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舗装工事における測量について

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測量の歴史は古く、古代エジプト時代から行われてきたと言われています。

日本では1800年に伊能忠敬が日本地図作成のために本格的な測量を行ったのが始まりとされています。

現代ではさまざまな測量機器が開発され、傾斜計やトータルステーション、セオドライド、3Dスキャナーなど、制度が著しく高くなってきています。

測量は建物の建築や橋、道路の舗装工事にいたるまで必要不可欠な工程であり、建設行為においては欠かすことのできない仕事です。

わたしたちの周りにある建築物は自分の家も含めて測量があってこそ成り立っていると言っても過言ではないでしょう。

間違った測量を行えば建物は曲がり、道路はデコボコになったりと、わたしたちの暮らしに欠かせないものが成り立たなくなっていきます。

今回はそんな測量において、測量とは何なのか?測量の大切さや種類などを、舗装工事を中心にご紹介していきたいと思います。

舗装工事の基本的な流れ


普段何気なく使っている道路

まず思い浮かべるのは真っ黒いアスファルトを敷き詰めることではないでしょうか。

実は道路はそれだけではなく、基本的には4層でできています。

アスファルトにように表面に出ているのを「表層」。その下の層を「基層」

さらにその下には「路盤」と言って、主に砂利でできている層があり、一番下に「路床」と呼ばれる土でできている層があります。


出典:株式会社エコワーク

表層にのしかかる交通荷重は、上層から下層へ伝わることで荷重を分散しています。

そのため、下層は重さに耐えられるように砕石(砂利など)を固めて作られていて、上層は摩擦や摩耗性などを重視した材料で作られているのが特徴です。

〇表層・・・最も上にある表層で、通行時の過重を分散して下層に伝えます。また、安全で快適に走行できるようにある程度のすべり抵抗性と平坦性があります。
〇基層・・・表層から伝わってくる荷重を均等に路盤に伝達する役目があります。
〇路盤・・・上層から伝わってくる荷重をさらに分散して路床に伝える役目があります。
〇路床・・・最後に荷重を受け止めるところで、舗装の下面から1メートルほどの最下層の部分です。主に土でできた地盤に近い部分となります。

