建築業界全体への悪いイメージや少子化などの影響により、建築業界は深刻な人材不足が問題となっています。
とくに中小企業は思うように人材を確保できず、事業を拡大できない、業務を効率化するための時間も用意できないなどの問題を抱えています。
そんな人材不足の問題の解決のために注目したいのが第二新卒です。
第二新卒がなぜ建築業界の人材不足を解決する糸口になりえるのか、第二新卒のメリットや採用時の注意点を解説します。
第二新卒とは?
第二新卒に現在明確な定義はありませんが、一般的には高校や大学を卒業してから1~3年以内の転職活動中の人のことを指します。
第二新卒と似た言葉に既卒や中途採用があります。
既卒は学校を卒業した後就業経験のない、卒業後1~3年の人のことを指します。
中途採用は新卒以外のすべての採用方法を指します。第二新卒採用は中途採用の一種です。ですが、一般的には経験者、即戦力となる人材を指す意味合いが強く、経験の少ない第二新卒にはハードルが高い求人も多いです。
第二新卒が注目される背景
第二新卒採用は今さまざまな業界で注目を集めています。
転職市場では第二新卒向けの求人特集が組まれることもあるほど注目されています。
なぜ第二新卒採用が注目されているのか、その背景には少子化があります。
日本では新卒一括採用が主流ですが、人口の減少によって新卒の人材を確保するのが難しくなりつつあります。
現に現状では新卒の人材に対して求人数の方が多く、新卒の人材側の売り手市場となっています。
新卒の人材にとって魅力的に感じられない条件の求人では人材が集まらず、思うように採用ができません。
また、働き方に対する意識の変化により、新卒で就職した若者も3年以内には離職するケースが増えています。定年退職、終身雇用の考えが薄まり、自分のキャリアアップやワイフワークバランスのために転職したいと考える若者は多いです。
そんな第二新卒の人材を上手く採用することで、人材の確保につながります。
建築業界が第二新卒を採用する4つのメリット
建築業界が第二新卒を採用することでどんなメリットがあるのかを確認しましょう。
新卒にはない魅力的な条件を持つ第二新卒の人材は非常に多いです。
入社時期を調整しやすい
新卒採用は実際の入社日の1年以上前から準備をしなければなりません。内定を出しても入社はかなり先になってしまいます。
一方で第二新卒は入社時期に決まりはなく、双方の都合が合えばすぐにでも働き始めてもらえます。
人材不足でなかなか事業を拡大できない、従業員一人ひとりに対する負担が問題となっている企業では、少しでも早く即戦力となる人材が欲しいです。そんなときに第二新卒は活躍してくれるでしょう。
教育コストを省ける
1~3年程度社会人経験のある第二新卒は、ビジネスマナーをある程度身に着けています。
コミュニケーションの取り方、メールの書き方などの基本的なことを一から教える手間が省けるので、教育にかける時間やコストを省けるというメリットがあります。
特に建築業界では、学校では学べない現場ならではの仕事の進め方がたくさんあります。すでに建築業界を経験している第二新卒を採用すればスムーズに仕事に馴染んでくれるでしょう。
助成金を活用できる
第二新卒を採用するために役立つ助成金がたくさんあります。
人材不足を解消したい、新卒採用で思うように人材を集められなかった、でも再び求人を出したり教育をしたりする予算がない…という企業もこの助成金を上手に取り入れましょう。
3か月の期限つきで雇用した上で企業や業務内容とマッチしているかを確認して正社員雇用を目指すために役立つトライアル雇用実施助成金、建築業などに必要な専門的な知識を学ぶための訓練経費の一部を補助してくれる人材開発支援助成金などをチェックしてみてください。
向上心のある人材を確保できる
第二新卒として転職活動をおこなう人材にはそれぞれの退職理由、転職したい理由がありますが、新卒で入社した企業では自分のやりたい仕事ができなかった、将来性が見えなかったなどの理由で転職を決意した人材もいます。
このような人材は向上心が高く、業務に対して意欲的に取り組んでくれます。
人材を確保できたとしてもすぐに離職されてしまっては意味がありませんので、このように意欲のある向上心の高い人材を見極めることは大切です。
建築業界にはさまざまな専門知識が必要です。大学で建築を学び実際に建築業界での就業経験がある人材であれば、資格などを活かして積極的に業務にあたってくれるでしょう。
資格取得のサポートや積極的に新しい業務にチャレンジさせる工夫などを続け、人材にとって魅力的な企業を目指すことも大切です。
建築業界が第二新卒を採用する際の注意点
第二新卒の採用にはさまざまなメリットがあります。一方で、ただ社会人経験があるからという理由だけでの採用は注意が必要です。
第二新卒を採用する際の注意点も確認しておきましょう。
前職の退職理由を確認
その人材がなぜ短期間で前職を退職してしまったのかを確認してください。
理由によっては同じ理由ですぐに退職されてしまう可能性もあります。
退職理由から働き方に対するスタンスなども見えてきます。
その企業で何を得て、何がミスマッチだと感じたのかといった退職理由を確認し、現在の転職活動が前向きなものか、すぐに退職される可能性はないかを見極めましょう。
所有資格や学歴を確認
建築に関連する国家資格はたくさんありますが、その中には試験に合格したあと指定年数の実務経験があってやっと資格を取得できるものもあります。
すでに合格はしているのか、あと何年で実務経験の期間を満了するのかを確認することで、即戦力として活躍してくれる人材かを確認できます。
実務経験に必要な年数は、専門学校、高校、大学など、最終学歴によって明確に違いがあります。
資格を取得することで任せられる仕事も増え、事業の拡大や従業員の業務の負担軽減に役立ってくれます。
志望動機を確認
その人材がなぜ自社を希望しているのか、志望動機を確認しましょう。
転職理由と合わせて確認することが大切です。
前職を退職してまで自社を志望する確かな動機があるのかを考えてみてください。
前職では希望する業務ができなかった、より興味のある分野に特化した業務にあたるために転職を望んでいる、という場合であれば意欲的に業務に取り組んでくれる可能性が高いです。
一方で、ただ前職に不満があった、条件さえ合えば転職先はどこでもいいというニュアンスがくみ取れる場合は、採用しても続かない可能性があります。
どんな人材を採用したいのかを明確にし、その人材とのミスマッチを防ぐようにしましょう。
人材不足の解消につながる第二新卒に注目しよう
建築業界の人材不足を解消するために注目されている第二新卒について解説しました。
第二新卒はビジネスマナーや業界についての知識が豊富で、業務にも意欲的に取り組んでくれる傾向にあります。
新卒一括採用では入社までに時間がかかる、教育コストがかかるなどのデメリットがありますが、第二新卒はそれらをカバーしてくれます。
建築業界は若手の人材不足が深刻ですが、第二新卒の採用に積極的になればこれらの問題を解消できるでしょう。
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