建築業界にはさまざまな仕事がありますが、今新たに注目を集めているのが建築エンジニアという仕事です。
建築エンジニアとはどんな仕事をする人たちのことを指すのか、どれくらいの年収を確保できるのか、今後不景気が続くと言われている建築業界において将来性はあるのかについて解説します。
建築業界で転職をしたい、キャリアアップを考えているという方はぜひ参考にしてください。
建築エンジニアの仕事内容を確認
建築エンジニアはそれ専門の仕事があるわけではなく、設計や管理、ソフトを使って製図をおこなう職業全般を指す言葉です。
現場で作業をするスタッフと連携を取りつつ、建築エンジニアが作業の土台となる部分を作ったり現場を管理したりしていきます。
「建築エンジニア」として人材が募集されることは少なく、設計、管理、CADオペレーターなどの名目で募集されることが多いです。
意匠設計
意匠設計は建築物の内装、外装などのデザイン全般を決める仕事です。
クライアントとやり取りをおこない、具体的にデザインを考えていきます。
クライアントにデザインをプレゼンするために製図する必要もあり、建築士の資格だけでなくCAD関連の資格やスキルも求められます。
構造設計
見た目だけでなく、耐久性などを考えた構造、土地によって違う適切な構造などもクライアントの要望を取り入れつつ設計します。
外観や内観を損なうことなくより丈夫で快適に過ごせる建築物にするため、常に最新の技術を学び続ける必要があります。
雪の多い地域、気温が高い地域など、地域ごとの特徴に合わせて構造を変えていくことも大切な仕事です。
設備設計
外観、内観、構造の設計の他、水回りや電気の配線、空調、照明といった設備を設計します。
配線がスムーズでないとメンテナンスがしにくかったり、トラブルが起きやすかったりします。また、日々の利用によって発生するコストが余計にかかってしまうこともあります。
クライアントが快適にその建築物を使い続けるためには、デザインや構造だけでなくこの設備設計も重要です。
各種監理
建築エンジニアは各種監理を担当することもあります。建築士の資格を所有した上で、建築施工管理技士の資格を取得した上で仕事に取り組まなければなりません。
各種監理とは、主にスケジュール、予算、品質、安全の4つです。
スムーズに作業を進められるようスケジュールを組み、随時スケジュール通りに作業が進んでいるかを確認します。遅れが発生した場合は臨機応変にスケジュールを変更していきます。
建築にかかる資材費や人件費を管理し、必要以上にクライアントや建築会社の負担にならないようにしなければなりません。
作業の品質が一定以上を維持できるよう確認することも大切です。
そして、現場の安全確認をし、作業員が怪我、体調不調を起こさずに作業を進められるよう管理していきます。
CADオペレーター
CADとは図面を作成する建築に関連するソフトです。
図面はかつては手書きが主流でしたが、CADを使えば簡単に作成できます。
指示書通りに数値を入れれば図面を作成できるので、設計者本人が作成する必要もありません。
そのため、設計者が設計の仕事に専念できるようにCADオペレーターを雇用している企業もあります。
CADのスキルを証明する資格も多数あるため、これらの資格を取得しておくと就職、転職にも有利です。
建築エンジニアの年収はどれくらい?
建築エンジニアの年収について見てみましょう。
建築エンジニアの中でも設計、監理のどちらをメインの業務にするかによって年収は変動します。
設計がメインの建築エンジニアの場合の平均年収は500万円程度、監理がメインの建築エンジニアの平均年収は450万円程度です。設計よりも監理の方が年収はやや低いという結果になっています。
ですが設計や監理をおこなう建築エンジニアの中には年収1000万円を越える人もいます。
大手企業に就職したり、独立して成功したりと、建築エンジニアのスキルは年収アップに役立ちます。
建築エンジニアになるための資格
建築エンジニアになるためにはどんな資格が必要なのかを見てみましょう。
「建築エンジニア」という資格自体はありませんが、建築に関連する国家資格や民間資格を取得することで建築エンジニアとして活躍できます。
建築業界の仕事には高い専門性が求められることが多いです。いずれの求人に応募するにしても、下記のような資格があると非常に有利です。
建築士
建築士は国家資格です。木造建築士、二級建築士、一級建築士があり、一級建築士になると設計、監理できる建築物の規模の制限がなくなります。
大手企業に就職したい、ビルやマンション、橋などより大きな建築物の設計、監理に携わりたいのであれば一級建築士を目指す必要があります。
建築施工管理技士
建築施工管理技士には一級と二級があります。
二級は工事の依頼費用が4000万円未満のものという制限がありますが、一級には制限がなくなります。
建築施工管理技士の資格を取得するためには学科試験と実地試験の二つに合格する必要があります。建築についての知識が求められるだけでなく、現場で経験を積んでいなければわからない実地試験もあるため、いきなり取得するのは難しいです。
二級建築士、一級建築士としてある程度実務経験を重ねた上で建築施工管理技士を目指す方が多いです。
受験する条件が厳しいためこの資格を所有している人が少なく、その分転職や就職の際にこの資格があればしっかりアピールできます。
各種CAD資格
CADのソフトを扱えることを証明する資格はたくさんあります。
有名なのはCAD利用時術者の資格です。二次元基礎、二次元二級、二次元一級があり、建築業界で活躍したいのであれば二次元一級の資格が必要です。
このCADの資格には実際にCADソフトを利用して製図をおこなう実技試験と、CADにまつわる問題を解く筆記試験があります。
CADは独学でも習得できますが、そのスキルをアピールするためには資格が有効です。
建築エンジニアの将来性をチェック
建築エンジニアは将来性のある仕事なのかチェックしてみましょう。
不景気が続く日本の建築業界において、長く働き続けるにはどのようなチャレンジが必要なのか、どのようにキャリアアップしていけばいいのかを考えてみてください。
人材不足が続く建築業界
日本は少子高齢化が深刻であり、さらに建築業界は古臭い、上下関係が厳しい、キツい仕事が多いといったイメージから人材不足が加速しています。
現在日本の建築業界は3人に1人が高齢者であり、十年、二十年が経過すれば3分の1の人材が引退してしまいます。
そのため、若手の建築エンジニアは建築業界において非常に貴重な存在です。
仕事量が増えるなどの問題もありますが、きちんとキャリアを積めば転職や独立の選択肢も増え、より自分らしい、そして自分が求める条件にぴったりの仕事を見つけられるでしょう。
首都圏を中心に需要はなくならない
建築の仕事は海外から輸入できるものは少なく、国内の建築エンジニアは一定以上必要です。
そして現在建てられている建物も老朽化によって建て直さなければなりません。
新しく建築しなければならないものも多く、とくに人口の多い首都圏を中心にその需要はなくならないでしょう。
少子化によって新築戸建てなどの需要は低下していますが、リフォームはリノベーションといった仕事の需要は高いです。また、高齢化によって高齢者施設の建築などの需要もあります。
建築業界で活躍できるエンジニアになろう
建築エンジニアの仕事内容について解説しました。
建築の設計や監理といった、非常に重要な仕事を担うのが建築エンジニアの仕事です。
建築業界を引っ張る存在になりたい、建築業界で高収入な仕事をしたいという方は、資格を取得し実務経験を重ね、建築エンジニアとしてのキャリアを積んでいきましょう。