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解体工事とは何か?解体作業の方法などご紹介していきます。

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解体工事と聞いてまず何を連想するでしょう?派手に重機で取り壊したり、テレビで放映されているようなダイナマイトでビルなどを爆破させる・・・。そんな想像をされる方も多いのではないでしょうか。

たしかにそれも解体工事です。しかし解体工事は思いのほか繊細な工事でもあります。たとえば建物を移築する場合も一度解体しなければ移築することはできません。

そのときに先に述べたような解体方法をとってしまうと復元することができなくなってしまいます。そのときは仮に鉄骨建築であるならば、ボルトの一本一本を丁寧に外して、鉄骨や壁なども傷つけないように解体しなければならないのです。

また解体工法も数多くあり、施工業者はその工法を駆使して解体作業に取り組んでいるのです。解体=破壊ではありません。また、解体も建築同様に安全に十分配慮しながら作業しなければならず、解体方法を間違えてしまうと柱の倒壊や、建物の崩壊を招く恐れがあり人的被害の可能性も出てきます。

今回はそんな解体作業において、「解体作業とは何か?」や「解体作業の方法」などをご紹介していきたいと思います。

解体工事とは何か?


解体というのは解体される対象によって様々な意味を持っていますが、基本的には対象物を「ばらばら」にすることです。

建築分野での解体は「建築」という言葉と対にされていて、「建築物を壊す」ことを意味しています。建物の老朽化のための建て替えや、災害などで著しく損傷し修復が難しい場合、また建物の使用目的が無くなり必要がなくなった場合、道路拡張のための立ち退きや行政機関による命令など、様々な理由によって解体されることがあります。

さらには歴史的建築物の移設など、復元することを前提とした解体があります。
解体と言えば重機などで一気に取り壊すイメージが強いですがそうではありません。手作業の場合もあれば、内装だけ解体する場合もあります。

解体は建築物の構造などによって工法を考えて施行しなければならないので、建築や解体などの幅広い知識が必要になってきます。解体工事は非常に危険な行為で、人の命にも関わってくる作業があります。

そうした点においても、建築と解体の知識は必要となり、安全性や作業手順などを十分考慮したうえで解体工事を行わなければならないのです。

解体工事における必要な許認可

解体工事は誰でもできるものではありません。「建設業許可」もしくは「解体工事業登録」のどちらかの許認可が必要となってきます。

「建設業許可」の場合は、

500万円以上の解体工事

を請け負うことができ、「解体工事業登録」の場合は、

500万円未満の工事

を請け負うことができます。

誰でも簡単に解体作業ができるというわけではないのです。

また、解体にて発生した産業廃棄物においても、解体業者が産廃処理も行うのであれば、「産業廃棄物収集運搬業」の許可もひつようになってきます。

このように解体作業と言っても安全や環境に大きく影響してくる仕事であるために許認可においては厳しく規制が設けられているのです。

解体工法の種類


解体というのはイメージよりも繊細な作業であることがわかると思います。

では、その繊細な工事を実現するべく解体には様々な工法が存在します。ではその工法の種類とはどんなものがあるのか、いくつかご紹介していきましょう。

手壊し工法

読んで字のごとく手で解体していくことを言います。
重機の入れないところや高低差がある場所などに用いられる工法です。

バールやかじやなどの道具を用いて部材を分別しながら解体していきます。手作業なので、産廃物の分別がしやすく、また粉塵や騒音も限りなく抑えられるため環境にもやさしい工法と言えます。

反面手作業ですので工期がかかり、工事費用が高くなるデメリットもあります。

手壊し(重機併用型)工法

手壊し工法に重機を併用して取り壊す作業のことで、現在ではもっとも一般的な工法となっており、木造住宅などに主に用いられています。

人力で解体できるところは人で行い、大まかな解体に関しては重機を使って行うことで産廃物の選別を容易にします。このことで、工期も短縮でき、分別解体にも対応できる万能な解体方法と言えます。

圧砕機工法

圧砕機工法は主に鉄筋コンクリートの建物の解体に用いられる工法で、油圧式のショベルカーなどの先端にコンクリート圧砕機と呼ばれるハサミの様な形をした刃先のアタッチメントを取り付けて建物をかみ砕いていく方法です。

