建築業界は派遣が禁止されている職種が多いですが、施工管理は派遣で働くことが可能です。
派遣は自分の能力や経験を活かしてさまざまな現場を経験できる、高収入を期待できるなどのメリットがありますが、一方で経験者からは「やめとけ」と言われることも多いです。
なぜ施工管理の派遣はやめとけと言われるのか、その理由を確認しましょう。
施工管理の派遣はやめとけと言われる理由
施工管理の派遣の求人はたくさんありますが、なぜやめとけと言われるのか、その理由を解説します。
人によっては派遣で働く方が合っている可能性もあるので、自分のキャリアプランと照らし合わせて考えてみましょう。
キャリアアップが期待できない
派遣はキャリアアップが期待できない、使い捨てという印象を持つ人が多いです。実際に他の業界では派遣を都合よく使っている業種、職種もあります。
派遣としてのキャリアだけでは正社員に転職できない、その後昇格、昇給も期待できないという考えもあります。
ですが、派遣であっても施工管理の業務内容には変わりはありません。現場をさまざまな点から管理し、業界の人間関係を経験し、豊富なスキルや知識を持っていることは、雇用形態に関わらず転職の際大きな強みになります。
また、さまざまな規模、種類の現場を派遣で経験することでより自分に合う現場を知ることができ、転職の際の企業選びに役立てられます。
給料が上がらない
派遣契約は時給で給料が計算されることがほとんどです。
即戦力として採用されるため、新卒の正社員などよりはかなり高額な給料を最初から受け取れるのが派遣の魅力の一つです。
ですが、派遣として働き続けていると昇格、昇給はありません。
そのため、最初は同年代より給料が高くても、派遣として働き続けていると年収を追い越されてしまいます。
賞与もないので、同じ仕事をしている正社員より待遇が悪いことに不満を感じるかもしれません。
建築業界は今後も不景気が続くと言われており、派遣の給与が上がることも考えにくいです。
仕事が減ったときの待遇が悪い
少子高齢化の影響を受けて日本の建築業界の景気は低迷しています。
オリンピックや万博などで一時的に好景気にはなりますが、安定した好景気にはつながりません。
仕事が減ったとき、真っ先に影響を受けるのが派遣社員やアルバイト、契約社員などの非正規雇用者です。
契約が切れてからまた同じように派遣の仕事を探そうとしても思うように見つけられなかったり、他の人材に仕事を取られてしまったり、さらに同じ仕事内容で時給が大幅に下がったりと、生活に直接影響を受けてしまいます。
正規雇用と非正規雇用の格差を減らすためにさまざまな法律の改定が進んでいますが、いまだに非正規雇用者が安定して働ける環境とは言えません。
時間外労働の多さは変わらない
施工管理は正社員であっても派遣社員であっても必ずと言い切れるほど時間外労働をしなければなりません。
建築現場ではさまざまな理由でスケジュール通りに作業が進まない可能性があります。
納期に間に合わせるためには多少の時間外労働はつきものです。
これは派遣だけでなく建築業界全般で問題になっており、時間外労働の上限を設けたり時間外労働に対しての割増賃金を設けたりとさまざまな施策がおこなわれています。
ですが時間外労働そのものが完全になくなることはほとんどありません。
時給で雇用されている派遣は時間外労働をすればその分給与が発生します。その点では、時間外労働もデメリットばかりではありません。
施工管理の派遣で働くメリット
施工管理の派遣はマイナスなイメージが強いですが、メリットがまったくないわけではありません。
どんなメリットがあるのか、派遣の働き方が自分に合っているのかを考えてみましょう。
経験が少なくても高収入を得られる
派遣は比較的高い給料が設定されており、時間外労働分もきちんと支払われます。
正社員は収入が安定しているものの、みなし残業も多く、時給に換算すると最低賃金に近い金額だった…ということも少なくないのが現状です。
また、建築業界は若手の人材が不足しており、どんな雇用形態であっても若手は歓迎される傾向にあります。
派遣は基本的には即戦力となる人材を求めるためのものですが、比較的経験が浅い若手であっても重宝されるでしょう。
派遣である程度のスキルを積んでから正社員登用を目指すという方もいます。
幅広いスキルを身に着けられる
建築業界で活躍するには、建築についての幅広い知識やスキルが必要です。
一つの会社で施工管理として働いていても充分スキルや知識は身に着きますが、派遣としてさまざまな現場で働くことで、より幅広いスキル、知識が身に着きます。
人間関係を円滑に形成するスキル、現場に応じて働き方を変えるスキルなど、建築には直接関係しないものの施工管理としての大切なスキルも、派遣によって身に着くでしょう。
会社の上下関係や年功序列に縛られない
近年、働き方やライフワークバランスについての考え方は大きく変わりつつあります。
年功序列、終身雇用の形態は崩れつつあり、一人ひとりがより自分らしく働くことを大切にしていこうという考え方が広まっています。
派遣で働くことで、会社に勤めていた頃のような上下関係、年功序列に縛られない働き方ができます。
自分のスキル次第でより難しい仕事を獲得できたり、高収入を得られたり、人脈を広げてさらなるチャンスを掴むことも可能です。
自分のライフスタイルに合わせた自由な働き方ができるという点は派遣の大きなメリットです。
施工管理の派遣で働くのに向いている人の特徴
施工管理の派遣はどんな人に向いているのかを確認しましょう。
派遣から正社員登用を目指したい
施工管理の派遣の求人は多いですが、中には正社員雇用を前提とした紹介予定派遣もあります。
最初は派遣で双方の条件、働きやすさなどを確認し、一定期間派遣で契約した後に正社員として雇用してもらえます。
また、派遣でさまざまな経験を積んだ上で正社員として転職したい方にも向いています。
前述のとおり、派遣でも現場を経験したことは立派な実績になり、転職活動においても強みになるでしょう。
経験が少なくても高収入を得たい
建築業界は経験がものを言う世界です。経験が少ない若手の内は現場を任せてもらえない、雑用ばかりさせられるということもあります。
一方で派遣なら経験が少なくても現場を管理する重要な業務をこなすことが可能です。
その分収入も高く、若い内から高収入を得て働けます。
派遣は時給が上がらないというデメリットもありますので、ある程度派遣でスキルや経験を身に着けたらそれを武器に正社員登用を目指すことも忘れないようにしましょう。
幅広い業務に携わりたい
派遣先によって業務内容や細かいルール、人間関係は大きく変わります。
施工管理のさまざまな業務に携わりたい、自分が得意なこと、向いている分野を知りたいという方には、多くの業務を経験できる派遣の働き方はおすすめです。
派遣に関する法律はたくさんあり、規定以上の仕事をさせてはいけないルールもあります。雇用契約を結ぶ際は業務内容をよく確認した上で、問題なく業務を進められるようにしておきましょう。
施工管理の派遣は考え方次第!自分に合うか見極めよう
施工管理の派遣が「やめとけ」と言われる理由、派遣で働くメリットや向いている人を紹介しました。
施工管理の派遣はデメリットもメリットもあり、一概に「やめとけ」と言い切ることはできません。世間一般のイメージだけでなく、明確にメリットとデメリットを把握しておくことが大切です。
建築業界の人材派遣について、下記の記事でさらに詳しく解説しています。自分はどんな働き方をしたいか、派遣に向いている考え方をしているかを確認した上で雇用形態を考えましょう。