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空調設備とはどんな仕事?ダクト工事について付随する工事を紹介します

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『地球温暖化』『ヒートアイランド現象』『異常気象』…。
わたしたちの住む地球には確実になんらかの変化が起きているのは否めない状況にあります。

その中で生活するわたしたちにとって空調設備はもはや欠かせないものとなっています。夏は涼しく、冬は暖かい。先人たちの努力と知恵がつまった設備と言えるでしょう。

室内温度が高すぎて暑かったり、低すぎて寒かったりしては家庭での団らんや食事、仕事では業務の効率も著しく低下してしまうでしょう。このように空調設備は生活のみならず、仕事の面でも非常に大きく影響しているのです。

「ちょっと暑いからそこの喫茶店で涼んでいこう」なんてことも空調設備があればこそ実現できることではないでしょうか。

わたしたちの暮らしに欠かすことのできない空調設備。今回はその空調設備にスポットを当て、空調とはなんなのか。またどのような工事なのか。空調設備に付随する工事も含めてご紹介していきましょう。

空調とはなんなのか?(空調の定義と役割)


そもそも「空調ってなんだろう」とお思いの方もいらっしゃると思います。まず空調とはなんなのかというところからご紹介していきましょう。
空調とは『空気調和(くうきちょうわ)』の略で、空気調和とは、人々の生活するうえでの快適性の改善や、生産するうえでの品質の維持・向上、貯蔵品などの品質維持といった、物品を取り扱う上での産業目的など、ある場所の空気の温度・湿度・換気・気流・清浄度などを調整することを指します。

しかしここで疑問が起きてきます。「空調設備と冷暖房設備って何が違うの?」
空調設備は、温度の調節だけでなく、湿度や空気清浄、気流まで制御する設備のことを指し、正式には『空気調和設備』と呼ばれています。電車や工場などは室内環境を適切にする必要があるので、空間を快適かつ安全な環境にするためにこの設備が用いられます。

一方で、『冷暖房設備』は、暑いときには冷房、寒いときには暖房と言ったように温度調節ができる設備のことで、いわゆる『ルームエアコン』のことを指します。
現在では多種多様なルームエアコンが販売されていて、省エネでのコスト面の優位性はもちろん、空気清浄機能や内部のセルフクリーニングなどを兼ね揃えたエアコンも登場してきています。

では空調設備の役割についてはどうでしょうか。下記にまとめましたのでご参考にしていただけると幸いです。

換気

 換気は、室内の空気を追い出して屋外の空気を取り入れることです。
定期的に換気をしないと、室内に二酸化炭素が溜まり健康に支障が出る恐れがあります。

特に高層ビルなど機密性の高い建築物などでは気密性が高いので、きちんと換気をしないと非常に危険です。

そして換気を行うことで室内の湿度も軽減されます。湿度が上昇すると天井や壁、床などにカビを発生させる原因にもなってきます。

そのカビを人が吸い込むことでアレルギー症状を引き起こす可能性もあるので換気は非常に重要な役割を担っていると言ってもいいでしょう。

空気清浄

 わたしたちの日常生活において、ホコリや粉じんなどをはじめとして、多くの汚れがいろいろなところに付着しています。タバコも空気を汚す要因のひとつです。

最近では分煙や全面禁煙のところが増えましたが、嫌な臭いを除去することも快適な環境にするためには必要な役割となってきます。
また近年では花粉症の症状に悩まされている人も多く、空気清浄はとても大切な機能と言えます。

ビル内で空調設備が作動してない場合、室内はどんどん空気が汚れて行ってしまいます。
また、空調設備も定期的に清掃しないと、逆に室内の空気を汚してしまうので注意が必要です。

消臭や脱臭効果

 空調設備は汚れだけでなく、消臭や脱臭効果も期待できます。レストランなどで店内入ったときに嫌な臭いをするお店には入りたくないものです。
こんなことの無いように消臭や脱臭は必要不可欠です。

また、わたしたち人間も季節によっては臭いを発しています。そのような臭いも抑えることで、とても快適な空間を作り出すことができます。

冷房や暖房

 暑いときには涼しく、寒いときには暖かくと人々の生活を快適にしてくれるのが冷暖房です。

しかし、冷暖房は暮らしを快適にしてくれるだけではなく、安全にも大きく貢献しています。病室の温度管理や食品加工工場などでは、適切な温度の管理によって医療やわたしたちが口にする食べ物の安全を守ってくれます。

