マイホームや店舗を建てるうえで欠かせないのが内装です。
その建物の「顔」になります。
生活していくうえで重要な「住居」にかかわるインテリアは家具だけではなく壁紙やキッチン、照明にいたるまで居住空間を構成するうえでのすべての内装を指します。
それだけにきちんとした納得のいく内装にしたいものです。
そんな要望に応えるためにあるのが「インテリアデザイナー」という職業です。
最近ではとりわけリフォームやリノベーションの需要が著しく伸びている傾向にあります。
それに伴い、個人住居のデザインを手掛けるフリーランスのデザイナーも数多く存在します。
そのような頑張り次第で多方面にチャンスが広がっていくインテリアデザイナーにスポットを当てて、インテリアデザイナーとはどのような仕事なのか。
インテリアデザイナーになるためにはどのような資格が必要なのかをご紹介していこうと思います。
インテリアデザイナーとは
【インテリアデザインって何?】
インテリアデザイナーをお話しする前に、「そもそもインテリアデザインって何?」と思われる方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
ここではインテリアデザイナーの話をする前に、「インテリアデザインとは何なのか。」といったところからお話していこうと思います。
インテリアデザインとは、もともとヨーロッパの宮廷建築が起源と言われていて、乗り物や建物の内部、室内、家具、内装などのデザインのことを指します。
乗り物では車や飛行機、鉄道や船などがあり、建物では商業施設や店舗、ホテルや住居などのさまざまな空間が対象となってきます。
ちなみにインテリアとは英語で「内面」を意味する単語で、デザインは審美性を根源に計画的な行為の全般を指すもので、意匠、設計、創意工夫の意味があります。
【インテリアデザイナーとは】
インテリアデザイナーは、上記で説明したインテリアデザインを総合的に監修し、演出する仕事です。
デザイン事務所や設計事務所、ハウスメーカーなど多岐にわたって活躍することができます。
実力を身に着けると独立して個人事務所を立ち上げたり、フリーランスとして活躍する人もいます。
インテリアデザイナーは、クリエイティブな感性はもちろんのこと、建物の構造や材質などあらゆる建築の知識も必要で、住宅に限らず、店舗やビル、ホテルや学校など人が過ごす空間すべてをさまざまなアプローチでプロデュースしていきます。
住宅や店舗の場合は、空間デザインを手掛ける際に、建物の設計者や建築家、施工業者、依頼主と綿密な打ち合わせをして手がけていきます。
その役割は単なるコーディネートやデザイナーというよりも全体を統括する「演出家」に近い存在と言えます。
インテリアデザイナーの仕事内容
インテリアデザイナーの仕事は、依頼主から仕事を受けるところから始まります。
施工前に依頼主との綿密な打ち合わせをして、家具の配置や選択、照明、灯りの度合い、色のトーンから室内温度まで、室内に置いてありとあらゆるものを全体的に監修しコーディネートしていきます。
これらの仕事をスムーズに進めるために、インテリアデザイナーは家具や照明の設計を行っていきます。
その設計には配置や室内構成など踏まえて設計していくため、建築企画段階から参画し、完成まで監督していくことになります。
よって、インテリアデザイナーには、デザインについての知識だけではなく、建築に関する知識も求められるケースが多々あり、建築士の資格を持っている人もいます。
インテリアデザイナーには大きく分けて2つの仕事が存在します。その仕事内容をご紹介します。
空間のデザインをする
依頼主との打ち合わせを重ね、建物全体の空間をデザインすることが主な仕事です。
依頼主のイメージを事細かく吸い取ってそれをイメージし、空間にはめ込んでいきます。
家具の大きさ、デザイン、材質なども打ち合わせをして決めていきます。
この時に、建築の設計段から参画し間取りや空間の取り方、用いる素材なども提案し反映させていきます。
それぞれの建物にある空間に、最適な機能性、デザインなどを考え創出していくことがこの仕事の特徴となっています。
インテリア雑貨のデザインをする
空間にマッチした家具や照明が見つからない場合は、インテリア用品のデザインも手掛ける必要があります。