舗装道路はまず現場の視察から始まります。

設計図を基に現場との相違はないか、どのようにしたら工事を効率的に、安全にできるか。などを調査していき、設計図面との相違がある場合には測量を行います。

この測量を間違ってしまうと道路がうまく施工できなくなってしまうので、最初の仕事として最も重要になってきます。

現場の測量が終わったら施工に入っていきます。

「路床工事」から「路盤工事」「基層工事」と施行して最後に「表層工事」に入っていきます。

道路舗装工事において最初の現場視察と測量は非常に重要な仕事になってきます。

この最初の仕事を怠ってしまうと完成した道路の品質に影響するのはもちろんですが、施行の効率性や費用面にも影響が出てきてしまいます。

何事にも「最初が肝心」ということなのです。

測量士の役割

測量士という仕事は、簡単に言えば裏方作業になる仕事で、決して目立つ仕事ではありません。

いわゆる「縁の下の力持ち」といったところでしょうか。

しかし測量士はあらゆる建設や土木に携わっていて、工事が安全で確実に施工されるように測量法に基づいた測量計画を立てて測量を行うスペシャリストです。

道路舗装のみならずダムやトンネルなどわたしたちの暮らしにとってとても重要な工事も測量から始まります。

そして測量士はミリ単位の仕事をしています。

それくらいの仕事をきちんとしなければ後に建設される建物などに大きな影響を及ぼしてしまうからです。

目立たない仕事だけにそれだけ大きな責任を持った仕事なのです。

測量は工事の前には必ず必要な作業になってきます。測量士なしではいかなる建物も設計をすることができません。

測量機器の種類と内容


舗装道路の基本的な施工の流れと測量の大切さがわかったところで、その測量においてどのような機器が使われえているのでしょう。

いくつかご紹介したいと思います。

【レベル】

レベルは地面の高さを測る測定器のことで、ある地点にレベルを設置し、測定箇所の2点間の差を測ることができます。

測点にスタッフという大きな定規を置き測っていきます。

このレベル測定で、土地や道路の高低差を測ることができます。

この測定で高低差を把握することで建物の水平の実現や、道路の勾配の実現などができます。

【トランシット】

トランシットは望遠鏡の中心点を基準として、方角に対しての角度を計測する測量機器です。

三脚の上に据え付けて使うもので、角度を精密に計ることができます。

セオドライドや経緯儀とも呼ばれています。

【トータルステーション】

トータルステーションはあらゆる測定現場で最もよく使われている測定器のひとつで、距離を測る光波測距儀と、角度を測るセオドライドとを組み合わせたものとなっています。

従来は距離と角度を別々に測っていましたが、これによって容易に両方測れるようになりました。

測定には一人がトータルステーションを設置し、もう一人がピンポールと呼ばれる棒を立てて測定します。

よく街中で測定器と棒を持った人がペアで作業しているところを見かけますが、それがトータルステーションを用いた測量作業です。

【GNSS測量機】

GNSS測量機は、人工衛星から送信される電波を利用する測定方法を用いた測量機です。

この測量方法は天候に左右されることなく測量できるのと、いままで測量できなかったところでの測量も可能になりました。

GNSSとは「Global Navigation Satellite System」の略で「全世界的衛星測位システム」と言います。

しかしデメリットもあり、衛星を利用するため上空が開けていないところや妨害波などの影響、建物や看板による衛星電波の反射などによって測量の影響を及ぼす可能性があります。

この場合は従来のレベルやトランシットなどを用いてカバーすることが必要です。

測量士の業務内容


測量士としての仕事の始まりはまず、民間企業や地方自治体などから依頼を受けるところから始まります。

クライアントと詳細な打ち合わせを行い、工事場所や工事予定地、工事内容などを聞き取り、現地視察を行います。

そして安全にかつ迅速に測量を行うための測量計画を作成します。

計画がまとまってきたらチームを組んで現地への本格的な作業に入っていきます。

測量士の業務内容は大きく分けて2種類あります。

「外業」「内業」です。

外業は、測量士が野外で行う作業のことで、概ね2人から5人でひとつのチームとして活動します。

各自がトランシットやレベル、GNSS測量機などを使って各種のデータを収集していきます。

近年ではこれら機器類もめまぐるしく進化していますので、得られるデータの量や作業の効率性も高まってきています。

しかし、その分知識が追い付いていないと機器を取り扱うことはできないので、測量士の業務は年々難易度が高まっていると言えるでしょう。

内業は、主にデスクワークです。

外業で収集したデータ類を処理する作業が主で、専用ソフトで解析・分析し、必要に応じて修正や変換作業を行っていきます。

そして最終的に測量図に仕上げていきます。

測量士は外で測量するイメージが強いのですが、測量しただけではなんの意味もありませんので持ち帰って図面に反映する必要があるわけです。

最近では取り扱うデータ量も多彩化し膨大なデータ量になってきていますので、こうした屋内作業でもかなりのボリュームがあると言えます。

測量士になるための資格


測量士は、測量業者に配置が義務付けられている国家資格(業務独占資格)となっています。

ちなみに業務独占資格とは、国家資格の分類のひとつで、その資格を持っている人でなければ携わることを禁じられている業務を独占的に行うことができる資格のことをいいます。