以上のように、空調設備の役割というのはわたしたちの生活にとって非常に大きな役割を担っていることがわかります。

空調設備の種類


わたしたちの生活に非常に重要な空調設備。ではその空調設備にはどのような種類があるのか見ていきましょう。

個別空調

 空調の起動や停止、温度調節や風量調節などを空調の系統毎に設定できるシステムで、中規模以下のビルによく用いられています。
メリットとしては、系統毎(部屋毎)に運転の起動や停止ができるため、使用していない部屋の起動を停止しておくことで電気料金の無駄を省くことができます。

また冷暖房の切り替えや風量の設定なども比較的自由に設定できるため各部屋で適切な空調環境を整えることが可能です。また、基本的には24時間運転が可能です。

セントラル空調

 セントラル空調は、中央制御室で空調をまとめて管理するシステムです。

熱源が一か所に集まっています。中央制御ですので、コアタイム(人が集中している時間)で設定ができるため、空調費は共益費に含まれています。
ですので、平日稼働を主としている会社などではコストメリットがあります。

一方で、中央制御のために個々の希望に沿った空調管理ができないというデメリットもあります。
また、残業や休日出勤のある会社などでは、時間外の運転料金が必要になってくるため、そのような場所では不向きです。

天井埋め込みカセット型

 室内機本体が天井に埋め込まれたタイプの空調機で、化粧パネルだけが表面に出ている設置方式です。
吹き出し口が4方向から1方向まで幅広く種類があります。業務用エアコンで最も多く採用されているタイプとなっています。
このタイプは温度が均一になりやすく、風向調節機能も付いていて、比較的容易に最適な環境を作り出すことができます。

ダクト型

 本体は天井内に埋め込む形で、吹き出し口をダクトで自由にレイアウトできるタイプです。このために温度ムラのない快適な空調環境が実現できます。

天井吊り型、壁掛け型

 いわゆる一般家庭に多く普及されているエアコン。本体は天井から吊るすタイプや壁にかけるタイプがあり、いずれも本体は露出しています。

床置き型

 床に置くタイプの空調機で、比較的簡単に取り付けが可能なために工事費用を抑えることができます。
床に置いてあるのでメンテナンスも比較的容易に実施することができます。

以上のように空調設備には様々な種類があります。
この中で、個別空調とセントラル空調、ダクト型に関して、設置する場所にもよりますがダクトと呼ばれるものを付随工事として行わなければなりません。
そのダクト工事とはどういったものなのかを次にご紹介します。

ダクト工事の目的と役割


ここでも空調設備と同様に、まずは「ダクトとは?」といったところから見ていきましょう。
ダクトとは、主に気体を運ぶ管のことで、建築物内での空調や換気、排煙の目的で使用されます。
ちなみにダクトを日本語に訳すと『風道』『風道管』と言い、まさに風を導く管のことです。

空調機で作られた冷気や暖気を、ダクトを通して各部屋へ送ったり、汚れた空気を屋外へ運んだりと様々な用途で使われています。

特に人が多く集まる病院やショッピングセンター、学校などでは常に新鮮な空気が必要になってきます。

人が快適に過ごすためには欠かせないことです。それを実現するのがダクトです。

建物内に空気の『道』をつくることで、常に新鮮な空気を室内に保ち、建物に命を吹き込んでいきます。では、ダクトにはどのような種類があるのでしょうか。主に3種類存在していて下記にそれをまとめて記載します。

空気調和ダクト(空調ダクト)

 空調機から作られる冷気や暖気をこのダクトを通して建物内に送り込むために設置します。
ダクトは空調機に繋がれていて、吹き出し口は風を出したい場所に各々設置していきます。
建物内に送り込むダクトを『給気(SA)ダクト』、建物から空調機に戻るダクトを『還気(RA)ダクト』と言います。

換気ダクト

 換気ダクトは建物内の空気の入れ替えに使われるダクトです。

密閉された空間で換気をせずにいると二酸化炭素が溜まり、健康に影響を及ぼしてしまいます。
そのようなことのないように常に空気の流れを確保していきます。

通常の建物に使用するのはもちろんですが、飲食店などの煙や臭いの排出にも使われています。家庭で言う換気扇と同じ役割も持っています。
新鮮な空気を屋外から取り込むダクトを『外気(OA)ダクト』、汚れた空気を排出するダクトを『排気(EA)ダクト』と言います。

排煙用ダクト

 排煙用ダクトは火災のときに有害な煙を屋外へ排出するダクトです。
素早く煙を外へ排出するためにダクト内の圧力が高く設定されています。また風速も早いため高速ダクトとも呼ばれています。