この工法で用いられる圧砕機は2種類あります。
ひとつは「大割機」で、巨大なハサミ状の二枚の刃でコンクリートを粉砕していくものと、「小割機」という小さめの圧砕機でコンクリートを細かく砕くための機械とあります。

この圧砕機工法は比較的騒音や振動が少ないこと、重機を用いるために効率の良さがメリットとして挙げられます。

しかしデメリットもあり粉砕するときに大量の粉塵が発生する点で、粉じんの飛散を防ぐためにきちんとした養生と大量の散水が必要となってきます。

ハンドブレーカー工法

 ハンドブレーカー工法は、RC構造(鉄筋コンクリート造)SRC構造(鉄筋鉄骨コンクリート造)での採用が多い工法で、手持ち式の機械を用いて建物を粉砕していく工法のことで、油圧や空気圧を用いて内部のスプリングを上下させ、先端のノミで打撃を加えていきます。

その打撃によって対象物を削っていくというものになります。ハンドブレーカーは長さが約7センチ、重さが約2キロ程度で非常に持ち運びが容易で、大型重機の入らないところや、内装解体などの工事に適しています。

一方で騒音が激しく、大量の粉塵が発生するデメリットもありますので、使用するときは周囲の配慮が重要になってきます。また作業者にも防塵マスクや保護メガネ、耳栓等の着用が求められてきます。

カッター工法

カッター工法は、ダイヤモンドブレードを使用したカッターで、切断面に固定されたレールの上を移動して切断していく工法で、非常に騒音が少なく、振動においてはほとんどありません。また粉塵においては切断しながら吸い取っていく方式が多いため環境面に適した工法と言えます。

ワイヤーソーイング工法

ワイヤーソーイング工法は、ワイヤーソーと呼ばれるものを対象物に巻き付けて固定し、駆動機によってそれを高速に動かし切断していく工法です。
油圧式やエンジン式などがあります。建物の形状に左右されることなく複雑な形状にも対応できます。

静的破砕剤工法

 静的破砕剤工法は、RC構造やSRC構造を解体する際に、対象物に穴をあけ、そこに生石灰系の膨張剤を充填し、時間経過によってその防潮圧を利用して破砕する工法です。

ブレーカーなどを使う工事に対して騒音が無く、低公害な破砕工法として利用されています。また穴をあけるパターンによって計画的な形状に破砕することができるのも大きなメリットのひとつです。

以上のように解体工法には様々な工法があり、いずれも解体する環境に応じた工法を取って施行していく工法となっています。特に住宅密集地や高層ビル街など重機の入らないところなどは、繊細な技術を持って解体しなければなりません。

解体工になるための資格


これまで解体についての内容や工法などをご紹介してきましたが、解体工になるためにはどうしたらよいのかを簡単にご説明します。
解体には様々な工程があります。それに資格が必要とされる場合が多いのが現状です。

例えば、先に述べた重機を使った解体作業にはそれに見合った重機の免許が必要ですし、解体にアスベストの撤去や除去が必要な場合には「石綿作業主任者」という資格者を選任して法令を守ることになってきます。

様々な解体工事の工程過程においてその都度必要な資格が必要になってきますので、
誰でも簡単に解体できるわけではないのです。
以下に解体作業に関わる資格をいくつかご紹介しますので、参考にしてください。

解体工事施工技士

解体工事施工技士は、国土交通省管轄の国家資格で、500万円以下の解体工事を行うために解体工事業の登録や施工に必要な技術管理者のことを言います。

解体工事の工法や、事前調査、見積もりなどの実務において、工事の施行・管理に必要な知識を持っていることを証明する大事な資格です。
この資格は、解体業者が解体工事業を営む上で認可を受ける際に重要な要件を満たすための資格になるので非常に大切な資格となっています。

また、この資格を得るには学歴に応じた年数の解体工事実務経験が必要となってきます。学歴は不問ですが、その場合は実務経験が8年以上必要となります。

足場の組立て作業主任者

足場の組立て作業主任者は、安全労働衛生法に定められた作業主任者で国家資格のひとつであり、足場の組立て等作業主任者技能講習を修了した人の中から事業者によって選任される資格です。

