建築業界への就職、転職の際にかならずしておかなければならないのが面接対策です。
国家資格を取得したり専門学校や大学で学んだりして建築についての知識がたくさんあっても、面接対策ができていなければ企業が求める人材として見てもらえません。
理想の企業で理想の働き方をするためにはどんなことをすればいいのかを確認しましょう。
面接対策としてすべきこと、面接でよく聞かれる質問などを紹介します。
建築業界の面接対策ですべきこと
建築業界の企業に応募して書類選考を通過したら、次は面接です。
面接の前までにきちんと対策をしておくことで入社できる可能性がぐっと高まります。
同じようなスキルを持つ二人がいた場合、面接で好感が持てる方が有利です。
下記のようなポイントをおさえつつ面接対策をしましょう。
企業の研究
まずは面接を受ける企業の研究です。
面接では企業についての質問があることも多く、聞かれなかった場合も企業理念やコンセプトなどを答えの中に入れ込むことで好感度がアップします。
企業の研究をすることでどんな人材を求めているのかを知ることもでき、自分に合う企業かどうかの判断基準にもなるでしょう。
面接では無理に企業に合う人物像を作り上げるのではなく、自分がどのような面からその企業にアプローチするのが効果的か考えることが大切です。
課題の作成
建築業界では面接前に課題が出されることもあります。
あるテーマや条件を元に設計をしなければならなかったり、過去の作品を提出しなければならなかったりと企業によって課題内容はさまざまです。
新卒の場合、面接で人物像は見えてきてもその人のスキル自体はなかなか見えにくいです。
そのため、新卒採用の場合とくに課題が出されることが多いです。
既卒や中途入社の場合でも職種によっては課題が出ます。この課題を忘れずに作成し、期日までに提出してください。
面接当日にはその課題について質問される可能性も高いですので、課題のこだわったポイントなどもスムーズに発表できるようにしておきましょう。
面接形式の確認
基本的に建築業界の面接は一対一の個人面接ですが、新卒の場合や希望者が多い場合は集団面接になることもあります。
この形式は事前に知らせてもらえることがほとんどですので、それぞれの面接形式に合わせて対応できるようにしておきましょう。
個人面接の場合は自分の考えやアピールなどをたっぷり時間を使ってできるというメリットがありますが、一方で複数の面接官にじっくりチェックされるため質疑応答だけでなくマナーや身だしなみなども一瞬たりとも気が抜けないという注意点もあります。
集団面接の場合は自分のアピールできる時間が限られており、一つの質問に対して順番に応えていくのが一般的です。考えていた回答を先に言われてしまったり、最初に回答することになって緊張してしまったりといった思わぬアクシデントの可能性が高いです。その分しっかりとカバーできれば好感度もアップします。他の人材を出し抜こうと思わず、冷静に自分をアピールできるように準備しておきましょう。
質疑応答の準備
面接対策としてかならずしておかなければならない質疑応答の準備もしていきましょう。
下記で紹介するようなよくある質問を確認し、自分らしい回答ができるように用意してください。
集団面接で回答が被りそうな場合や別のパターンの質問をされたときなども想定していくつか回答を用意しておくことも大切です。
実際に質問されたときに何も答えられないよりは詰まりながらでもきちんと回答できた方が好感度は上がりますので、文章を用意するだけでなく実際に声に出してみることもおすすめします。
マナーの確認
建築業界ではスキルや資格、経験も大切ですが、マナーもしっかりチェックされています。
建築業界の仕事は個人プレーではなく多くの人と関わりながらおこなうものが多いです。中にはお客様と直接やり取りしたり、業者と取り引きしたり、社内で打ち合わせや会議を何度も重ねる仕事もあります。
このような仕事では、マナー、一般常識、コミュニケーション能力なども求められます。
スキルが高く国家資格を持っていても、基本的なことができていなければ面接の段階で落とされてしまう可能性があります。
せっかくのチャンスを無駄にしないように、面接時のマナーをきちんと確認し、清潔感のある身だしなみに整えておきましょう。
建築業界に採用される人材の特徴
建築業界ではどんな人材が採用されやすいのか、採用される人材の特徴を紹介します。
自分がその企業に適しているか、適した人材になるためにはどうすればいいのかをチェックしましょう。
