建築工事に必要不可欠な「墨だし」。墨だしは建築物や建造物を造る際にすべての基準となるものです。決して間違いは許されません。
職人たちは、この作業にいつも以上に神経を尖らせて従事しています。
そしてこの墨だしも、現在ではハイテク機器を用いて墨を出していくのが増えています。
ではこのハイテク機器である「レーザー墨出し器」とはいったい何なのでしょうか?
この機器の使い方や用途について詳しく解説していきたいと思います。
墨だしとは何なのか?
墨だしはいわゆる建築の現場で、実寸大の設計図を描くことに似ています。
超高層ビルやマンションなど特殊な建築物を建造するには極めて制度のある基準や、設計図通りのきちんとした位置の算出が求められます。
この墨だしにおける基準が建物の基準となり、この基準が間違っていると歪んだ建物になったり、建築すらままならない状態に陥ってしまいます。
そうならないためにも墨だしは細心の注意と全神経を集中して行う必要があるのです。
墨だしの歴史は古くは古代エジプトの時代から行われていたと言われています。
それだけ「基準」というものは大事な役割をしていたことが推測されます。
墨だしというのは古くから「墨壺」とよばれる道具を使って行っています。この墨壺は袋状になったところに墨粉を入れ、滑車になったところに巻き付けてある糸を引っ張り基準になるとこにその糸を「パチン」と弾いて床面に墨を書き入れるものです。
レーザーを使用して基準線を投影する墨だしレーザーは1990年代ごろから登場し、これによって徐々に墨だしに使用されてきた墨壺は減少しつつあります。
さらには、チョークラインというチョークを使った機具も普及され始め、墨壺の存在はどんどん減りつつあるのが現状です。
レーザー墨出し器の基本的な使い方
では、レーザー墨出し器の基本的な使い方はどのようになっているのでしょうか。
まず、三脚を設置します。
この三脚は、墨出しが垂直だけでなく平行も必要であるならば必要な道具となります。
三脚が設置し終わったら、レーザー墨出し器をその上に設置します。レーザー墨出し器本体下部と三脚の上部は、お互いにオスとメスのネジになっていますので、これを使ってレーザー墨出し器を回しながら固定していきます。
このときに注意しなければならないのが、「レーザー墨出し器をどこに置くか」です。
重要になるのは対象物に対して適度な距離を保つことです。レーザー光は遠く離れると太くなる特性を持っていますので、遠からず近からずの距離を保つのが重要になってきます。
レーザー墨出し器を設置し終わったら、今度は高さの調整に入ります。
高さ調整は、まず三脚の脚部で調整を行います。この調整はおおまかな高さで調整します。
おおまかな高さが決まったら今度はレーザー墨出し器側で細かい調整を行っていきます。
レーザー墨出し器側と言っても、三脚の上部にあるハンドルを回すだけで細かい調整ができますので難しくはありません。
このとき、レーザー墨出し器に付属している水平器を使って水平も出していきます。
水平を出さなければ、いくら高さを調整しても斜めになった線ができてしまうので、この作業も非常に重要な作業のひとつです。
レーザー墨出し器の水平、垂直が出たら、本体の電源を入れてライン照射のボタンを押します。
機器によっては垂直と水平の選択式があるので必要に応じて選択していきます。
メーカーや機種によってラインの数や光量の調整機能などがついていますが、基本的にはどれも同じです。
最後にレーザーで照射されたところに墨を打っていきます。
このときに注意しなければならないのは、レーザー光上に安易に墨を打たないと言うことです。
墨を打つときには必ずレーザー光の真ん中に打つようにしましょう。
レーザー光の特徴は、照射距離が遠くなるにつれて徐々に太くなるというところです。
できるだけ細く照射できる位置に持っていくのがコツとなります。
たたし、このレーザー光は左右対称に太くなる性質があります。ということは、このレーザー光の中心が正しい線となることが言えます。
よって墨付けする際には、このレーザー光の中心に線を引くことが正しい墨出しになります。
まとめ
墨出しという作業は、その建物の基準となる工程のために非常に重要な作業です。
少しでも位置がズレたりすると施工できなかったり、歪んだ建造物となってしまいますのでその役割というのは極めて重要です。
その重要な墨出しをより正確に導き出してくれるのがレーザー墨出し器です。
レーザー墨出し器は、レーザーの特徴である「光が広がりにくい」性質を利用した機器です。
このレーザー墨出し器を用いて建物や建造物の精度は大きく向上しました。
しかしレーザー墨出し器は使用する場所によって必要な性能が変わってくるのを覚えておかなければなりません。
適材適所で性能を見極め、必要な性能を持ったレーザー墨出し器を使用するのが必要不可欠となるでしょう。