建築業界では労働者の減少、高齢化が深刻な問題になっています。
建築の仕事の量に対して労働者が足りず、一人あたりの負担が増え、その結果ブラックな業界というイメージが浸透し、さらに若手の労働者の減少につながっています。
そんな人材不足の問題を解消するために注目されているのが外国人労働者です。
外国人労働者を雇用することで人材不足を解消できるだけでなく、これまでになかった新しい考えや働き方、教育方法を導入する機会にもなります。
建築会社、ひいては建築業界のさらなる発展のために外国人労働者の雇用を検討しましょう。
外国人労働者を雇用するためには正しい手順を踏む必要があります。手順や準備するものを確認していきましょう。
外国人労働者雇用までのステップ①外国人労働者の募集
外国人労働者を雇用するためにはまず外国人労働者の募集をしなければなりません。
建築業界で働きたい、技術を習得したいと考えている外国人労働者は多いですが、外国人労働者側が希望する条件と建築会社が希望する条件がマッチしていなければ双方が納得する形での雇用はできません。
外国人労働者を探す方法は大きくわけて4つあります。
自社で募集する
1つめは自社で外国人労働者を募集する方法です。
公式サイトや運営しているSNSで募集をかければどこからでも求人情報を確認してもらえます。
デメリットとしては、すべての外国人労働者に自社のサイトやSNSを見てもらえるわけではないという点があります。
外国人労働者と直接のやり取りはトラブルに発展する可能性も高く、伝えたいメッセージの食い違いも起こりやすいです。
学校に協力してもらう
2つめは大学、専門学校、語学大学と協力して人材を募集する方法です。
留学生の就職支援をしている学校であれば、積極的に人材のあっ旋をおこなってくれます。
学校がサポートしてくれる分双方の不安も取り除きやすいです。
日本に留学している学生であれば日本語の能力も高く、雇用についてもスムーズに話を進めやすいです。
建築系の専門学校に協力を申請するのも効果的です。
外国人労働者の求人を利用する
3つめが、外国人労働者の就職をサポートする転職サイトや就職サイト、派遣会社などを利用する方法です。
外国人労働者や留学生が多く登録しているため、理想の求人とマッチしやすくなります。
外国人労働者向けの就職サイトや派遣会社は説明会や就職イベントなどを開催していることも多く、企業が積極的に参加することでより多くの人材に出会えます。
ハローワークを利用する
ハローワークでは日本人だけでなく外国人労働者の就職支援もおこなっています。
建築の求人でハローワークを利用したことがある会社であれば利用の方法もわかりやすく、気軽に相談できるでしょう。
外国人労働者の雇用についてわからないことがあれば相談してみてください。
また、雇用中の外国人労働者とのトラブルや不明点などについてもハローワークは対応してくれます。
外国人労働者雇用までのステップ②外国人労働者の選考
上記のような方法で外国人労働者を募集し、ある程度希望者が集まったら選考をおこないます。
選考は日本人を雇用する際と同じく、こちらが提示している条件をクリアしているかなどをチェックしていきます。希望者が多い場合は書類選考をした後に面接や試験などをおこなって本人のスキルや素質、会社との相性を見極めます。
日本人の選考と外国人労働者の選考で大きく違う点としては、外国人労働者は在留カードをかならず確認しなければなりません。
外国人労働者にはさまざまな資格があり、それによって与えられる業務や働ける期間が異なります。資格の内容に合わない業務を与えたり、在留カードの期限が切れていたりすると本人だけでなく会社も処罰を受けるので注意してください。
留学生や家族滞在者は資格外活動許可がなければ就労できません。この点も確認しておきましょう。
外国人労働者雇用までのステップ③就労ビザを申請する
雇用したい外国人労働者を見つけ、さらにその外国人労働者が適切な在留資格を持っていない場合は就労ビザの取得の手続きが必要です。
在留資格認定証明書交付申請書を用意し、一緒に提出しなければならない雇用契約書なども用意します。この書類は地方出入国在留管理官署に提出します。書類内容や添付される書類に問題がないと認めてもらえた場合のみ在留資格が与えられます。
在留資格を取得できたらビザの申請です。ビザの申請は外国人労働者本人がおこなわなければなりません。証明書を本人に渡して、各自母国の大使館で申請の手続きをしてもらってください。
外国人労働者雇用までのステップ④雇用開始、労務管理
資格の取得とビザの申請が完了してやっと外国人労働者に業務を与えられます。
雇用をスタートさせる前にまず雇用契約を結びます。
雇用契約には複雑な文章が多く、日本語に不慣れな外国人労働者は大切な部分を見落としてしまう可能性もあります。英語版の雇用契約書を用意したり、わかりにくい点はとくに丁寧に説明したりすることも忘れないようにしてください。
外国人労働者との間でのトラブルを避けるためには、労務管理を適切におこなうことも大切です。在留カードのコピーを取らせてもらい、いつでも資格内容や在留期間の確認ができるようにしておきましょう。
在留カードの期限が切れそうな場合は更新手続きも必要です。
その他、外国人労働者を雇用する際は勤務時間の上限などさまざまな決まりがあります。ルールに反した業務を与えないよう、業務や勤怠はしっかり管理してください。
外国人労働者雇用までのステップ⑤必要書類の提出
外国人労働者を雇用することになったらハローワークへ必要書類を提出しなければなりません。外国人雇用状況届出書を提出しなかった場合会社が罰則を受けることになります。
外国人労働者が雇用保険の対象となる場合は被保険者資格を取得する手続きをおこなった後に雇用保険加入手続きをおこないます。
雇用保険の対象ではない場合は第三号様式の書類を提出します。
この書類には外国人労働者の在留資格、期間など、その外国人労働者に関するさまざまな情報を正しく記載しなければなりません。
外国人労働者雇用までのステップ⑥適切な相談先へ相談
言語や文化、価値観の違いなどにより、外国人労働者とトラブルになるケースは少なくありません。
また、雇用している間にどう対処すればいいかわからない問題が出てくることもあります。
外国人労働者の雇用について悩みがある場合は、適切な場所に相談しましょう。
ハローワークでは外国人労働者に関するサポートをおこなっており、無料で相談できます。
また、その外国人労働者と会社の仲介をしてくれた団体、学校などに相談するのもいいでしょう。
外国人雇用サービスセンターでは外国人労働者の雇用から雇用中の問題までさまざまな相談に対応しています。
建築業界の人材不足を救う外国人労働者
外国人労働者を雇用するまでの方法と、雇用後の手続き、サポートなどについて解説しました。
建築業界では人材不足が深刻です。一方で発展途上国には建築技術を学んで仕事を得たいと考えている若者が多くいます。
この二つを結び付けてくれるのが外国人労働者です。
雇用にはさまざまな規定があり、これを守らないと厳しく罰せられます。
雇用の前に外国人労働者を受け入れるメリットを確認し、さらに今後の課題について考えていきましょう。下記の記事で外国人労働者についてさらに詳しく解説しています。人材不足問題を解決する手段をお探しの方はぜひ参考にしてください。