深刻な人材不足が問題となっている建築業界において、外国人労働者は貴重な存在として注目されています。
建築業界だけでなく日本全体で外国人労働者を受け入れる体制は整い始めており、これを利用しない手はありません。
外国人労働者を受け入れることで得られるメリットや今後の課題について解説します。自社の人材不足にお悩みの方、事業の拡大を考えている方はぜひ参考にしてください。
外国人労働者を受け入れる6つのメリット
建築業界で外国人労働者を受け入れるとさまざまなメリットがあります。
人材不足の解消といった目先の問題解決だけでなく、社内教育の整備や海外進出の土台作りなど、企業の成長につながるメリットも多いのでぜひチェックしてみてください。
人材不足解消につながる
建築業界では人材不足が深刻な問題となっています。
少子高齢化の影響で若手の人材が不足しているだけでなく、少子高齢化によって今後将来性が見えてこない建築業界へ入りたいと思う若者が減っていることも原因です。
建築業界で働いている人の高齢化も進んでおり、後継者がいない建築会社も少なくありません。
外国人労働者を受け入れることで人材不足を解消し、これまで通り、またはそれ以上の仕事量をこなしていけます。
一定の技術、知識を持つ外国人労働者は優秀な人材も多く、教育コストを省けるだけでなく社内に新しい風をもたらしてくれるでしょう。
若手の人材が多く集まる
労働者の高齢化が進む建築業界に外国人労働者を受け入れれば、若手の人材を多く集められます。
人材の年齢層を考えたとき、日本国内における年齢階級別割合をチェックするとわかりやすいです。
日本の20歳から39歳までの年齢階級別割合は21%であるのに対して、海外の年齢階級別割合は54%です。
技術の継承、肉体労働、最新技術の導入などあらゆる面で若手の人材は活躍します。今後将来性の高い事業を取り入れる必要がある建築業界において、若手の人材の確保は必須事項と言えるでしょう。
新しい視点で物事を見られる
外国人労働者は当然日本人とは違う環境、文化、宗教、価値観の中で育っています。
外国人労働者の発言や行動から、日本人と働いているだけでは思いつかなかった新しいアイデアや考え方に出会えるでしょう。
また、外国人労働者を受け入れるためにはその労働者が生まれ育った国の文化や言語を受け入れる必要があります。その段階で、お互いの違いを認め合い、受け入れ合うためには何が必要かを見出すこともできるでしょう。
海外の言語や文化が身に着く
外国人労働者とのコミュニケーションのためには英語や中国語など、海外の言語を身に着ける必要があります。
建築の仕事は国内でなくなることはないものの、少子高齢化が進むにつれて需要は低下していくことが予想されます。
一方で発展途上国では建築の需要は高く、海外に進出、事業を展開している日本のゼネコン会社も少なくありません。
今後も長く建築業界で活躍を続けるためにも、海外進出のための土台作りをしておくことは大切です。
外国人労働者を受け入れるための語学習得や文化を受け入れる姿勢が、その足掛かりになってくれます。
日本人労働者の刺激となる
日本で外国人労働者を受け入れる体制が整い始めている背景には少子高齢化もありますが、発展途上国へ向けて建築技術を継承する目的もあります。
技術を習得するために日本へ来た外国人労働者は技術や資格の習得に前向きであり、向上心も非常に高いです。
その姿勢が一緒に働いている日本人労働者にも刺激となり、互いに高め合える関係になることを期待できます。
外国人労働者だけでなく日本人労働者の向上心も高くなれば、より企業を成長させていけるでしょう。
社内教育の整備ができる
建築業界では「職人の技を目で見て盗め」という風潮が強くありますが、文化の違う外国人労働者を受け入れるにあたってそのような考えは通じにくいです。
一から丁寧に教えるためのマニュアルを作成することは、外国人労働者に対してだけでなく日本の若手の人材教育にも役立ちます。
OJTなどを取り入れることで従業員全員の成長を期待することも可能となり、より良い社内教育ができるでしょう。
社内教育が整備された企業は求職者にとっても魅力的です。今後の人材確保につながります。
外国人労働者を受け入れるための課題
外国人労働者を建築業界に受け入れることでさまざまなメリットを期待できます。
一方で解消しなければならない問題もたくさんあります。
外国人労働者を労働者を受け入れるにあたって意識しなければならない問題を確認しましょう。
外国人労働者は安価な労働力ではない
外国人労働者=安い賃金で雇えるという認識は未だに払拭しきれていません。
ですが法務省令の基準を満たすためには外国人労働者に対して日本人と同等以上の報酬を支払わなければなりません。
実際には日本人労働者よりも低い賃金で働いている外国人労働者は多く、この問題を解消しないことには外国人労働者に日本を選んでもらえなくなってしまう可能性もあります。
安価な使い捨ての人材として外国人労働者を雇えばいいというような考えでは立ち行かなくなるため、今一度考えを改めましょう。
日本人との格差を解消する
日本人労働者と外国人労働者の報酬が違えば、当然生活にも格差が生まれます。住んでいる場所、食事、健康状態などにも影響が出ます。
また、待遇においても日本人労働者と外国人労働者に格差がある現場も多いです。
外国人労働者に危険な作業をさせる、外国人労働者は昇給、昇進をさせない、外国人労働者の意見を取り入れないなど、「外国人労働者だから」という理由で格差を生まず、本人の能力をしっかり見極める必要があります。
就労ビザなどの申請期間
日本で外国人労働者が働くためには就労ビザを取得しなければなりません。
就労ビザを取得するには数か月かかり、取得するまでの間は労働はできません。雇用するにあたって、この申請期間を守り、余裕をもった求人をおこなうことが大切です。
外国人労働者の在留期間も必ず守り、必要であれば更新、変更の手続きをしなければなりません。ビザについての正しい知識も習得しましょう。
労働環境を整える
外国人労働者を受け入れるには労働環境の改善が必須です。
安心して働ける労働環境を確保するだけでなく衛生面も改善し、公平に募集、採用できるシステムを確立しなければなりません。
社会保険や雇用保険、再就職支援などもしなければならず、小規模の建築業者では外国人労働者を受け入れる環境を整えられないというケースも少なくありません。
建築業界では劣悪な労働環境が続いている業者、業務も未だに多く、国内でも問題になっています。そんな環境へ、言葉も文化もわからない外国人労働者が飛び込むのは心身ともに大きな負担となるでしょう。
海外の文化を受け入れる
日本では当たり前とされることも海外ではイレギュラーであることも多いです。
日本に来たのだからと日本の文化を押しつけず、海外の文化を受け入れなければなりません。
近年は多様性やダイバーシティという言葉も浸透しつつありますが、実際に多様性を受け入れて動ける人はまだまだ少ないです。
文化を受け入れるためにはまず海外の文化を知り、日本の文化を押しつけたり無理に海外の文化に合わせたりするのではなく協力していくためにはどんな工夫が必要なのかを学ぶ必要があります。
外国人労働者を受け入れて建築業界を活性化
建築業界に外国人労働者を受け入れるメリットや今後の課題について解説しました。
人材不足、若手の労働力不足の解消に大いに貢献してくれるのが外国人労働者です。メリットをよく確認した上で受け入れる体制を整えていきましょう。
外国人労働者と一口に言ってもさまざまな資格があります。それぞれに与えられる仕事の内容や在留期間が違います。下記の記事では外国人労働者の雇用についてさらに詳しく解説しているので、ぜひチェックしてください。
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