「家」というのは、ただ雨風を凌ぐものではありません。
家族のコミュニケーションをとったり、友達を招いてホームパーティーをしたり、使用用途はたくさんあります。また家族全体の憩いの空間としてとても大切なものになります。一度は夢見るマイホームだからこそしっかりとした知識を持って、ハウスメーカーや工務店に依頼をしたいものです。
また、これから建築関係の仕事に就きたい方もどのように家ができていくのか気になるところだと思います。今回はそんな「家」が完成するまでの基本的な流れをご紹介するとともに、建築関係に携わりたい方のために、家を建てる仕事にはどんなものがあるのか。
などをご紹介していきたいと思います。
地鎮祭
地鎮祭は、建物を建てる前に執り行うもので、その土地の守護神(鎮守神)を祀って、その土地を利用することを許してもらう儀式です。
一般には工事を安全に無事故で施工できることをお願いする儀式とされていて安全祈願と呼ばれることもあります。基本的には神式で神主さんが行うことが一般的ですが、場合によってはキリスト教式で地鎮祭に代わる「起工式」を行うケースもあります。
地鎮祭は必ず行わなければならないという義務はありません。地域によって風習は異なりますが、都会を中心としたところでは地鎮祭を実施せず、そのまま工事着工のケースも多々あります。
地鎮祭は、一般的に土地の四隅に青竹を立てて、その間を注連縄(しめなわ)で囲い、神主さんによってその工事に関わる人たちの前で執り行います。祭場の中には木の台を備えて中央に神を迎えるための神籬(ひもろぎ)というものを立てます。それを祭壇として供え物をお供えします。
地盤改良
地盤改良は、建物を建てるにあたって、安定性を保つために地盤に人工的な改良を加えることで、これによってしっかりとした地面に作り替えていきます。やりかたとしては大きく3種類あります。
表層改良工法
表層改良工法は、軟弱層を支持層まで掘削し、その中にセメント系の固化材を投入。その後に土を戻して撹拌します。これは土と固化材を混ぜ合わせることで地盤を強固にするものです。
柱状改良工法
柱状改良工法は、一般的には安定した支持層まで、杭を打ち込みますが、一戸建ての場合はそこまで打たないで約4メートルで済ませる場合が多いです。これは支持層まで杭を打たなくても地震の時に数十本の杭と土が摩擦を起こすことで、杭の注入された土の部分が一体化して家の揺れを抑えることができます。
鋼管杭工法
鋼管杭工法は、基本的には柱状改良工法と同じで、コンクリートの柱の代わりに鋼管を使用するものです。
遣り方
遣り方とは、丁張とも呼ばれ、建物を建てる際に、正確な位置出し作業で施工する基準となる仮設工作物を設置するための測量作業のことです。貫板と呼ばれる木板を建物の回りをぐるりと囲むように設置して、そこに境界線や道路境界線から正確に測定したものを建物の外壁線として記します。
またここで建物の高さ(ここでいうと基礎の高さ)がわかるようになります。
この作業は建物を建てるのに最も重要な作業で、これを間違えてしまうと家そのものが間違った形になりかねません。
基礎工事
地盤改良をして地盤をしっかり固め、遣り方を終えたら、今度は建物の基礎工事に入ります。この基礎工事は建物の全てを支える土台になりますので、非常に重要な役割を果たしています。基礎工事の大きな流れとしては、建物を建てる環境にもよりますが、大きく分けて3工程あります。
根切り~砕石敷き
まず基礎のいちばんそこになる部分まで重機を使って掘削していきます。これを「根切り」といいます。この根切りが終わった後に、細かく砕いた砕石を敷き詰め、地面を固めていきます。この工程は地耐力を高める大事な工程で、基礎工事の「基礎」になる部分です。
防湿シート敷き~基礎外周型枠
砕石敷きが終わったら、次はその上に防湿シートを敷き詰めていきます。さらにその上から「捨てコン」と呼ばれるコンクリートを流し込んで平らにしていきます。この捨てコンは強度には関係なく無筋コンクリートでできています。
基礎を作る際の印をつけるための役割や基礎を乗せる面を良好な状態にするために捨てコンを打ちます。捨てコンが打ち終わったら、その上に鉄筋を組んでいきます。そしてコンクリートを流し込むための型枠を組んでいきます。
生コン打設
捨てコン、型枠が終わったら、その型枠内に生コンを流し込んでいきます。水分や空気をしっかりと抜き取って、コンクリートの強度が出るまで養生(乾燥)したら型枠を外していきます。
