとして生き残るために大切なことなども解説しますので、インテリアコーディネーターという仕事に興味がある方はぜひチェックしてみてください。
インテリアコーディネーターの仕事は大変!
まずはインテリアコーディネーターの仕事の大変な点を見ていきましょう。
大好きなインテリアに携われるこの職業に魅力を感じている方は多いですが、一方で大変すぎて続けられないという方もいます。
自分は大変な点も耐えられるのか、臨機応変に対応できるのかを考えてみてください。
クライアントの意図の汲み取りが大変
インテリアコーディネーターはまずクライアントとインテリアの打ち合わせをしなければなりません。これをしないことには仕事は始まらないと言っても過言ではありません。
どんな内装にしたい、どんなインテリアアイテムが欲しいなどのクライアントの要望を聞き取らなければなりません。
このヒアリングがきちんとできていないとクライアントの理想通りの提案ができません。
また、クライアントの理想のインテリアを聞き出すだけでなく予算やスケジュールなどもヒアリングし、その上で的確なアドバイスをする必要もあります。
クライアントのすべての要望に応えられるのが一番ですが、中には無理な理想を通そうとするクライアントもいます。そんな人に対してどの点がなぜ難しいのか、どんな代替案があるのかなどをアドバイスしなければなりません。
クライアントによっては「理想通りにしてくれなかった」「高いプランを提案された」など、インテリアコーディネーターに対して悪い印象を抱く方もいます。そうならないように、納得してもらうよう丁寧な接客対応が必要です。
クライアントとのコミュニケーションが難しく、ストレスに感じてしまうというインテリアコーディネーターの方も少なくありません。
クライアントとの打ち合わせが大変
クライアントとの打ち合わせは基本的にクライアントのスケジュールに合わせなければなりません。
土日が休みの仕事をしている方なら土日に打ち合わせを希望する方が多いです。
そのため、勤めている会社が土日休みであっても打ち合わせのために出社しなければならないということも少なくありません。
そのためにあらかじめシフト制などの勤務形態を取っているデザイン会社、インテリア会社は多いです。それでも飛び込みで打ち合わせが入ることもあり、先の予定を立てにくい、連休を取りにくいなどの大変さもあります。
また、一組のクライアントにじっくり向き合う時間が少ないというのもインテリアコーディネーターの大変な点です。
インテリアコーディネーターは常に複数の案件を抱えていることが多く、一日にいくつもの打ち合わせをこなさなければなりません。
進捗状況やクライアントの特徴、スケジュールなどをしっかり踏まえて挑まなければなりませんので、切り替えが大変だったり大量の資料を用意しなければならなかったりといった大変さもあります。
クライアントと業者の板挟みになる
インテリアコーディネーターはクライアントから聞き出した要望を叶えるためにプランを作成します。
そのプランの中には予算的にも設計的にも多少無理が生じることもあります。
クライアントの「どうしてもこうしたい」という要望と、業者の「この予算でこの設計は無理」という声の板挟みになるインテリアコーディネーターは少なくありません。
折衷案を提案し、クライアントも業者も納得する道を探し出すのもインテリアコーディネーターの仕事です。
なかなかいい案が浮かばなかったり、クライアントと業者の双方から責められるストレスに耐えられなかったりしてインテリアコーディネーターの仕事を大変に思い、辞めてしまう方も少なくありません。
知識や経験は常に必要
資格を取得するためにはインテリアの基本から建築や色選び、素材選びについてまで、幅広い知識を学ばなければなりませんが、仕事に役立てるためにはそれだけでは不十分です。
インテリア業界は常に新しい情報で溢れており、それらすべてを把握しなければなりません。インテリアのトレンドだけでなく技術や建物などもチェックしておかなければ、クライアントから「〇〇みたいなインテリアにしたい」と言われたときにわからずに困ってしまいます。
また、知識がたくさんあっても経験がなければできない提案もたくさんあります。長くインテリアコーディネーターとして働いてきたからこそできる工夫や提案もありますので、新人の頃はもどかしい思いをするかもしれません。