その企業に入社したい気持ちが伝わる
面接の受け答えの中でその企業に入社したいという気持ちがしっかり伝わってくるかどうかは大切です。
どの企業、どの業界でも通用するような受け答えばかりしていると「うちの会社でなくてもいいのではないか」と思われてしまいます。
面接を受ける企業の理念をきちんと理解している、採用することで企業にとってのメリットが大きいという点をしっかりアピールしましょう。
企業や業務内容をよく研究している
その企業、業務内容についてよく研究していることがわかる人材は採用されやすいです。
好感が持てるというだけでなく、自分はその企業、業種で活躍できると自信を持って言える人の方が採用後もスムーズに仕事になじめる可能性が高いためです。
反対に業務内容についてきちんと理解していないことが見えると、採用後「思っていた仕事ができなかった」などの理由ですぐに離職してしまう危険性があると思われてしまいます。
同じ業種でも企業によって仕事内容には微妙に違いがあります。
その企業ならではのポイントがあるかどうかをきちんと確認しておきましょう。
実務経験や学歴が業務内容に適している
建築業界での実務経験や建築について学んだ学歴もしっかりチェックされます。
異業種からの転職の場合はなぜその業界から離れてしまうのか、なぜ建築業界に入ろうと思ったのかを聞かれる可能性が高いので回答を用意しておいてください。
建築業界で活躍した過去があったり大学や専門学校で建築を専攻していたとしても、その中でどんな分野に興味を持ったのか、どんな実績を残したのかについての回答の準備も必要です。
この実務経験や学歴が企業や業務内容に適しているかどうかで、採用される可能性は大きく変動します。
身だしなみやマナーがきちんとしている
身だしなみやマナーがきちんとしている人も採用されやすいです。
好感度が高いというだけでなく入社後も早く社員となじめる、仕事をスムーズに進められる可能性が高いためです。
建築業界で接客業は少ないですが、最低限の清潔感のある身だしなみは大切です。
言葉遣い、他の試験を受ける人への対応なども見られていますので、隅々まで気を抜かないように注意しましょう。
建築業界の面接でよく聞かれる質問10選
建築業界の面接でよく聞かれる質問をまとめましたのでチェックしてみてください。
質問の形式や内容が微妙に違うことも十分にあり得ますので、その場合もスムーズに受け答えできるようにしておきましょう。
あらかじめ回答を用意する上で大切なのは自分の言葉で伝えるということ。ありきたりな回答になりすぎないように注意してください。
自己PRをしてください
どの業界の面接でも聞かれることが多いのが自己PRです。
自分がこれまで学んだこと、現場で残した実績など建築に関することだけでなく、性格や強みなどをアピールすることもできます。
自己PRは最初に聞かれることが多いので、この内容や話し方であなたの第一印象が決まります。良い印象を残せるように、ハキハキと話し、端的にわかりやすい言葉で伝えられるようにしておきましょう。
なぜ建築業界を選んだのか教えてください
どうして建築業界を選んだのかについてはしっかり考えておきましょう。
質問されなかったとしても、今一度自分が建築業界に進みたいと思ったときの気持ちを思い出すことができます。
どんなことがしたかったのか、どんな人材を目指していたのか、何に憧れていたのかなど、当初の気持ちを思い出すことで、他の質問に対する回答も自然と浮かんできやすくなります。
過去の経験や実際に建築業界やその企業に触れて感じたことなどを自分の言葉で伝えられるようにしましょう。
なぜこの企業を選んだのか教えてください
建築業界を選んだ理由を聞かれるのと同じくらい、なぜこの企業を選んだのかもよく聞かれる質問です。
建築業界は海外にも進出している大規模な企業から地域密着型の小さな工務店までたくさんの企業があります。その中でどうしてその企業でなければならないのかは、多くの企業が気になっているポイントです。
その企業のコンセプトや過去の実例などを引き合いに出して具体的に説明できるようにしておきましょう。
将来どのように活躍したいか教えてください
将来その企業でどのように活躍したいか、どんなキャリアプランを立てているかを説明できるようにしておきましょう。
どの企業でも叶えられそうなプランではアピール力に欠けますので、その企業のキャリアサポートや事業内容を絡めて考えることが大切です。
