建築の現場ではさまざまな作業があります。
それぞれがバラバラに動いていると作業に無駄や遅れが生じてしまい、全体の管理もできなくなってしまいます。
そこれ施工管理の業務の一つ、工程管理が役に立ちます。
工程管理とはどのような仕事なのか、なぜ工程管理が大切なのかを見ていきましょう。
工程管理の内容や工程管理に必要なスキルを解説しますので、今後施工管理として働きたい方は参考にしてください。
施行管理の工程管理の内容
施行管理には、工程管理、品質管理、原価管理、安全管理という4つの業務があります。これらの中で、建築現場のスケジュールを管理するのが工程管理です。
工程管理の詳しい業務内容を解説しますので、早速チェックしていきましょう。
納期に合わせたスケジュールを作成する
工程管理の主な業務は納期に合わせたスケジュールを作成することです。
建築現場では納期は非常に重要で、これに間に合わせることを何よりも優先する必要があります。納期から遅れるとその分コストも人件費もかかりますし、予定通りにクライアントに建築物を引き渡せない場合違約金が発生する可能性もあります。
納期を守るためには、どの作業にどれくらいの時間をかけるか、どれくらいの人員を割り当てるか、重機などを何日間レンタルするかなどを正確に決めて無駄なく現場を回していく必要があります。
建築現場の一つひとつの作業だけでなく全体を見通した上で無理のない作業工程を考えましょう。
作業の無駄を省き効率化する
建築現場では工程管理を考えた上で、全員が協力して作業を進めていかなければなりません。
作業工程があいまいだったり指示がきちんとできていないと、作業員が何をしていいのかわからず無駄な時間が増えてしまいます。同じ作業を別の作業員が何度もしたり、反対にしなければならない作業を全員が怠ってしまったりする可能性もあります。それが発覚すると一から作業のやり直しとなり、時間も人件費も資材も大幅なロスとなります。
このような建築現場での無駄を省くためにも工程管理は大切です。作業員それぞれに適切な指示を出し、無駄な工程を省いて作業を効率化させましょう。
少ない人数でスムーズに仕事を回すことができれば、納期にも間に合う余裕のあるスケジュールを組めるようになります。
建築業界は人材不足の状況が続いており、都心部では少ない仕事を複数の業者が奪い合う状態になっています。そんな厳しい建築業界を生き残るには、このように効率的に動いてより早いスケジュールを提案できる工程管理が必須です。
工事計画を作成し共有する
工程管理は納期に応じたスケジュールを作成するのが主な業務ですが、そのスケジュールを作業スタッフや社内のスタッフ、クライアントにわかりやすく示す工事計画表を作成するのも業務に含まれます。
いつ、どこで、誰が、何をするのかといった、わかりやすく端的な計画表を作成するように心がけましょう。
この計画表、工程表があいまいだったり読みにくかったりすると指示の漏れや間違いが発生し、スムーズに作業を進められなくなってしまいます。
また、建築現場ではスケジュールの変更は日常茶飯事です。すぐに変更点を共有できるようクラウドソフトなどで管理するのがおすすめです。
計画表を共有するためのソフトやアプリもあるので、それらを取り入れるのもいいでしょう。
進捗状況を把握する
工程管理は最初にスケジュールを立てたら終わりというわけではありません。
常に進捗状況を確認し、工程表通りに進んでいるのかを見極める必要があります。工程表通りに進んでいない場合はどんな問題が起きているのか、工程表自体に無理はないかをチェックし直さなければなりません。
また、建築現場は雨や風、雪、気温などの影響でスケジュールを変更せざるを得ないシーンがたくさんあります。
トラブルが起きる前の工程表のまま作業を進めてもいいのか、変更する必要があるのかも迅速に見極めるのも工程管理の仕事の一つです。
工事計画の見直し、改善をおこなう
工程表に問題があった場合や、天候やトラブルにより作業が遅れてしまった場合、工事計画を見直さなければなりません。どこに問題があったのか、どう修正していくべきかを考えて計画を練り直します。
このときも一人だけで納得してしまうのではなく、現場の作業員の状況などを把握した上で修正していかなければなりません。さらに修正内容は即座にすべての作業員に知らせるようにしてください。
修正回数が多すぎても現場は混乱してしまいますが、トラブルが発生しているのに無理なスケジュールを押し通すようなことがあると作業員のモチベーションも低下し、かえって作業効率が悪くなる可能性もあるので注意しましょう。
施行管理の工程管理に必要なスキルと資格
施行管理の工程管理にはどんなスキルが必要なのか、さらに必須の資格の内容について解説します。
施行管理には建築の専門的なスキルだけでなく、総合的なスキルも必要です。今後施工管理として活躍したいのであれば、下記のようなスキルも磨いていきましょう。
コミュニケーションスキル
建築現場の工程管理には、コミュニケーション能力が必要です。
スケジュール自体はよくても、施工管理の担当者が何を考えているかわからない、どうしてほしいのかわからないようでは現場の作業員も困惑してしまい、思うように動いてくれない可能性があります。
「この人のスケジュールを信じよう」と思わせるには豊かなコミュニケーション能力が重要です。
作業工程に遅れが見られる場合やトラブルが続いた場合、人手が足りない場合には作業をお願いしなければならないシーンもあります。
そんなときに、日頃からよく現場の作業員とコミュニケーションを取っている施工管理の担当者ならお願いも聞き入れてもらいやすくなります。
建築現場は危険な作業も伴いますが、そんなときに大切なのが信頼関係です。どんなときでも現場の作業員と信頼関係を築けるような工夫を続けましょう。
不測の事態に対応するスキル
建築現場では事前にどんなに完璧なスケジュールを組んでいてもトラブルは発生するものです。
自身が所属している業者だけでなくさまざまな業者が入る現場では、一つの工程の遅れが全体の行程の遅れにつながります。
事故によって怪我人が出たり、体調不良者が出たりすると工事をストップしなければなりません。コロナウイルスの感染者が出た場合は作業を一定期間見送る必要もあります。
資材が届かない、重機が故障してしまったなどが理由で工事が思うように進められないこともあります。
それだけでなく、雨や風、台風、雪の影響で工事ができない、工事を慎重に進めなければならない、酷暑のため休憩時間を多めに取らなければならないといったこともあります。
このような工事の遅れの原因が発生した際、前もって組み立てていたスケジュールを臨機応変に変更する力は施行管理にとって非常に大切です。
作業員の負担を最低限にした上で、納期に間に合うスケジュールを組み直す必要があります。
無駄をカットし、効率的に作業が進められるような工夫を常に考えるようにしましょう。前もってトラブルに対応できるよう余裕のあるスケジュールを考えることも大切です。
作業がスムーズに進む工程管理をしよう
建築現場で活躍する施工管理の仕事の一つ、工程管理について解説しました。
工程管理は工事の内容を決める上で重要な仕事です。建築現場がスムーズに回るようなスケジュールを考え、現場の作業員に信頼、理解してもらう必要があります。
現場に信頼されるコミュニケーション能力や臨機応変に対応する力などが求められる仕事ですので、常に柔らかい頭で考えることを忘れないようにしましょう。
工程管理のスキルを磨いて、現場で活躍できる施工管理を目指してください。