それでもあきらめずに知識を身に着け続け、じっくりと経験を重ね続けてやっと一人前として周囲からもクライアントからも認められるようになるでしょう。
資格の効力は強くない
インテリアコーディネーターの資格は国家資格ではなく民間の資格です。そのため、資格を取得していなくてもインテリアコーディネーターを名乗れてしまいます。
建築にも携わる内容の仕事ならば、国家資格を持つ周囲と比較してとくに自分の立場の弱さを実感するでしょう。資格を取得していても、国家資格を持っていないからできない仕事もたくさんあります。
クライアントからも「インテリアコーディネーターではなくインテリアの知識が豊富な建築士に相談に乗ってほしい」と言われることもあります。
今後建築業界でインテリア関連の仕事をしたいのであれば、建築士などの国家資格の取得を目指すことも視野に入れましょう。国家資格の取得は簡単ではなく、実務経験や専門学校などでの修学も必要です。自分にその余裕があるのか、建築ではなくインテリアに特化した仕事に転職すべきなのかなどを考える必要があります。
インテリアコーディネーターのやりがい
大変なことも多いインテリアコーディネーターの仕事ですが、その分やりがいもたくさんあります。
インテリアコーディネーターにはどんなやりがいがあるのかをチェックして、自分に適正があるかどうかを考えてみてください。
さまざまな提案ができる
クライアントの要望に対してどう応えるか考えるのが好き、というインテリアコーディネーターは多いです。
希望通りにするだけでなくより快適に、より予算を抑え、よりクライアントに満足してもらうためにどんな工夫をすべきなのかを考えるのも仕事の一つです。
そうして自分が一生懸命考えたプランを受け入れてもらえたとき、自分のプランが採用されたときにもとてもやりがいを感じることでしょう。
クライアントに自分の提案やプランを説明するためには言葉だけでなく図面を作成したり、3Dソフトでモデリングしたりして資料を作成しなければなりません。
残業をしたり自宅に持ち帰ったりして作成した資料を気に入ってもらえたときには強いやりがいを感じます。
頭の中のイメージが形になる
自分の「こうしたい」といった思いやクライアントの「こうしてほしい」といった思いを頭の中で組み立てて資料を作成し、プランが採用されると施工が始まります。
自分の中で完成形をしっかりイメージできていても、実際に出来上がっていく様子を見るのはワクワクする瞬間です。
入念に打ち合わせしたインテリアや内装が仕上がった空間は図面では感じられない迫力があります。
技術や知識を還元できる
インテリアコーディネーターは常にインテリアや建築、デザインなどについて学び続けなければなりません。さまざまな経験がより仕事をスムーズにしてくれるため、長い経験も必要です。
それらは非常に大変ですが、その分身に着けた知識や培ってきた経験をすぐに仕事に還元できるというやりがいもあります。
クライアントの要望に応えるために必要な知識を披露したり、トラブル時にはこれまでの経験から対応方法を導き出したりと、仕事で得たことが仕事に役立つシーンはこの仕事を続けていく中でたくさんあります。
インテリアコーディネーターを続ける上で大変な思いをすることは多いですが、その分「あの時辞めずに続けていてよかった!」と思う瞬間もたくさんあるでしょう。
多くの人と交流できる
インテリアコーディネーターの仕事は一人でできるものではありません。
クライアントはもちろん、業者や職人、さらに会社の上司や同僚、部下とのチームで一丸となって進めていくものです。
とくにクライアントや職人は毎回違う人と対応しなければならず、慣れない内は大変ですが慣れてくると楽しめるという方も多いです。
普通にデスクワークをしていたら出会わなかったような人との出会い、自分と違う価値観の人との出会いから、インテリアや建築だけでなくさまざまな発見があることでしょう。
仕事に活かすこともできる他、働き方や生き方といったさまざまなことにその出会いを還元していくことができます。
達成感を味わえる
インテリアコーディネーターの仕事はインテリア、内装、建築に一から携わる仕事です。
