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ダンプカーと生コン車の使用用途と構造について解説します。

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街中でよく見かけるダンプカーと生コン車(ミキサー車)。
とても大きなその車には、一見わたしたちの暮らしになんの関係もない資材を運んでいるように見えますが、実は大きく関わっているのです。

主には公共事業で行われる道路舗装などの資材を運搬しています。コンクリートや砂利、土砂などをこれらの車は運搬しています。これらの道路などがないとわたしたちの暮らしは成り立っていきません。

大きな交通手段である自動車が走ることができなくなってしまうからです。またダムの建設工事などにおいてはわたしたちのライフラインのひとつである「水」に大きく関わってきます。

水が無くてはわたしたちは生きていくことができません。このようにこれらの車両は身近な暮らしに直結した、とても必要なものなのです。
土木建設現場で大活躍しているこれらの車は幼い男の子たちのヒーローです。これらのドライバーを夢見て大きくなった人たちも少なくないでしょう。今回はこれらの工事車両において、用途や仕組みなどをダンプカーと生コン車それぞれご説明していきたいと思います。

ダンプカーの使用用途と仕組み


まずダンプ(dump)とは「(荷物などを)どさっと下す」という意味の英語で、土砂などを下す様子がこれに似ていることからこの名が付けられたと言われています。

ダンプカーの主な仕事としては、土砂や砂利といった荷物を建設現場に搬入したり、砂利の生産工場から生コンやアスファルトといった資材を生産する工場へと運んだりしています。

普通のトラックのように目的地に着いたら運転手が荷物を下ろす仕事はなく、ダンプによって自動で荷物の下ろしができるため楽に見えますが、運転は長距離運搬も多いため、さほど楽ではないようです。

ダンプドライバーの仕事は大きく分けて

3種類

あります。
1つ目は、

砂利や土砂といった荷物を積んだ後に、工事現場へ運搬するパターン

です。
この場合、仕事によって近距離の場合もあれば長距離の場合もあります。

2つ目は、

荷物を生産工場から生産工場へ運ぶパターン

です。
主にコンクリート生産工場やアスファルト生産工場へ荷物を運んでいきます。この場合は決まったルートを運搬するため、ちょっとした配達業のような感じとなっています。

3つ目は、

工事現場内で運搬するルート

です。
これは公道を通らないために渋滞などにまきこまれることなく仕事をすることができます。
主な構造は荷台を油圧シリンダーの伸長する動きで傾けて、重力によって土砂を排出する構造になっています。
ダンプカーには大きく2種類の分類に分けられます。

普通ダンプトラック・・・

一般公道を走ることを前提として作られたトラックで、シャシー(自動車の車体を除くすべての機構、例えば車の足回りなど)に荷台を設置し、平坦地での走行性能を保つ形態に設計されたものです。

よく街中でみられるダンプカーがこれに当たります。
最大積載量は小型が概ね2トンから4トン。中型が概ね3トンから8トン。大型が9トン程度となっています。

さらには軽自動車の規格に合わせた最大積載量350キログラム以下のダンプカーも存在します。

重ダンプトラック・・・

「オフロードダンプトラック」や「マンモスダンプ」とも呼ばれ、これは一般公道を走行せずに、もっぱらダムの建設や大規模な土木現場に活用されるダンプカーで、積載量は20トンから300トンを超えるものまであります。タイヤ径が非常に大きいのが特徴です。

以上のように一言でダンプカーと言ってもさまざまな用途や構造があることがわかります。土木建設現場にもっとも適したダンプカーを使用することによって、作業の効率化を図っているわけですね。
では次に生コン車の使用用途などについて見てみましょう。

生コン車の使用用途と仕組み


まず、生コンとはいったい何のことなのでしょうか。
生コンとは工場で練り混ぜが終わったまだ固まっていないコンクリートのことで、一昔前まではこの生コンを工事現場で材料を配合し練り合わせて作っていました。

このため品質がバラバラで質の良いコンクリートを作り出すことは極めて困難でしたが、生コン車の登場によって、生コンを工場で製造できるようになった為、安定した品質を保てるようになったのです。
生コン車は、荷台部分にミキシング・ドラムと呼ばれるものを備えた貨物自動車のことで、回転可能な円筒形の容器に生コンクリートを入れて撹拌しながら走行することのできるトラックです。