この資格は、建設現場での転落事故の多発に伴って平成27年7月1日より施工された教育資格です。
この法律に伴い、指定された講習学科を指定された時間受けることが義務付けられました。この教育を受けて資格を取得しないと足場の組立てや解体を行うことができないのです。

コンクリート造の工作物の解体等作業主任者

コンクリート造の工作物の解体等作業主任者は、高さが5メートル以上のコンクリート造工作物の解体作業を行う際に事業者が配置しなければならない資格です。
この資格の技能講習を修了した人でなければコンクリート造の工作物の解体等作業主任者の業務を行うことができません。
業務内容は、高さが5メートル以上のコンクリート造工作物の解体や破壊作業を行う場言いに、労働災害の防止などを行います。

地山の掘削作業主任者

地山の掘削作業主任者とは、労働安全衛生法に定められた作業主任者のひとつで、国家資格です。
地山の掘削及び土止め支保工作業主任者技能講習を修了した人の中から事業者により選任されます。業務内容は主に掘削面の高さが2メートル以上になる地山の掘削作業を行う時に、器具や工具の点検、作業方法の決定、現場の指揮を行い労働災害を防止します。

建築物等の鉄骨の組立て作業主任者

建築物等の鉄骨の組立て作業主任者は、労働安全衛生法に定められた作業主任者のひとつで、国家資格です。
建築物等の鉄骨の組立て等作業主任者技能講習を修了した人の中から事業者より選任されます。
業務内容は、建築物の骨組みや塔で、高さが5メートル以上の金属製の材料でできているものの組立てや、解体を行う時に労働災害の防止などを行います。

特定化学物等作業主任者

特定化学物等作業主任者は、労働安全衛生法に定められた作業主任者のひとつで、国家資格です。
この資格は、特定化学物質及び四アルキル鉛等作業主任者技能講習を修了した人の中から事業者より選任されます。

この資格がなければアスベストなどの取り扱いに対応することができません。この資格はガンなどを発生させる恐れのある物質から労働者を守るのが仕事で、「必置資格」として特定化学物質を取り扱う現場では必ずこの資格者を設置しなければならないのです。

主な業務は、

先に述べたように労働者の安全を確保することを目的としているため、現場で作業員が汚染されてしまわないように作業方法の決定などを行います。

また、安全保護具の使用状況の確認や、作業員の健康維持を図るための予防措置を1か月を超えない期間ごとに点検することなどが挙げられます。

石綿作業主任者

石綿作業主任者は、労働安全衛生法で定められた作業主任者のひとつで、国家資格です。石綿作業主任者技能講習を修了した人の中から事業者によって選任されます。

石綿を取り扱う上で必要な資格ですが現在では石綿の使用が禁止されていますので新設での取り扱いはありませんが、老朽化したたてものの撤去や、震災などで倒壊した建物の修復などにはこの資格が必要になってきます。
業務内容としては、石綿によっての身体的な被害防止の指揮や監督を行います。

解体作業においてはこれらの資格以外にもさまざまな資格が存在します。

その作業によって必要となってくる資格があるので、注意しなければなりません。このような資格取得や講習を受けなければ作業員としても解体工事に従事することができないのです。

また、資格だけでなく作業員個人のスキルや経験が非常に重要になってきます。

まとめ


これまで解体作業においてご紹介させていただきましたが、解体作業は一見派手に見えても実は非常に繊細な作業であることが言えます。

特に環境面と安全面においては細心の注意を払わなければならないのです。ただ闇雲に破壊しているわけではなく、その作業ひとつひとつに必要な資格もあり、また個人的なスキルや作業経験も必要になる職種です。

そして、このような熟練した職人たちによってわたしたちの暮らしが支えられていることを忘れてはいけません。新しい建物を建てるにしても、そこに古い建物があれば解体・撤去しなければ建てることもできないのです。

何気なく暮らしているわたしたちにはこのような職たちの上に成り立っていることを忘れてはいけません。

これから解体作業に従事する方も、すでに従事していて今後スキルアップを目指している方も、この記事を通して何かを感じ取っていただき今後の生活に役立てていただければ幸いです。

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