何もないところからクライアントの漠然とした要望を聞き、自分の頭の中でプランを練り、クライアントだけでなく業者や職人と何度も打ち合わせを重ねた結果建築物が仕上がっていく様子はやりがいがあります。
最後に理想通りのインテリアや内装にできた空間を見たときにはこれまでの大変だったことを忘れられるくらいの達成感を味わえるでしょう。
インテリアコーディネーターの資格を活かしてインテリアアイテムなどの販売員として働く場合も、お客様にぴったりのインテリアを提案できたとき、お客様に感謝されたときにやりがいを感じます。
自分で企画開発した家具や自分で買い付けた家具が売れたなどから達成感を感じているインテリアコーディネーターの方も多いです。
インテリアコーディネーターの素質がある人
インテリアコーディネーターの資格はインテリア業界だけでなくデザイン業界や建築業界でも役立ちます。
ですが、インテリアコーディネーターの資格を持っている人が全員インテリアコーディネーターとして成功できるとは限りません。
どんな素質を持つ人がインテリアコーディネーターに向いているのかをチェックした上で、自分がインテリアコーディネーターとして長く働けそうか考えてみてください。
ヒアリングが得意な人
インテリアコーディネーターとして働き続けたいならヒアリング能力は重要です。
クライアントの要望を的確に聞き取り、それに応える、または期待以上の結果を出さなければなりません。
例えば「アジア風」「リゾート風」と聞いて思い浮かべるイメージは人によって違います。一人よがりな考え方にならず、クライアントがイメージする完成形をしっかり共有する必要があります。実際の写真を見たり言葉にしてイメージを共通しましょう。あまりインテリアに関する知識がないクライアントも多いです。インテリアコーディネーター側から的確なアドバイスが必要です。
ですが自分から提案しなければとそればかりに集中するのではなく、まずはしっかりクライアントの要望を聞き取りましょう。最初の丁寧なヒアリングが、クライアントにとって満足のいく完成形につながります。
インテリアに強い関心がある人
インテリアコーディネーターとして成功するにはインテリアへの高い関心は必須です。
インテリアが好きという気持ちだけでなく、常に更新されていくインテリア業界のトレンドをキャッチできるようにしておきましょう。
日本国内だけでなく海外の建築やインテリアもチェックしたり、古典的なインテリアから最新のインテリアまで知識をつけたりすることも大切です。
日本では土地が狭かったり、独自の法律があったりしてクライアントの思うようなインテリアができない場合も多いです。そんなときでも、自分が持っているインテリアの知識をフルで動員して理想を叶えるお手伝いをしましょう。
インテリアに携わる仕事がしたい、さまざまなインテリアの情報を見るのが好きという方だけでなく学び続ける姿勢がある方はとくにインテリアコーディネーターとしての素質があると言えます。
他とは違うセンスを持つ人
インテリアコーディネーターはときに常識に囚われない発想が求められます。
一般的な住宅のインテリアを任されたとしても、どのように過ごすかは家庭の環境によって大きく違います。クライアント一人ひとりに合わせたインテリアを提案するためには、型に囚われない考え方が必要です。
また、クライアントはインテリアコーディネーターに何を求めているのかを考える必要もあります。
無難なインテリアなら自分でも考えられますし、近年はネットの普及によってプロのインテリアを気軽にチェックできるようになりました。ありきたりな提案ばかりしていてはインテリアコーディネーターに依頼した意味がないと次の仕事につながらなくなってしまいます。
他とは違う、この人だからこそのデザインだと思ってもらえるようなインテリアを提案できるようなセンスも大切です。
センスは生まれ持ってのものもありますが、さまざまなインテリアや建築、芸術に触れることでも培うことができます。日々何気なくすごしている生活の中にもインテリアに役立つヒントは隠れています。
自分のセンスに自信がない方は、センスを磨くためにもさまざまなことに目を向けてみましょう。
チームで仕事をするのが好きな人
インテリアコーディネーターの仕事は一人でできることが少なく、多くの場合会社のチームや業者、職人の協力で成り立っています。