日本国内では1949年(昭和24年)に傾斜装置の上に鍋形の生コン容器を取り付けたミキサー車が登場し、1952年(昭和27年)に現在の形の原型となる傾斜円筒ドラムを搭載したトラックが登場しました。

生コン車は、先に述べたように生のコンクリートを工事現場まで運ぶ仕事が主になっていて、生コンクリートは時間経過によって固まってしまうため、迅速に工事現場まで運ぶ必要があります。
そのために少しでもコンクリートの硬化を防ぐために撹拌しながら運搬するのです。
さらには運搬距離に関しても綿密なスケジュール管理がされていて、工事現場までの道のりの渋滞予測も調べてできるだけ短時間で到着できるように計画されています。

一般的には90分以内で生コンクリートを運搬できるような運搬計画が成されています。
次に生コン車の構造ですが、主に以下のような装置や部品から成り立っています。

ドラム・・・

生コンクリートを積載する円筒状の容器のことで、走行中も常に回転し続けて水の分離を防いで生コンクリートの品質を一定に保つ役目をしています。
内部にはらせん状のプレートが取り付けられていて、走行中は常に回転しています。
積載時は、トラックの後方から見て反時計回りに回転し、生コンクリートを下ろす時は時計回りに回転します。

ホッパー・・・

トラック車両の後方上部にある生コンクリートを入れる口のことで、最近では雨水や異物の混入を防ぐなど品質維持のため投入時以外はカバーをかける機種が増えてきています。

フローガイド・・・

後方のV字型になった受け口のことで、生コンの通り道となります。生コンをシュートに集めるよう漏斗(じょうご)の役目をしています。

シュート・・・

生コンクリートを目的の場所へ下ろすためのもので、左右に回転するほかにも、上下運動もできます。
上下運動は、コンクリートポンプ車など比較的高い所に生コンクリートを入れる作業があるところに持ちられます。

大型の生コン車ですと、上下運動にかなりの力が必要になってくるため、操作する人の作業軽減のために、油圧式での上下機構や、電動モーターでのスイッチで稼働するタイプがあります。

水タンク・・・

荷下ろししたあとに、ドラム内の清掃をするために用いる水を貯蔵している所です。容量は小型で約100リットル、大型で約200リットル程度あります。

水ポンプ・・・

水タンクの水をホッパーノズルや洗浄ホースへ送り出すためのポンプです。

ドラムレバー・・・

ドラムの回転方向や回転速度などを調節するための操作レバーです。レバーを前方へ倒せば正転(撹拌)し、後方へ倒せば逆転(排出)します。
操作レバーは倒せば倒すほど回転速度が上がるようになっていて、レバーの傾きを浅くすればドラムはゆっくり回ります。レバーをいっぱいに倒しても撹拌速度が不足する場合は、エンジンの回転数を高めることによってさらに速度を増す仕組みになっています。

操作レバーは車両の後部、運転席、ホッパー付近にあるのが一般的です。最近ではレバーを無くしたリモコンタイプがあり、リモコンのダイアルの回し方によって自動でエンジンの回転数を上げたりできるものがあります。

油圧装置群・・・

作動油タンク、油圧ポンプ、バルブ、モーター、フィルターなどからなる一連の装置のことで、作動油タンクから油圧ポンプで組みだされた作動油をフィルターを介して異物を除去し、バルブで流量の調節や方向を制御します。

バルブに関しては、運転席や車両後方部にて制御できるようになっています。
また、最近では走行中でもドラムの回転数が過度にならないように自動制御できる車両も増えてきています。この油圧で発生させた回転力は、ドラムに連結されているギアやチェーンによって動力が伝達されドラムの回転力として働いています。

以上のように生コン車は、生コンクリートを扱う車両において、さまざまな装置や工夫を凝らし、生コンクリートの品質維持に努めているのかがおわかりいただけたと思います。
この生コン車の登場によって飛躍的にコンクリートの質が向上したのではないでしょうか。

生コン車はダンプカー同様に土木建築にはなくてはならない存在となっています。

そしてわたしたちの身近な暮らしの中にもこのような車両の活躍によって生活が成り立っているのを忘れてはいけません。普段なにげなく目にしているこれらの車両には長年構築されてきた技術の結晶が積み込まれているのです。

では、そのような車両のドライバーにはどうすればなれるのか、必要な資格は何があるのかをご紹介していきましょう。

ダンプ・生コンドライバーになるための資格は?