もちろん既製品でそれに見合った家具があれば良いのですが、全てそうとは限りません。
その場合は自分でデザインを手がけ制作していきます。
中には家具の設計をメインとする家具デザイナーという職種もあるほどです。
では次に、インテリアデザイナーの仕事を受けてから引き渡しまでの簡単なフローを見てみましょう。
【インテリアデザイナーの仕事の流れ】
下記にインテリアデザイナーの全体的な仕事の流れをまとめましたので、参考にしてください。
1. 依頼主へのヒアリング
住宅や店舗のインテリアデザインをするには、まず依頼主と会い、ヒアリングを行います。
どのようなイメージを依頼主はしているのか、どのような空間にしたいのか、予算はどれくらいなのかを事細かく聞き出します。
住宅ならばどんな生活空間を望んでいるのか、店舗なら年齢層のターゲットはどういったものなのかを聞き出し、必要ならば現地まで行って調査していきます。
2. プランの提案
細かいヒアリングが終わった段階で、少し具体的なプランを作成し提案していきます。
CADや模型をつかって依頼主がイメージしている空間を表現し、形にしていきます。
その作成したプランを依頼主にプレゼンし、問題がなければ図面を起こし施工業者に見積もりを依頼していきます。
そして金額的にも問題がなければ次へ進んでいきます。
3. デザインの細部調整
今度は細部の打ち合わせをしていきます。
壁に使う素材はなににするのか、床はなにを使うのか。などを事細かく打ち合わせしていきます。
またこのときに、材料サンプルがあれば持参して依頼主に見てもらい、感覚をつかんでもらいます。
そして細部まで決定したら施工業者に制作を依頼します。
4. デザインの管理
施工業者に制作を依頼してもイメージと違うものができてしまう可能性があります。
ですので、時には施工現場へ赴き、デザインを総合的に管理することでムダを省いていきます。
そうして品質を管理しつつ無事施工が完了したら依頼主に引き渡して完了となります。
3. インテリアデザイン用語について
どの職業でも同じですが、インテリアデザインをしていく中で必ず出てくるのが「専門用語」です。
専門用語を理解・把握しておくことはとても重要で、たとえば、施工現場に思いた時や施工業者との打ち合わせの時に専門用語を理解していないと仕事がスムーズに進みません。
専門用語を理解しておくことで、仕事の高効率化を図ることができます。
また、試験のための勉強のためにも基本的な専門用語は積極的に覚えておいた方が良いと思います。
下記に頻繁に使われているインテリア用語をピックアップしていますので、参考にしていただくと良いかと思います。
間接照明
照明を壁や床に当てて、反射した光で部屋を明るくすることです。
通常の照明よりやわらかい光となり、室内を暖かみのある空間にすることができます。
キャビネット
キャビネットは「箱型収納家具の総称」で、オフィスでもリビングでも箱型の収納家具であれば同じキャビネットを指します。
具体的には食器棚や本棚、テレビボードなどの収納家具全般を指します。
インテリアエレメント
インテリアを構成するすべての要素のことを指します。
カーペットからカーテン、照明器具から絵画まで、さらには天井から床までのすべてのインテリアに関する要素のことを指します。
インテリアファブリック
布地や織物と言った布製品を指す言葉で、インテリアで言うとカーテンやカーペット、ソファやクッションなどを指します。
建具
建具は開口部などに設けられたふすまや障子、窓やドアなどの可動部分とそれを支える枠などの総称のことを言います。
断熱材
室内側と室外側との熱の移動を遮断する材料のことで、気密性を保ち、「夏は涼しく、冬は暖かい」住宅を実現するために用いられる材料のことです。
ツーバイフォー
家を建てるときに使われる木材のサイズが「2インチ×4インチ」で構成された木造枠組み壁工法のひとつです。
ほかにも、ツーバイシックス(2インチ×6インチ)やツーバイエイト(2インチ×8インチ)といった工法もあります。
柱の代わりに壁、床、天井などを構成し、組み合わせて箱状の空間を作っていきます。面で荷重を支えるため柱が無いのが特徴です。
インテリアデザインをしていく中で、比較的多く出てくる用語を取り上げてみました。実務でもたくさん使われている言葉なので、きちんと覚えておくと良いかと思います。
