将来が不透明な時代で生き抜いていくために、キャリアデザインの重要性が高まっています。
自分自身のキャリアを考えて設計していくことで今自分が何をすべきなのか、どう行動すべきなのかが明確に見えてきます。
従業員の離職を防ぎ、生産性をアップさせるためにキャリアデザインを支援する企業も増えつつあります。
今回はそのキャリアデザインがどうして必要なのか、実際にどのようにキャリアデザインをしていけばいいのかについて詳しく解説します。
キャリアデザインの意味と定義
自分の理想の姿、理想の将来に近づくためには仕事面で何をすればいいのかを考えることがキャリアデザインです。
高度経済成長期に形成された終身雇用、年功序列といった働き方は崩壊しつつあり、自分自身でキャリアを考えていかなければならない時代に突入しています。
キャリアデザインをおこなうことで自分を正確に理解しやすくなり、何を優先して働けばいいのか、どんな道を選べばいいのかが見えてきます。
自分が持つ知識やスキル、性格、人生において仕事をどのように捉えているか、さらに目標、理想まで含めて、自分らしさを大切にしながら仕事を選んでいくことがキャリアデザインです。
キャリアパスやキャリア形成との違い
キャリアデザインによく似た言葉にキャリアパスやキャリア形成といった言葉があります。
キャリアパスは1つの会社の中でどんな成長をするか、どのポジションを目標とするかといった短期間の目標設定のことです。自分の人生や特性、働き方への価値観などはキャリアパスには含まれません。
キャリア形成は仕事でさまざまなスキルを得ることを意味しており、キャリアデザインの中に含まれます。キャリアデザインで自分がすべきことを見据えた上で目標を達成するためにスキルを獲得していく過程をキャリア形成といいます。
キャリアデザインの必要性
近年キャリアデザインが注目されているのには理由があります。
なぜキャリアデザインが必要とされているのか、その理由を社会、企業、個人の3つの点から見ていきましょう。
社会の変化による必要性
高度経済成長期からバブル崩壊によって、社会の経済情勢が大きく変化しました。
終身雇用、年功序列といった安定した将来が保証されなくなり、働き方や人生について一人ひとりが自分で考えていかなければならない時代が到来しています。
キャリアデザインは将来の目標を持つ人や向上心が高い人だけのものではなく、私たち全員が考えていかなければなりません。
企業の変化による必要性
従来の安定した雇用形態が崩れつつあります。
成果主義となり、長く勤めればそれだけメリットがあるという企業は今後も減少していくでしょう。
年功序列の制度が崩壊しつつある中一つの企業に留まるメリットは少なく、企業も即戦力を求めるため、転職も当たり前になりました。
企業がより業績を上げるには従業員一人ひとりの成果が重要になり、そのためにもキャリアデザインで今すべきことを明確にさせることが大切と考えられています。
個人の変化による必要性
自分自身で考えなければ生き抜けない時代になりつつあるだけでなく、グローバル化によってさまざまな考え方、価値観に触れられる機会が増えました。
その結果働き方に対する価値観も人々の中で大きく変わりつつあります。
企業に貢献する、仕事を第一に生きるといった考えではなく、自分の人生をより豊かにするための労働といった考えが重視されています。
キャリアデザインは仕事だけでなく自分の人生についても考えられます。
キャリアデザインの5つのステップ
キャリアデザインを実際におこなうための5つのステップを解説します。
個人でおこなうことも可能ですが、専門家に相談することでより具体的な方向性を定めやすくなります。
自分を振り返り分析する
まずは自分を振り返ることからスタートします。
これまでどんな仕事をおこなってきたか、それによってどんな知識やスキル、資格を得たか、何にやりがいを感じたか、何が嫌だったかなどを明確に書き出してみてください。
自分を振り返る段階で、知識や技能、行動や思考の特性、マインドや価値観といった3つの点を認識しましょう。
客観的に自分を理解する
客観的に自分を知ることもキャリアデザインには大切です。
心理テスト、適性検査を受けることで、自分でも把握していなかった自分の一面を知ることができます。
心理テストや適性検査はインターネット上でも簡単に診断できますが、より信憑性の高いテストを受けたい場合は書籍を参考にしたり、専門家に相談することをおすすめします。
テスト以外にも客観的に自分を知る方法はあります。
家族、友人、同僚などからあなたについての意見を聞いてみてください。
周囲にどんなことを期待されているか、どんな人間だと思われているかを知り、自分の認識との間にズレが生じていないか確認しましょう。
ズレが大きければ大きいほどキャリアデザインを実現しにくくなってしまいます。
周囲からの反応、テストの結果を踏まえて、自分自身への認識を変えていきましょう。
目標や理想の自分を考える
自分自身の理解が深まったら、目標や理想といった未来のことを考えていきます。
世間一般でのキャリア、勝ち組、負け組といった考え方ではなく、自分らしく生きていくためにはどんな働き方がふさわしいか?という点を重視してください。
目標や理想と同時に、自分自身がありたい姿、理想の姿をイメージするとさらに考えやすくなります。
まだ将来のことを明確に考えられない、何をしたいかわからないという方もいます。
どんなにキャリアデザインをしてもその通りになるとは限らず、キャリアは流動性があるものです。
ここで目標を設定したからといって必ずそうならなければならない、今すぐ行動しなければならないというわけではありませんので、いくつか「こうなってみたい」というイメージを書き出してみるだけでも構いません。
キャリアステップを明確にする
目標や理想が明確になったら、そのためのステップを考えていきます。
目標から逆算してそのために何をしていくべきかを決めていきましょう。
年齢ごとに区切り、おこなうべき業務、身に着けるべきスキル、セクションごとの目標やスキルなどを表にするとわかりやすいです。
上記で目標や理想が明確に決められなかった方は、最低でも身に着けておきたいスキルを年齢ごとに書いてみるといいでしょう。
今すべきことを考える
目標や理想から逆算していくことで今すべきことが見えてきます。
毎日なんとなく仕事をこなすだけではモチベーションの維持が難しいですが、キャリアデザインによって今すべきことが明確になれば、将来の姿を思い浮かべながら仕事に取り組むことが可能です。
今すぐに転職すべきではなくても、資格を取得したり新しいスキルを身に着けたりと、できることはたくさんあります。
キャリアデザインで理想の未来を掴もう
人生100年時代と言われる中、人生と仕事は強く結びついています。
理想の自分になるために、自分らしい働き方をするために、キャリアデザインは非常に大切です。
働き方や将来について考えるだけでなく、過去を振り返り、人生において何を一番大切にしたいかを考えた上で自身のキャリアをデザインしていきましょう。
キャリアデザインによってどんなスキルを身に着ける必要があるかも見えてきます。スキルにはさまざまな種類がありますが、転職や独立が当たり前になりつつある時代では他の業種や業界でも通用するポータブルスキルは必須です。ポータブルスキルとはどんなスキルなのかについて下記で詳しく解説しています。こちらも参考にしてください。