建築業界や不動産業界は、所有している資格によって対応できる業務が大幅に変わります。
有利な資格を持っていれば転職にも役立ち、キャリアアップにも役立ちます。
今回は、建築業界、不動産業界で活躍できる資格の一つ、不動産鑑定士を紹介します。
仕事内容や資格の難易度を確認し、取得に向けて行動を始めましょう。
不動産鑑定士の仕事内容を確認
不動産鑑定士は国家資格の一つで、弁護士や公認会計士とともに三大国家資格とも称されています。
国家資格故に独占業務もあり、その価値は非常に高いです。
その名の通り不動産を鑑定するのが主な業務ですが、この仕事は将来性も高く、景気に左右されることもないため、一度取得すれば長く安定して仕事を得続けられるでしょう。
どのように資格を活用するか、詳しく見てみましょう。
鑑定評価
不動産鑑定士の独占業務として、不動産の鑑定評価があります。
第三者的な公平な視点で不動産を的確に見極めるのが仕事です。
鑑定には公的評価と民間評価があります。
国や都道府県から評価を依頼されるのが公的評価で、個人や起業から依頼されるのが民間評価という区分です。
公的評価は年に一度必ず行われるため、安定して高い収入を得られるというメリットもあります。
コンサルティング
不動産鑑定の知識、経験を活かし、不動産をどのように活用するかアドバイスするコンサルティング業務も不動産鑑定士ならではの仕事です。
マンションやビルの建て替えのアドバイスや、都市開発における不動産の評価、企業や個人が所有している不動産の活用方法など、不動産の綜合的なアドバイスをおこないます。
不動産会社やコンサル会社でも活躍できますが、建築系の資格や知識を活かし、建築のスペシャリストとして活躍していくことも可能です。
不動産鑑定士以外の資格、経験と合わせて、人それぞれにさまざまなキャリアプランを計画できるのも不動産鑑定士のメリットです。
不動産業界で活躍できる
不動産鑑定士は主に不動産業界で活躍できる資格です。
不動産鑑定士を所有しているのは全国で8000人ほどしかおらず、非常に希少価値が高いです。
そのため、資格を所有しているだけで転職も有利になります。
条件の多い求人も多く、働きやすく、高い収入の仕事に巡り合いやすいでしょう。
大手デベロッパーにも転職できる
不動産鑑定士は不動産業界だけでなく建築業界でも活躍できます。
街づくりや再開発に携わる大手デベロッパーでも、不動産鑑定士の資格を活かして働けます。
大手デベロッパーは新卒採用を積極的に行っており、どんなに経験があっても中途採用は非常に難しいです。
ですが、不動産鑑定士のような難易度が高く希少価値の高い資格を持っていれば、大手デベロッパーへの中途採用も夢ではありません。
建築業界で実績が豊富にあり、街づくりに携わっていきたいと思っている方にも不動産鑑定士の資格取得がおすすめです。
独立開業も目指しやすい
不動産鑑定士は独立開業もしやすい資格です。
そもそも取得難易度が高い国家資格なので、不動産鑑定士を持っているというだけで十分な肩書きをつけられます。
さらに大手の企業や国からの不動産鑑定の依頼を受けた実績があれば、独立してフリーのコンサルタントとしても活躍できるでしょう。
独立すると仕事量が不安定になり、営業や経理業務もすべて自分で行わなければなりません。
ですが、自分の力量次第でより高い収入を目指せるようになるという利点もあります。
不動産鑑定士の難易度を解説
不動産鑑定士は弁護士や公認会計士と並んで取得難易度の高い資格です。
試験は短答式と論文式があり、双方で合格しなければなりません。
それぞれの合格率と注目ポイントを解説します。
短答式試験の合格率は32%~36%
短答式試験の合格率は毎年32%~36%程度で、5択の問題が40問、マークシート形式で出題されます。
行政法規と鑑定評価の理論の問題がメインで、各科目で一定以上の点数を獲得しなければなりません。
どれくらい点数を取ればいいという明確な基準はなく、相対評価で合格者数が決まるため、より高い点数を獲得する必要があります。
また、この短答式試験に合格しなければ次の論文式試験を受けられず、合格はできません。
論文式試験の合格率は14%~16%
不動産鑑定士の短答式試験の合格率は低くない一方、論文式試験の合格率は14%~16%と一気に低くなります。
この合格率の中には、前年までに短答式試験に合格した方も含まれています。
一発で両方の試験に合格できる方は全体の5%未満です。
不動産鑑定士はきつい?年収は高い?将来性は?
不動産鑑定士としてのキャリアを考える前に、自分に向いている仕事なのか、将来性は高いのか、どれくらいの収入を確保できるのかを確認しましょう。
不動産鑑定士試験のために必要な勉強時間は2000時間程度、働きながら勉強するなら1~2年の期間が必要です。
後悔することのないように、自分のキャリアプランを立ててくださいね。
AIにはできない仕事なので将来性は高い
不動産鑑定の仕事は、実際に目で見て、周囲に聞き込みをして、正確に判断しなければならない仕事です。
AIはデータ収集などはできますが、正確な鑑定は任せられず、依頼も長期的に安定しているため、建築業界の中では将来性は高いです。
ですが、日本全体の少子高齢化や不景気の影響で、建築業界自体の将来性が危ぶまれています。
不動産鑑定士以外にも役立つ資格や異業種の知識も絶えず学び続け、各分野で活躍できるスペシャリストを目指す必要があります。
不動産、建築全般の知識が必要
不動産鑑定士は試験に合格すればいいだけではなく、その後実務経験を重ねなければなりません。
不動産全般、建築全般の幅広い知識が必要です。
実務経験ではイレギュラーな対応も求められ、常に学び続けなければなりません。
不動産鑑定士を取得できるほどの方なら問題はないかもしれませんが、油断することなくより多くの知識を学び続けましょう。
語学力が求められることもある
日本の建築業界は不景気な状況が続き、今後も回復する見込みは少ないため、大手の不動産会社やデベロッパーは海外にも事業を展開しています。
海外の不動産の鑑定となると当然海外に出張、転勤しなければならず、高い語学力が求められます。
反対に、ある程度の語学力があれば、即戦力として大手の不動産会社やデベロッパーに転職しやすくなります。
今後も不動産業界、建築業界の第一線で活躍し続けるためには、語学力の獲得も必要です。
年収は800万円~、独立すればより稼げる
不動産鑑定士の年収は800万円程度が一般的です。
企業に勤務している不動産鑑定士、地方公務員の不動産鑑定士でも高い収入を得られますが、独立するとこれ以上の年収を得られるチャンスも広がります。
自分でどの依頼を請け負うか決められるので、自分の可能性を信じたい方、自由な働き方がしたい方は、独室も視野に入れてみましょう。
不動産鑑定士の資格を仕事に活かそう
不動産業界や建築業界で活躍できる不動産鑑定士の資格を紹介しました。
不動産鑑定士の合格率は5%程度と非常に難易度が高いです。
一方で、資格を取得すればより幅広い分野で活躍できます。キャリアアップにも役立つチャンスがたくさんありますよ。
建築士などの国家資格と合わせて活用すれば、あなたなりのキャリアプランを立てられます。
大手デベロッパーへの転職を検討している方、独立を検討している方も、不動産鑑定士の資格取得を検討しましょう。