宅建士は不動産業界の仕事に役立つ国家資格で、宅建士にしかできない独占業務があることから転職や収入アップを目指す人に人気の資格です。
本記事では、宅建士の資格を取得することで実際に年収はどれくらい上がるのか、さらに宅建士の資格を活かして年収アップを狙うにはどうすればいいのかを解説します。
宅建士の資格を取得して今後の収入につなげたいと考えている方は、現実的なものかどうかをよく考えてみてください。
宅建士の年収を企業規模別に解説
宅建士の年収を、企業規模別に解説します。
宅建士は、その仕事自体よりも働いている企業の規模や場所、仕事内容によって大きく変動します。
どんなにたくさん働いても企業によっては年収アップが期待できないことも理解しておく必要があります。
なお、以下の年収金額は資格取得のサポートで有名なユーキャンの調査をもとにしています。
大企業の宅建士の年収は400~600万円程度
大企業の宅建士の年収は400~600万円程度です。
この数値は全年齢の平均年収であり、年功序列の会社であれば年齢が上がるほどに給料が高くなります。
また、役職がつくことで役職手当が出て年収が高くなっている可能性もあります。
大企業であっても若手のうちは年収が低い可能性は高いです。
中小企業の宅建士の年収は500万円程度
中小企業の宅建士の年収は、500万円程度といわれています。
大企業と比較すると100万円かそれ以上落ちるのが一般的です。
理由としては、大企業はより規模の大きい取引ができて得られる収益も高く社員に給与として還元できる点があります。
個人向けの賃貸などをメインにしている中小企業は得られる利益が低い分、社員に還元される給料やボーナスも低くなってしまいます。
宅建士の年収を男女別に解説
宅建士の年収を男女別にみていきましょう。
宅建士に限らず、年収は女性のほうが低い傾向にあります。
その理由とともに、性別による年収の違いを見ていきましょう。
男性の宅建士の年収は300~700万円程度
男性の宅建士の年収は300~700万円です。
男性でも初任給は低く、勤続年数や役職によってじょじょに金額が上がっていきます。
役職がつくと宅建士の仕事を必要としない業務も多くなります。
女性の宅建士の年収は250~530万円程度
女性の宅建士の年収は250~530万円程度です。
女性のほうが大幅に年収が低い傾向にありますが、これは日本の社会構造によるところが大きいです。
日本は女性の社会進出が世界に比べると大幅に遅れており、出産や育児で退職を余儀なくされるケースが少なくありません。
復職するまでに時間がかかり、その場合もパートや派遣など非正規で働かなければならないため年収が下がってしまいます。
また、転職活動においても女性は年収を低く見積もられる、男性と同じ仕事をしていてもなかなか昇給しないなどの問題も残されています。
宅建士の年収を地域別に解説
宅建士の年収は、どのエリアで仕事をしているかによっても変わります。
都心部と地方では数百万円単位で年収が変わることもあります。
その理由とともに、各平均年収を見てみましょう。
都心部の宅建士の年収は750万円程度
東京や大阪などの都心部での宅建士の年収は750万円程度です。
都心部には大手企業が集中しており、その分給与も高く設定されています。
また、都心部は取引一件ごとの単価も高く、個人向けの賃貸から大型マンション、商業施設の取引などもあり、得られる利益が高い点も特徴です。
その分社員に給与としてだけでなく、インセンティブとして還元している企業も多いです。
そのほかボーナスなども、都心部の大手企業は高い傾向にあります。
地方の宅建士の年収は430万円程度
地方の宅建士の年収は430万円程度です。
地方はそもそも給料が低く、取引される不動産の単価も低いことから、なかなか社員に還元されにくい仕組みになっています。
また、競合の不動産会社も少ないため、高いインセンティブやボーナス、福利厚生を用意して社員を引き留める必要もありません。
そのため給与面や待遇に不満を感じて都心部への転職を検討する方もいます。
宅建士には資格手当がある?
企業によっては、宅建士の資格を持つ人に資格手当がつくこともあります。
宅建士には独占業務があり、不動産業を開業するにあたっては事業所に必ず一人宅建士資格所持者を配置しなければならないという決まりがあります。
実際に資格手当はいくらくらいもらえるのか、注意点は何かを確認しましょう。
毎月の手当は1~3万円程度
宅建士の資格手当は、毎月1万円から3万円程度が相場です。
なかには1万円以下の場合もあるので、求人に資格手当があることが記載されている場合はいくらなのかをきちんと確認しておきましょう。
資格手当は毎月支払われる法定外福利の一つです。ほかにも通勤手当や家族手当、居住手当など手当が充実している企業を選べば、収入アップにつなげられるでしょう。
資格手当が高すぎる求人には注意
資格手当が月5万円など、相場よりも大幅に高い場合は注意が必要です。
手当が高い分月給が下げられている可能性があります。
ほかにも、みなし残業手当として月40時間以上もの残業代が基本給に含まれていることもあります。
規定された時間内の残業はいくら働いても残業代が別途支給されることはありません。
資格手当の高さにとらわれず、基本給や残業手当、みなし残業時間などもよく確認して転職先を選びましょう。
受験サポート費用が出る企業も
なかには、受験をサポートする費用を出してくれる企業もあります。
企業のなかには宅建士の資格手当がないケースもありますが、その場合でも勉強のための書籍購入費や受験日などを出してくれます。
資格手当は法律で定められた手当ではなく、企業が自由に設定することが可能です。
そのためまったく支給されなくても違法ではないことは理解しておきましょう。
資格取得サポートのみなのか、取得後は毎月一定の手当が受け取れるのかも事前に確認しておきましょう。
宅建士の年収をアップさせる方法
宅建士は不動産業には欠かせない国家資格ですが、宅建士を持っていれば必ず収入をアップさせられるわけではありません。
宅建士の資格をもっと生かして年収をアップさせたい方は、以下の点も参考にしてみてください。
インセンティブを増やす
退職せずに収入をアップさせるなら、インセンティブを増やして収入をアップする方法があります。
宅建士の仕事は、事業所内での事務作業だけでなくお客様の対応や営業も兼ねていることが多いです。
より多くの契約を取ることでインセンティブがつくだけでなく、業務態度を評価されて昇給も期待できるでしょう。
企業によってインセンティブの金額や上限などが決まっていることもあるので、欲しい年収よりもインセンティブの天井が下にある場合は別の方法を考えましょう。
待遇のいい企業に転職する
待遇のいい企業に転職することで、収入をアップできます。
上記でも紹介したように、都心部の企業や大手企業のほうが同じ業務でも年収が高くなる可能性があります。
これまでの実績とともに宅建士資格を持っていることをアピールして、理想の職場へ転職しましょう。
転職時は基本給だけでなくインセンティブや資格手当の有無も確認しておくことが大切です。
副業にチャレンジする
副業にチャレンジすることで、宅建士の資格を活かすことが可能です。
宅建士の資格所有者を求めている企業はたくさんいます。土日を利用して宅建士の資格を活かせるバイトをするなどの方法があります。
また、ブログで宅建士の情報を発信してアフィリエイト収入をえる、宅建士限定のライティングの案件を業務委託で受けるなどの方法もおすすめです。
宅建士という国家資格を活かせる副業は多数あるので、自分が無理なく続けられる方法を探してみましょう。
以下の記事では、不動産業界の転職に役立つ宅建士の合格率について解説しています。
資格を取得して収入アップを目指したい人は、まず宅建士がどれくらい難しいのか、独学での取得は可能かを考えてみましょう。