そのためチームで一丸となって仕事をするのが好きという方に向いています。
独特のセンスを持つ人の中にはチームプレイが苦手な方も多いですのでバランスが難しいですが、一人で突っ走っていないかときどき立ち止まって周囲を確認するようにしましょう。
チームで仕事をする=他人からの指示を待って仕事をするという意味ではありません。ときに周囲を引っ張って、ときに背中を押して、周囲と協力しながら仕事を進めることが大切です。
そのためには日頃からのコミュニケーションも大切になってきます。人と接するのが苦ではない、むしろ楽しんで仕事ができるという方にはインテリアコーディネーターの仕事が向いています。
今後インテリア業界で生き残るために
インテリア業界、建築業界は今後衰退していくのではないかと言われています。
少子高齢化が進み、若者も将来への不安からなかなかお金を使わなくなっています。海外の安いインテリアブランドが人気になり、ネットでインテリアの画像を参考にできるためインテリアコーディネーターの需要も低くなっていくことでしょう。
今後インテリアコーディネーターとして生き残るためにはどんな努力が必要なのかを常に考え続けることも大切です。
リフォーム業界に注目する
少子高齢化が進む昨今、インテリア業界だけでなくリフォーム業界に注目することは大切です。
新たに家を建てたいと考える方が減り、現在住んでいる家をより住みやすくしたいと考える方が増える傾向にあります。
どのようなリフォームをすればより快適に過ごしやすくなるのかを提案できるよう。リフォームについての知識も取り入れていきましょう。
高齢者が動きやすい動線を考えたインテリア、夫婦二人住まいに最適なインテリア、一人の生活を満喫できるインテリアを提案するなど、リフォーム業界ではインテリアコーディネーターの需要はまだまだあります。
また、古い家を格安で購入して自分の思い通りに改築するリノベーションの需要も高まっています。リノベーションをしたい方はインテリアにこだわる方も多く、インテリアコーディネーターの腕の見せ所となるでしょう。
現在働いている会社が新築向けの仕事ばかりをしているのであれば、リフォームもおこなっている、リフォームに特化している会社への転職も検討すべきです。
独立開業する
独立開業し、フリーランスとしてインテリアコーディネーターを続けるという道もあります。
インテリアコーディネーターとしての確かな実績や経験が必要ですが、名の通ったインテリアコーディネーターであれば独立しても十分仕事を得られるでしょう。
クライアントに的確なアドバイスをし、満足のいく仕上がりを提供し続ければ、会社員として働いている今以上にインテリアコーディネーターとして成功できます。
インテリアコーディネーターとして書籍を出版する、コラムなどライティングの仕事を請けるといった方もいます。
センスを磨き続ける
インテリアコーディネーターに欠かせないセンスですが、このセンスも古い価値観のままではアップデートされず、なんとなく古臭い仕上がりになってしまうかもしれません。
クライアントに飽きられてしまうようなインテリアを提案していると、仕事を得られなくなってしまいます。
センスはもともと備わっている部分も大きいですが、常に磨き続けるようにしましょう。
例えば、家事は女性がするもの、将来結婚して子どもを持つものといった価値観も若者のあいだでは崩れつつあります。男性も家事をしやすいキッチン、長く快適に一人暮らしができるインテリアなどを提案することも大切です。
海外のトレンドをキャッチしたり、芸術分野からもインテリアのヒントを得たりして成長を続けてこそ、インテリアコーディネーターとして長く業界に求められる人材を目指せます。
インテリアコーディネーターとして働くために
インテリアコーディネーターの仕事は大変なことも多いですが、その分やりがいも大きいです。
インテリアに興味があって将来それを仕事にしたいという方は、インテリアコーディネーターの大変なことややりがいを感じることの両面をしっかり確認しましょう。
ハードな仕事や対人関係から、インテリアが好きという気持ちだけでは続けられない方もいます。自分はこの仕事を続けられるのか、資格を取得してまで目指せるのかを確認しておくことは大切です。
自分のセンスや素質を活かし、インテリアコーディネーターとして活躍できる道を探しましょう。