建築業界は高卒でも働ける求人が多いですが、実際の年収や大卒との年収の違いは気になりますよね。高卒ではどれくらいの収入を得られるのか、そしてなぜ大卒と収入に違いがあるのかについて解説します。
高卒で建築業界で年収を上げる方法も解説するので、将来年収アップ、キャリアアップを検討している方はぜひ参考にしてみてください。
高卒の建築業界の平均月収は19万円程度
厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査 結果の概況」によると、建築業界の19歳以下の月収は19万3,800円でした。
大卒に該当する20~24歳の平均月収は23万800円で、建築業界全体の平均月収は33万5,400円です。
一見すると高卒の月収は低いように見えますが、同調査での業界別の収入を比較すると、建築業界の月収は高い傾向にあります。
例えば、19歳以下の保険業・金融業・宿泊業・飲食サービス業・教育学習支援業の平均月収は17万円台です。
そのほかの業界の平均月収も18万円台であり、建築業の平均月収が他業界よりも高いことがわかります。
建築業は未経験でもできる仕事が多い一方で、危険を伴う作業の賃金は高く設定されているため、高卒も高収入を目指しやすいケースが一般的です。
高卒の年収が大卒の年収より低い理由
同じ年齢で見ると高卒の建築業界の収入は高いですが、同業界で比較すると高卒の収入は大卒よりも低い傾向にあります。
その理由を3つ見ていきましょう。
専門知識が必要ない仕事は給与が低い
応募条件が緩く誰でも応募できる仕事は、専門知識を必要としないものが多く、その分給料も低く設定されています。
建築業界でも肉体労働をメインとする仕事は学歴や経験を問わない募集が多いため、高卒も就職しやすいでしょう。
危険を伴う作業は給料が比較的高めに設定されていますが、怪我のリスクもあり長期間は続けられないケースがほとんどです。
建築業界で働きながら、資格を取得する、経験を積んで転職するなどの努力も必要です。
学歴で能力を判断する企業が多い
日本では新卒一括採用が主流で、その際に「大卒以上」を応募条件とする企業が多いです。
一括採用では個人がどれくらいのスキルを持っているか判断しにくく、学歴が高く、そのなかでも偏差値が高い大学を出ている人のほうが能力が高いと考える企業がいまだに大半を占めています。
大学を出ているから、偏差値の高い大学を卒業しているからその仕事が向いているとは言い切れませんが、大量の応募者をふるいにかける際に学歴は選考のポイントになります。
また、学歴が高いことは、その大学を卒業するまでに勉強などの努力を怠らなかったという判断材料にもなっています。
高卒は能力が低いわけではありませんが、新卒一括採用の風潮が強い日本では不利になる場面も多いです。
学歴が高い方が出世しやすい
日本では、同じ条件で仕事をしたとしても、学歴が高いほうが出世しやすい傾向が強く残っています。
業績や成果ではなかなか評価されず、大卒、大学院卒のほうが最初からキャリアを形成しやすい形態ができあがっているため、高卒は大卒と同じようなコースは出世しにくいでしょう。
ただし、建築業界では資格が重視される仕事もあります。勤続年数が長く経験が豊富なほうが現場で役立つシーンも多いため、大卒とは違うアプローチで出世を目指すほうがいいでしょう。
高卒で建築業界の年収をアップさせる方法
高卒で建築業界の年収をアップさせる方法は多数あります。専門的な資格の取得や、正社員雇用をも座主、高収入の仕事に転職するなどの方法を検討してみましょう。
専門的な資格を取得する
建築業界は、国家資格がなければできない仕事も多数あります。
一級建築士でなければ規模の大きい建築物の設計はできず、第一種電気主任技術者でなければすべての規模の発電所での作業はできません。
建築業界の国家資格は多数あり、それぞれに非常に高度な専門知識が求められます。
資格所有者の数が少なければその分建築業界の需要も高く、給料も高く設定されています。専門知識が身につけば、高収入を目指せるでしょう。
非正規から正社員雇用を目指す
建築業界では日雇いなどの非正規の働き方も多いですが、非正規では収入が安定せず、万が一病気やけがで働けなくなったときにも十分な保障を受けられない可能性があります。
正社員として雇用されれば、収入が安定し、保障も十分に受けられ、昇給や賞与などで収入をアップすることもできるでしょう。
正社員試験を受ける、正社員の求人にチャレンジするなどして、正社員としての働き方を検討しましょう。
まずは規模の大きい企業で非正規で働き始め、数年働いて正社員を目指す方法もあります。
同業種で高収入の求人に転職する
同業種でさらに高収入の求人に転職する方法もあります。
建築業界は、経験や実務年数が長ければ長いほど優先されるシーンが多いです。
同じ仕事内容であれば、ある程度スキルを高めてからのほうが転職が有利になるでしょう。
目先の収入の高さだけでなく、キャリアを形成できるか、昇給、賞与があるかなども確認することで、生涯年収を高めていくことも可能です。
高卒の年収アップの考え方
高卒で年収アップを目指す際の考え方を解説します。
日本の企業のシステムでは、高卒が大卒と同じように年収アップを目指すのは厳しいシーンも多いため、より明確に自分ができることを理解し、転職活動に役立てていきましょう。
キャリアビジョンを明確にする
まずはキャリアビジョンを明確にしましょう。
目先の収入だけでなく、3年後、5年後、10年後自分がどうなっていたいかを明確に描き、そのために今なにをすべきかを考えてみることが大切です。
目標の年収金額を設定することもおすすめですが、現実的にどれくらいの金額を目指せるのかを考えてみましょう。
面接でキャリアビジョンを質問されることも多いため、口頭で説明できるレベルまで具体的にイメージしてみてください。
若手ならではの強みを活かす
高卒は大卒と比較して、若手で経験が豊富にあるという強みがあります。
25歳で転職活動をするとして、大卒の場合の実務経験は3年ですが、高卒の実務経験は7年です。
指定された学科を履修せずに一級建築士の資格を取得するには7年間の実務経験が必要ですが、高卒ならすでに受験資格があります。
できるだけ早く経験を積み、資格を取得することで、建築業界できる仕事の幅が増え、よりさまざまな場所で活躍できる人材を目指せるでしょう。
大卒と比較しすぎる必要はない
日本は学歴社会の風潮が強く、どんなに実力があっても同じレベルの大卒の人材がいれば大卒のほうが優先されてしまいます。
悔しい思いをするシーンも多いかもしれませんが、大卒と比較しすぎたり、諦めたりする必要はありません。
高卒ならではの豊富な経験を活かし、建築業界で活躍できる人材を目指しましょう。
高卒から建築士になった先輩、事務所を立ち上げた先輩などが近くにいる場合は、一緒に働いてさまざまなアドバイスを受けたり、キャリアの参考にしたりすることもおすすめです。
自分らしく働ける方法を考え、自分の居場所を作り上げていきましょう。
高卒で建築業界で活躍しよう!転職の検討もおすすめ
高卒で建築業界で働ける仕事は多数あります。
ただし、大卒と比較すると収入が低かったり、出世しにくかったりといった問題も残っています。
目の前の仕事をこなすことも大切ですが、資格を取得する、経験を積んで転職するなどの努力も必要です。
現場で活躍できる人材を目指し、建築業界でできる仕事を考えてみましょう。
以下の記事では、大学院卒の年収や大学院卒で学べること、就職で遊離になることについて解説しています。高卒との違いや将来の働き方を考える際にも、ぜひ参考にしてみてください。