インテリアデザイナーになるための資格
これまでインテリアデザイナーについての仕事内容や業務の流れ、専門用語宇などをご紹介してきましたが、ではインテリアデザイナーになるためにはどうしたらよいのでしょうか。
インテリアデザイナーになるために学歴や資格は必須ではありません。
インテリアデザイナーになるための必須なプロセスは特に決まっているわけではなく、基本的には建築設計事務所や、デザイン事務所、ハウスメーカーに就職し、デザインや内装の企画などをする部署に配属されればインテリアデザイナーとしてのキャリアはスタートできます。
しかし、実際には先に述べたように専門用語やインテリアに関する知識が重要になってくるため、美大や一般の大学、専門学校などへ進学してインテリアや工業デザイン、美術建築などを学んでからスタートするのが一般的です。
出典:スタディサプリ
インテリアデザイナーの学校の選び方についてですが、インテリアデザイナーの学校は製図などを作成するのでどちらかと言うと理系の知識が必要になってきます。
インテリアを学べる学科がある大学や専門学校へ行くのが良いでしょう。
学校によってはデザイン系のコースや、建築系のコース、美術系のコースもあり、オープンキャンパスでは、授業体験ができたり模型を作ったりと、デザインのシミュレーションができたりするところがありますので、積極的に参加することをお勧めします。
また、インテリアデザイナーに求められる適性についてですが、物事に関しての想像力の豊かさ、感性が求められます。
やはりデザインするにあたっては「センス」がなければインテリアデザイナーとして成功するのは困難でしょう。
さらには建築的知識も必要で、施工業者との打ち合わせが頻繁に起こる現場などでは、建築に関して知識を有していないとコミュニケーションが取れず、仕事がスムーズに流れません。
また、建築図面を見たときに空間を即座にイメージできる能力も必要になってきます。
平面図や間取りを見ただけで脳内で3次元化することが必要になってくるわけです。
また、コミュニケーション能力も必要になってきます。依頼主との打ち合わせの中で、プランを提案するプレゼン能力が必要で、依頼者のイメージに沿ったプランをわかりやすく提案していくことが重要になってきます。
また何事においてもチームとして活動するのが一般的ですので、案件にもよりますがチーム内同士のコミュニケーションや建設現場での職人、業者との打ち合わせなどに必要になってきます。
協調性があり、物事に前向きに取り組んでいける。
そのような人がインテリアデザイナーに向いていると言えると思います。
なお、インテリアデザイナーになるためには特別な資格は必要ありませんが、日本デザインプランナー協会が実施する「インテリアデザイナー認定」という認定試験がありおます。
基礎知識を身につけるためや、自分自身の知識を客観的に証明するために取得を目指す人が多いようです。
その他にも持っていると役に立つ資格には「インテリアプランナー」「インテリアコーディネーター」などの資格もあります。
以下にそれぞれの受験内容を簡単に紹介します。
主催:日本デザインプランナー協会
区分:民間資格
受験資格:特になし
試験内容:インターネットでの申し込み後、在宅での受験
【インテリアプランナー】
主催:公益財団法人建築技術教育普及センター
区分:民間資格
受験資格:年齢制限なし
試験内容:学科試験四誌択一式 50問(2時間30分)
【インテリアコーディネーター】
主催:公益社団法人インテリア産業協会
区分:民間資格
受験資格:特になし
受験内容:一次試験(学科)マークシートによる択一式、二次試験(学科)マークシートによる択一式
まとめ
これまでインテリアコーディネーターについてご紹介してきました。
インテリアコーディネーターは人々が暮らす空間をいかに快適に、優雅に暮らせることができるのかを考え具現化していくお仕事です。
建物を建てるうえでなくてはならない職種とも言えます。
住宅においてはその家族が長年暮らすところですので妥協を許されない死語でもあります。
この記事を通してインテリアコーディネーターに少しでも興味を抱いた方がいらっしゃるのならぜひこれを機に挑戦してみてはいかがでしょうか。