ダンプカーと生コン車。幼いころにこのような車両の運転手になりたいと思われた方は少なくないと思います。

その想いは大人に成長した今でも心に残っている方も少なからずいるかと思います。

ではこれらの工事車両のドライバーになるためにはどうすれば良いのか。どのような資格が必要なのかをご紹介していきたいと思います。

まずダンプカーについてですが、ダンプカーは通常の車両より車両重量が大きいために、その重量に適した免許が必要になってきます。10トンを超えるダンプカーですと大型免許が必要となってきます。

しかし、最低限必要になってくるのは普通自動車免許でしょう。普通自動車免許では車両重量5トンまでとなっており、最大積載量は3トン未満となっています。

最低でもこの免許さえあればダンプカーを運転することができます。荷台の操作に関する資格はとくにありませんので、その車両重量に見合った運転免許さえあれば運転できることになります。

しかしこれらに加えて、「大型特殊免許」や「車両系建築機械運転技能者講習」などの資格があれば転職や就職する際に有利にはたくことは間違いないでしょう。

大型特殊免許は、油圧ショベル(ユンボ)と呼ばれる工事車両を一般道で走らせるために必要になってきますし、車両系建築機械運転技能講習は実際に現場で油圧ショベルなどを操作するときに必要になってきます。

これがあれば、ダンプに自ら荷を積載することも可能ですので、事業側としては大いに助かる資格と言えます。このような資格があれば決して損をすることはありません。

次に生コン車ドライバーについてですが、これもダンプカーと同様に生コン車両の車両区分に合った運転免許があれば運転することができます。タンクなどの操作に関して、特別に資格などは必要ありません。

しかし、生コンクリートは時間との勝負になりますので、迅速な行動や、工事現場の人たちとの連携が必要になってきますので、コミュニケーション能力は大切な能力ポイントとして必要となってきます。

では、このようなドライバーの仕事に就くにあたり、どのような適性が必要なのでしょうか。
まず第一に運転が好きな人が好ましいでしょう。

ドライバーはほぼ一日中トラックを運転する仕事になります。それでも運転自体が好きで、運転が趣味な人にはこの仕事に向いているかもしれません。裏を返せば長い運転時間でも耐えられる忍耐力や我慢強い根気が必要になってくる仕事とも言えます。

同じことを繰り返す作業が苦手な人は向いていないかもしれません。次に責任感のある人が望ましいでしょう。
ダンプや生コン車でただ荷物を運搬しているだけと思っている人は運転中注意力が散漫になり交通事故を起こしかねません。預けられた荷物はきちんと責任をもって工事現場まで運べる責任感の強い人が良いでしょう。

最後に一人で仕事をしたい方に向いているとも言えます。
ドライバーの仕事はほとんどが運転業務になりますので、長時間ひとりでいることが多い仕事です。ひとりできままに仕事がしたいという方にはもってこいの職種かもしれません。

以上のようにダンプ・生コンドライバーの仕事に就くには車両重量に見合った運転免許と適性が必要になってきます。ドライバーになるためのハードルは高くはありませんので、仕事さえあれば比較的容易にドライバーの職に就くことができます。

まとめ

今回、ダンプカーと生コン車の役割や構造、ドライバーになるためにはどうしたら良いのかをご紹介してきました。

この仕事は長時間運転に耐える体力が必要になってきますので、決して楽な仕事ではありません。

しかし、このような仕事に就くことで日本の土木建設工事を支える一翼を担うことができ、非常にやりがいを実感できる職業とも言えます。

また、仕事によっては全国各地、いろいろな場所をめぐることのできる仕事でもあります。車両を走らせているときに、子どもたちの視線を浴びることもやりがいのひとつかもしれませんね。

トラック業界に転職を考えている方も、もっと大きな車両に乗るために免許取得の検討をしている方も、この記事を通して参考になれば幸いです。

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