以上のようにダクトと言ってもその目的に応じて使い分けられているのがわかると思います。さらには、その目的によってダクトの材質も変化しています。下記にダクトにはどのような材質が使われているのかまとめましたので見てみましょう。

融亜鉛メッキ鋼板(亜鉛鉄板)

 主に一般空調や換気・排煙ダクトに使われる鋼板で、丸ダクトや角ダクトなどあらゆる形状に対応できるので柔軟な工事が可能となっています。
ただし腐食や錆に比較的弱いため、屋外での使用には腐食防止の処理が必要となってきます。

ステンレス鋼板

 融亜鉛メッキ鋼板に比べて耐食性が強く、屋外や湿気の強い場所、厨房などで使用されています。
融亜鉛メッキ鋼板と同じく、加工性が容易なために丸ダクトや角ダクトなど様々な形状に対応できます。

しかし、融亜鉛メッキ鋼板に比べ高価な材料となっています。また、光沢感があるため、仕上がりが美しいのも特徴です。

ガルバニウム鋼板

アルミニウム55パーセント
亜鉛43.4パーセント
珪素1.6パーセント

の合金メッキで、外部や耐熱が要求される場所に使用されます。
融亜鉛メッキよりも腐食に強く、ステンレス鋼板よりも安価です。

塩ビコーティング鋼板

 塩ビライニングとも呼ばれていて、錆びや腐食に強く、水分や腐食性ガスを含む空気を流したり、それに類する場所でよく使われるダクトです。薬品工場や病院などの薬品関係の排気ダクトにも使われています。

グラウスールダクト

 断熱性と吸音性に優れ、ダクトに関する音を配慮しなければならないホールやスタジオなどでよく使われます。
またダクトにグラスウールが成形されているので保温の必要がなく、保湿や吸音工事がダクトを引くだけで完成するメリットがあります。しかも錆びや腐食の心配が無いのが特徴です。

以上のようにダクトの材質は様々で、使用用途によって使い分けられています。

このような材質を使ったダクトを職人が吊り金具を使って天井から吊り下げていきます。

つなぎ目には専用のテープやコーキングを使い施行していきます。このダクト工事は、目的の場所まで様々な障害物があります。職人はこれを図面と照らし合わせながら時には現場で急遽ルートを変更したり臨機応変な対応が求められます。

状況に応じて、エルボ、Sカーブ、分岐などあらゆる継ぎ手や材料を使いながら他の設備との干渉を避け、施行しなければならない非常に高度な技術が必要になってきます。

では、その配管工事において、必要な資格や、年齢、性別などを紹介していきます。

ダクト工事に必要な資格について


 現場監督の指示の下で、ダクトを取り外しする工事においては特に資格や年齢、性別などは規制されていません。ですので、ダクト工事に関わりたい、ダクト工事の仕事に就きたいと思っている方は、内装工事を行うリフォーム会社や、そのような工事を請け負っている会社に就職するのが良いでしょう。

しかし、自分の技術力を『証明』したい場合は、下記のような資格制度がありますので一度検討してみてもいいかもしれません。

建築板金技能士

 カラートタンや銅板などの金属板を加工して、屋根や外壁、雨どいなどの施行する建築板金技術のスペシャリストです。
内外装の板金作業とダクト板金作業に区別されていて、学科と実技試験に合格することで資格が得られます。

管工事施工管理技士

 管工事における施工管理の専門的な国家資格です。ダクト工事そのものは資格が無くても取り付けたり外したりできますが、現場における施工管理や工程管理、安全を管理する仕事は管工事施工管理技士の資格が必要になってきます。

建物は大きくなればなるほど複雑な配管経路になり、種類も増えていきます。

施工ミスは大きな問題に発展しかねないため、きちんとした詳細な工事計画と施工計画が欠かせなくなってきます。それを全部管理するためにこの資格があります。

まとめ


今回空調設備とダクト工事に関してご説明してきました。
空調機はわたしたちの暮らしに欠かせないものです。いくら立派な建物ができたとしても、それだけでは機能しません。きちんと人の存在できる環境づくりが必要になってきます。そのために空調設備が必要になってくるのです。

とりわけダクト工事に関しては、人目に付くことはほとんどありませんが、それだけに効率よくかつ機能的に施工しなければならないのです。
この記事を通じて空調関係の仕事に就きたいと考えていただけるなら、一度検討してみるのもいいかもしれません。

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