建築業界ではさまざまな専門知識、専門スキル、専門資格が求められます。
転職する際には特定のスキルを持っていることが応募条件とされている求人を見かけることもあります。
建築業界で転職し、長く活躍し続けるためには、ポータブルスキルを身に着けることが大切です。
ポータブルスキルとはどんなものなのか、建築業界においてはどんなスキルがポータブルスキルに分類されるのかを解説します。
建築業界の転職に役立つポータブルスキルとは
ポータブルスキルは日本語に直訳すると「持ち運びできる能力」という意味です。
業種、職種が変わっても新しい職場で役立てられる個人の能力のことをポータブルスキルといいます。
ポータブルスキルが高ければ高いほどさまざまな分野で活躍しやすくなり、転職や独立の選択肢が広がります。
さらにポータブルスキルの重要性やメリットについて詳しく見ていきましょう。
ポータブルスキルの重要性
ポータブルスキルは以前からも大切にされてきましたが、近年はさらに注目が集まっています。
日本企業は終身雇用、年功序列の風潮が強かったですが、景気の影響を受けて徐々にその安定性が崩れつつあります。
実際に転職する人の数も増えており、一度就職して与えられた仕事さえしていればいいという考え方は通用しなくなっています。
ポータブルスキルを高めることで、現在勤務している企業や業界に限界、不満を感じたとしてもスムーズに転職しやすくなります。
社会人の中途採用はある程度の能力がなければ難しいことが多いですが、どんな業種、企業でも通用するスキルがあればアピールポイントとなりえるでしょう。
転職時のアピールポイントになる
ポータブルスキルを高めれば、転職時のアピールポイントになります。
建築業界では専門性が優先される風潮が強いですが、専門性だけを重視すると仕事の進め方に問題がある人材やコミュニケーションスキルに問題がある人材を採用してしまうリスクもあります。
転職時に自己アピールをする際は専門的なスキルをアピールすることも大切ですが、仕事をスムーズに進めるためにどんな工夫をしているか、他の従業員とどのように関係を深めているか、どのように連携を取りながら仕事を進めているかなどをアピールするのも良いでしょう。
とくに異業種、別の業界への転職を検討している場合、アピールできるポータブルスキルがないかを考えておくことは大切です。
即戦力として長く活躍できる
ポータブルスキルを高めてから転職活動をスタートすれば、より豊富な選択肢の中から自分に最適な企業を選ぶことができます。
企業側にとっても即戦力として活躍してくれる人材を採用するメリットは多いです。
採用や教育のコストを抑えつつ、欠員を補充したり業務を拡大したりできます。
また、ポータブルスキルは職種や業界が変わっても通用するスキルのことをいいます。そのため、転職先での人事異動があった際にもスムーズに新しい業務に順応できたり、別の業界へも転職しやすかったりといったメリットがあります。
ポータブルスキルを構成する要素
実際に「これがポータブルスキルだ」という明確な定義やスキルはありません。
ですが、ポータブルスキルを構成する要素にはさまざまなものがあります。
専門性、働き方、コミュニケーションスキルという、ポータブルスキルを構成する3つの要素を解説します。
専門性
特定の業界、業種で通用するスキルが高ければ、同業種での転職でおおいに役立ちます。
建築業界はとくに専門的な知識、スキルが重視されます。
対応する工事の内容が違っていても、建築に関する知識やスキルがあればすぐに新しい仕事にも慣れられるでしょう。
ポータブルスキルの中でも専門性は非常に重要です。とくに大企業やゼネコン企業への転職を目指す際に、専門スキルは高ければ高いほど有利です。
ですが専門的なスキルが高いだけでは新しい仕事に馴染めなかったり、能力を充分に発揮できなかったりする可能性もあります。
専門的なスキルに加えて「働き方」「コミュニケーションスキル」を高めていくことも大切です。
働き方
働き方としてとくに重要なのが、課題を明確にすること、計画を立てること、実行することの3段階です。
これらが一つでも欠けていると充分な成果を出すことができません。
課題の発見、計画の立案、計画の実行という3つの仕事の進め方は、業種、業界などに関係なくすべての仕事で大切です。建築業界から別の業界に転職しても、この3つのステップをきちんと踏めていれば新しい仕事にもスムーズに馴染めるでしょう。
自分が仕事を進める上でこの3つをきちんとできているかを日頃から意識するようにしてください。
コミュニケーションスキル
コミュニケーションスキルも、業界や職種に関係なく必要なスキルです。
とくに仕事を進める上では上司や同僚への対応、クライアントやパートナーへの対応、部下への対応、部下のマネジメントスキルが求められます。
建築工事は一人でできるものはありません。多くの従業員と連絡を綿密におこない、作業員と連携を取って進める必要があります。
業務のデジタル化、オンライン化で人と人との関わりが薄くなったと感じることもありますが、やり取りのすれ違いによるミスや人間関係の問題が発生することを防ぐためにもコミュニケーション能力は一層磨いていくことが大切です。
建築業界で役に立ちにくいスキルとは?
ポータブルスキル以外のスキルも当然あります。
その企業だけで通用するシステムの知識や、自社商品についての知識などが持ち運べないスキルに該当します。
持ち運べないスキルは、社内では重宝されるかもしれませんが、転職する際にはアピールすることができずうまく転職活動を進められない可能性が高いです。
自分が今持っているスキルが持ち運べるスキルか持ち運べないスキルかは、普段働く上で考える機会は少ないです。
現在転職を考えている、今後転職する可能性があるという方は、自分の持っているスキルを客観的に判断してみてください。
ポータブルスキルが足りないと感じたら高めるために資格を取得したり、勉強会に参加したり、さらに現在の企業で別の業務にもチャレンジしてみるなどの努力も必要です。
自分のスキルをきちんと分析できていれば、理想の企業、業種、業界に転職するために欠けているスキルも把握できます。理想と現実のギャップを埋める目標を立てて仕事に取り組んでいきましょう。
建築業界で活躍し続けられる強いスキルを身に着けよう
建築業界での活躍、転職、独立などで大切なポータブルスキルについて解説しました。
持ち運べるスキルという意味のポータブルスキルは、建築業界で活躍し続ける上では非常に重要です。
建築についての専門的なスキルだけでなく、実際の働き方や人との関わり方もポータブルスキルに含まれます。
自分にポータブルスキルが充分備わっているかを考えてみてみましょう。自身のキャリアアップや転職活動のために、ポータブルスキルを身に着けていくことが大切です。
ポータブルスキルが充分に備わっていれば、建築業界は復職しやすい仕事が多いです。なぜ建築業界には復帰しやすい仕事が多いのか、実際に再就職を目指すためにはどんな努力が必要なのかを下記の記事で解説しています。こちらも合わせてチェックしてみてください。