土台敷き
土台敷きは、コンクリートでできた基礎の上に、家の土台(木)を設置して住宅の骨組みを作っていく工程です。
この土台敷きは基礎の次に重要な工程で、ずれたり腐ったりしないように材料や取り付け方法をしっかりと考えて施行しなければなりません。
一番大切なのは土台を湿気から守ることであり、コンクリートでできた基礎の上に樹脂製でできたパッキンを敷き詰め、その上に土台を置いていきます。
目的は床下や土台の乾燥で、このパッキンによってコンクリートと土台の縁を切り、乾燥しやすい状態にします。
建て方、上棟式
建て方は、「棟上げ」「上棟」「建前」とも呼ばれていて、家の基礎工事が終わったら、木材を使って家の枠組みを組み始めます。そして、一番高い所に「棟木」と呼ばれる横木を取り付けるところまでを言います。
この時点で無事にここまで施行してくれた大工さんに感謝の気持ちとして「上棟式」を執り行うのが一般的です。
現在ではこの儀式を簡略化する傾向にありますが、注文住宅を建築するする人にとってはとても重要な儀式と言えるようです。
上棟式が終わったら、すぐ屋根を組み上げていきます。ここまでの工程を基本的にはわずか数日で行ってしまいます。短時間で屋根まで組み上げないと急な天候の悪化で、部材が雨にさらされてしまい品質の低下になってしまうので迅速に行う必要があるわけです。
外装工事
建て方が終わったら、床下地工事を行い、天井や壁の作業をしやすくすると同時に、外装工事を行っていきます。管柱や間柱の施行が終わった所から窓のサッシをはめ込んでいきます。
工事中は雨が大敵ですので、サッシを取り付けたら素早く防水シートや、断熱材を取り付けていきます。またこの時に、電機やガス、水道などの施行も同時に行っていきます。
内装工事
外装工事が終わったら、内装工事に入ります。内装工事は、天井や壁、床の仕上げ材を貼り付ける前に断熱材と石膏ボード材で下地を作ります。それが終わったら、床にはフローリング材、壁にはクロス材など仕上げに必要な部材を貼り付けていきます。
この時に、建具や家具、キッチンや照明器具などの取り付けも行います。和室があれば畳も敷きこんでいきます。
竣工検査、引き渡し
工事が完了したら、施工会社によって建物に不具合がないか、図面通りにきちんと作られているか、などの審査が行われます。また設備の動作チェックなども確認して行きます。そしてこの竣工検査に問題が無ければ晴れて依頼主に引き渡されて完了となります。
以上のように一般的な住宅建築の流れをご紹介してきました。建築場所や環境などによって施工方法はさまざまですが、おおまかな流れはこのような感じになっています。
では、家を建築するにあたり、どのような職柄の人が携わっているのでしょうか。またどのような資格があるのか。簡単にご紹介します。
建築に携わる人とその資格
家の建築にはいろいろな人が携わっています。長年培ってきた技術を持ち合わせた職人や大工、頭脳集団の設計者、インテリアコーディネーターからエクステリアコーディネーターまで、幅広く携わり、ひとつの「家」を作り出していきます。
ではその職種とはなにがあり、建築に関わる資格はなにがあるのでしょうか。
その他にも、土木、鉄筋、型枠、瓦、内装、外装、設備など、軽く数えただけでも約30種類の職人たちがひとつの家を建てるのに携わっています。
では、これらの建築のプロフェッショナルにはどのような資格があるのでしょうか。
まとめ
ここまで家ができるまでのおおまかな流れと、それに携わる職人、資格などをご紹介してきました。
家ひとつ建てるだけでもとても多くの人たちが関わっていることがご理解いただけたのではないでしょうか。家はわたしたちにとって暮らしに欠かせないものです。その欠かせないものをこの記事を通して再認識して頂ければ幸いです。
また、これから建築関係に携わりたいと考えている方や、すでに関わっているが自己のスキルアップを目指したいと思われている方には、この記事を参考にして何かのお役に立てることを願っています。
特にこれから家を建てようと考えている方は、家ができるまでの仕組みをある程度理解しておくことで施工業者とのスムーズなコミュニケーションをとることができ、施行する際にも手抜きはないか、肝心なところはきちんと施工されているか。などを注視して施工を見守ることができると思います。