建築業界の中で、建築物を解体する工事はさまざまなシーンで大切です。
空き家や古い建築物を解体して新しい建築物を作ったりインフラ工事をおこなったりする際には、許可を得た解体工事業者に依頼しなければなりません。
解体工事を請け負うためには専門の許可を得る必要があります。また、工事の内容上必須の資格もあります。
解体工事のために必要な許可や資格について改めて確認していきましょう。
解体工事を請け負うために必須の許可
解体工事を請け負うためには、建設業許可と解体事業者登録の二つを申請する必要があります。
反対に、これらの許可がない場合はどんな理由があっても解体工事をおこなうことはできません。
建物を作る建築工事と比べて解体工事は簡単に見えますが、危険を伴う慎重さが必要な作業であるため、許可は必ず得るようにしてください。
建設業許可
建設業許可は、解体工事だけでなくさまざまな建築工事を請け負うために必須の許可です。
現在すでに解体以外の工事もおこなっている場合はこの建設業許可を得ているところがほとんどですので、別途申請する必要はありません。
ですが、解体工事を新たに始める場合は解体工事業以外に土木、建築、とび・コンクリートなどいずれかの許可を申請する必要があります。
また、この建設業許可は5年に1度更新する必要があるので更新を忘れないようにしてください。
解体事業者の登録
建設業許可とは別に、解体工事をおこなう場合は解体事業者登録をしなければなりません。
建設業許可を申請していなくてもこの解体事業者登録さえしておけば解体工事ができますが、請け負う工事の金額が500万円以下という制限がつくので注意してください。
それ以上の金額の解体工事をおこなう場合は建設業許可も合わせて取得する必要があります。
解体工事業登録の際の3つのポイント
解体工事業に登録する際に意識しておかなければならない3つのポイントについて解説します。
都道府県ごとに申請する、技術管理者を配置する、欠格要件に該当しないようにするなど、問題なく工事を請けられるようにしましょう。
都道府県ごとの申請が必要
解体工事業を登録する際は、それぞれの都道府県ごとに申請をしなければなりません。都道府県をまたいで解体工事を請け負うためには、それぞれの都道府県に別途申請する必要があります。
この解体工事業の登録は5年ごとの更新が義務付けられているので、その都度複数の都道府県への申請を忘れないようにしなければなりません。また、数年営業をするうちに依頼がなかった都道府県には更新手続きをしないという方法もあります。
技術管理者の配置が必須
解体工事をおこなう現場には技術管理者を配置する必要があります。
この技術管理者が適切な指示、判断をすることで、解体工事で出た廃棄物を適切に処理できます。
この技術管理者になるためには解体工事に8年以上携わっていることを証明する必要があります。大学や専門大学を出ている場合は実務経験に必要な年数が短縮されるのでよく確認しましょう。
実務経験をもとに受験資格が与えられ、その後解体工事施工技士の試験に合格することで技術主任者として現場に配置できます。
欠格要件に注意する
解体工事にはさまざまなルールがあり、これを守らないまま工事をおこなうと欠格要件として処罰を受けなければならない可能性もあります。
解体工事業登録をしていない、更新しないまま解体工事をした、業務停止命令の期間内に解体工事をおこなったなどが欠陥要件に該当します。
申請内容に虚偽と取れる誤りがあった場合も欠陥要件に該当するので注意してください。
解体工事をおこなう際に必要な資格
解体工事にはさまざまな資格が必要です。その一部を紹介します。
今後解体工事を請け負えるようになりたい場合、下記のような資格があると有利です。解体以外の建築の現場でも役立つ資格ばかりですので、スキルアップ、キャリアアップのためにも資格取得を目指しましょう。
足場組立に必要な作業主任者
建築物を解体する際、細かい作業が必要な場合は足場の組み立てをしなければなりません。この足場の組み立てには専門の国家資格が必要です。
「足場の組み立て等作業主任者」という資格の講習を受けた後試験を受け、合格すると主任者の資格が与えられます。
受験資格として足場の組み立てや解体の作業を3年以上経験していることや大学や専門学校で土木などの学科を修了していることなどがあります。
アセチレン溶接に必要なガス溶接作業主任者
ガス溶接作業主任者という資格も解体作業に必要なシーンが多いです。
建築物の中には鉄骨、鉄筋などがあり、これらを細かく解体するためにガス溶接作業主任者の資格が必要です。
細かい作業が求められる建築物の解体や、騒音、振動を極力抑えて解体をする必要がある建築物の場合に重宝されます。
ガス溶接作業主任者の資格は専門の講習を受ければ取得できるので、早めに取得しておくことをおすすめします。
車両系建設機械の運転に必要な作業指揮者
解体作業で出た廃棄物を運搬したり、解体のためのショベルやブルドーザーなど大型の重機を操作したりする必要があります。
そんなときには特別な運転技能講習を受験して資格を取得しなければなりません。
車両系建設機械の運転の資格は、それぞれの資格によって対象となる機械が変わるので、よく確認してから取得に進むようにしてください。
アスベストの取り扱いに必要な石綿作業主任者
新しい法律ができる前に建設された建築物には、人体に被害を与えるアスベストが含まれていることも多いです。
このアスベストの取り扱いには、石綿作業主任者という資格が必要です。
主任者の技能講習を受け、アスベストについての基本知識や健康被害を抑える方法、アスベストなどに関連する法律などを学んだ方に資格が与えられます。
クレーンの運転に必要なクレーン運転特別教育修了者
空き家や一軒家など小さな建築物の解体には小型のクレーンを使うことが多いです。5トン未満のクレーンの場合いは特別な免許証は不要ですが、講習を受講して操作方法を学ぶ必要があります。
学科講習、実技講習があり、それぞれを受講することで操作が可能になります。
解体作業は一見ただ壊すだけの作業に見えますが、周辺に影響を与えない、運搬しやすく解体するなど、細やかな配慮が必要な作業です。クレーンの操作方法もきちんと学んでおく必要があります。
解体工事に必要な許可や資格を確認しよう
解体工事に必要な許可、役立つ資格について紹介しました。
空き家問題が深刻になりつつある日本において、解体工事は非常に需要が高いです。
今後解体業にも力を入れたい、解体業で他の業者と差をつけたいという方は、資格の取得などにも力を入れていきましょう。