測量士の資格は測量法に基づいて、国土交通省国士地理院が所管しています。

測量士の資格の取得方法は主に2種類あって、測量士国家試験を受ける方法と、学歴や職歴などを定められた条件をクリアする方法とがあります。

測量士国家試験の受験においては特に受験資格は設けられていないため、誰でも受験することができます。

測量士の業務内容は、測量業者の行う測量に関する計画を製作し、実施することができます。

測量士には「測量士補」という資格もあり、これは測量士に対して測量計画を作成することはできません。

測量士の作成した測量計画に指示に従って測量業務を行います。

測量士補になるためにも条件が必要で、まず測量士補試験に合格する方法と、学歴や職歴などを定められた条件を満たすことで測量士補になることができます。

試験の合格率は測量士補のほうが高いのですが、最初から測量士の資格を受験する人が多く、現場では測量士のほうが多いのが特徴です。

しかし、測量士の合格率は例年10パーセント程度しかなく、やはり学校に通ったり、専門知識をしっかり熟知して対策をしなければ合格は困難と言えるでしょう。

ただ、測量士は先に述べたように無試験で資格を取得できる方法があるのでそれを活用するのも良いでしょう。

測量士の適性ややりがい


測量士は、ミリ単位で正確に測定することが求められます。

現場ではまだ測量されていない山道や、険しい自然環境での測量も求められ、体力的に非常にハードなめんがありますので、体力に自信のある方が望ましいです。

また、測量したデータを持ち帰って、バグをひとつずつ発見しては修正を繰り返すと言った根気のいる作業も必要になってきます。

そして測量技術は日々進歩しているので、扱う機器もめまぐるしく進化していっています。

そうした面においては最先端技術を使いこなす仕事が多いため、機械いじりの好きな人や機械操作が得意な人も測量士の適正として必要になってきます。

一方でやりがいを強く感じている方も多いようで、測量士は一見地味な仕事に見えますが、その成果を建築物として確認することができるのと、社会的に大きく貢献できるという実感を得ることができます。

また、最新技術を使いこなすことによって、自分がこの業界の最先端を担っていると自覚できることも大きなやりがいとなっているそうです。

ましてや道路などの公共設備に関しては、そう簡単に取り壊されるものではなく、もしかすると孫の代までそこにあり続けることも少なくありません。

「これは自分が測量した」と強い誇りを感じることができるでしょう。

測量士の現状


まず、測量事業という観点から見てみると、測量事業者は減少傾向にあります。

その理由としては、技術者の不足や後継者不足による経営者不足ということもありますが、それと同時に仕事不足という面もあります。

測量士の年齢は、50歳以上が全体の51パーセントにもなっており、測量士の高齢化が懸念されています。

また、社会保障費の増大を受けて日本の財政が悪化し公共事業ができなくなった結果、受注競争では入札下限ギリギリで赤字受託などが進んでいるからだと言われています。

しかし測量というのは、わたしたちが暮らしている以上、決してなくなることのない仕事であると言えます。

インフラの敷設や維持管理には欠かせないものだからです。さらには最近では相次ぐ災害や震災などで被害を受けたインフラの復旧工事需要が高まりつつあります。

また、近年ではドローンによる測量も高まってきており、さらなる需要の高まりが見込まれています。

よって工事の根っこになる測量士の仕事の需要は極めて底堅いものと言えると思います。

測量士としての資格があれば転職や就職に有利に働くとともに、給与面でも優遇されると思われます。

測量事業者においても、測量士が多ければ多いほどその会社の信頼度のアップにつながってくるため、どの測量会社も測量士の求人には積極的ですので、測量士の資格を持っている方はこの機会に応募してみてはいかがでしょうか。

まとめ


測量士はあまり目立つことの無い職業です。

しかも地道に作業しなければならず、根気と体力が必要になってきます。

しかしやりがいも大きく、必ず測量したところには形あるものが残り、多くはそれが長年そこにあり続けるものがほとんどです。

資格に関しては複数の資格取得方法が存在し、測量士受験において難易度は高いのですが、その他の条件を満たせば測量士になることもできます。

また、測量士には民間のみならず暮らしの基盤となるインフラの再整備といった公共事業も継続的に行われていますので、ニーズが途切れることは極めて低いと言えます。

測量士の知識と技術力には汎用性が高く、建築土木におけるさまざまなプラスアルファをすることで他の測量士と差別化を図り、より新たな道を切り開くこともできるでしょう。

不動産登記もできる測量士を目指し、土地家屋調査士などの資格を勉強する方もいます。

測量士の資格を持っている方も、これから測量士を目指す方もこの記事を通して測量士の魅力の再認識と挑戦する意欲の糧になれば幸いです。

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