企業が求める人材であるか、採用後企業に利益となる点が多いかなどを面接官はチェックしています。その点も踏まえてしっかり自分の将来設計をアピールしましょう。
他にも応募している企業や業界はありますか
他にも応募している企業があるか、別の業界への就職も視野に入れているかもよく聞かれるポイントです。
正直に何社受けているか、どの段階まで進んでいるかを答えつつ、第一希望は面接を今受けている企業であることをアピールしてください。
異業種や別の業界にも興味がある場合はその理由も説明しましょう。
業務内容についてご確認いただけましたか
業務内容についてきちんと理解しているかについてもよく聞かれます。
肩書きは同じでも、企業の規模や方向性によってはまったく業務内容が違うことも珍しくありません。
小規模な企業であれば設計職であっても営業や簡単な事務作業などもおこなう必要があります。
大企業の場合は海外の企業や顧客との取引のために語学力が必要なケースもあります。
それらについてきちんと理解していなければ、入社後に自分のやりたい仕事ができなかったり、企業側にとっても安心して仕事を任せられなかったりといったデメリットになってしまいます。
業務内容について確認した上で、どんな風に働けるか、どんな点に魅力を感じたかなどを説明できるようにしておいてください。
何か質問はありますか
最後に「何か質問はありますか」と聞かれるのは、建築業界だけでなく多くの面接でよくあるパターンです。
このときに「ありません」と答えてしまうと自分をアピールする機会を一つ失ってしまいます。
面接は最後まで自分を最大限にアピールする場所と心得て、質問もきちんと考えておきましょう。
一般的に、給料や残業、休日のことばかり質問するとネガティブなイメージを持たれてしまいます。どのようなシステムで昇格するのか、転勤がある場合はどの頻度で、何を基準に決まるのかなどを聞くようにするといいでしょう。
まったく質問が浮かばない、面接の間に応えられてしまった場合は現段階では質問はなく、きちんと説明いただけたのでよりこの企業で働きたくなったという意思を伝えるのがおすすめです。
【新卒の場合】学校で何を学びましたか
新卒の場合はこれまでの実務経験がないため、どんなスキルを持っているのか把握しにくいです。そのため、学校で何を学んだかを聞かれます。
実際に学んだ学部や専攻科目だけを答えるのではなく、何に興味を持って専攻したのか、その結果どのようなことを身に着けたのか、どんな成果を残したのかなどを答えましょう。
コンテストで入賞した経験や教授が持つ建築事務所で手伝いをした場合などもアピールポイントになります。
【既卒の場合】卒業後何をしていましたか
卒業してからその企業の面接を受けるまでの期間が開いている場合、また前職を離職してから期間が開いている場合は、その期間に何をしていたかを質問されることが多いです。
家庭の事情などがある場合は正直に伝えておくと好感度が高くなります。
学校に通っていた、資格の勉強をしていたなど、建築業界で活躍するための時間に当てていたというのもアピールポイントになります。
面接をする企業側としてもこの質問はネガティブな意味ではなく、その人の働き方に対する考え方などを見るためとしての意図が強いです。
【転職の場合】離職理由を教えてください
転職の場合、前職の離職理由を求められることも多いです。
残業の多さや人間関係などのマイナスなイメージの答えよりも、自分のキャリアアップのためといった前向きな答えができるようにしましょう。
建築業界、ひいてはその企業でしかできないような仕事がしたいからといった理由は好感度が高いです。
嘘をつくのではなく、離職理由をポジティブな言葉に変換できないか考えてみましょう。
建築業界の面接対策を始めよう
建築業界の面接対策について、よくある質問について紹介しました。
建築業界は他の一般的な業界とは違い、専門的なスキルや資格、知識が求められます。
もちろんそれらのスキルを持った人材であることも大切ですが、面接ではその人となりやどうしてその企業を選んだのかなど、より企業にマッチする人材かどうかを見極められます。
企業の研究をすると同時に、自分の分析もおこなって面接対策をしていきましょう。
マナーや身だしなみは付け焼刃ではどうにもならない部分でもあります。面接までに常に意識しておき、髪型を整える、スーツのシワを伸ばすといった基本的なポイントも忘れないようにしてください。