会社が、利益を得る・事業を拡大する為には”売上”は必要不可欠なものです。
そして、利益を上げるために「営業」という職種が存在します。
ただし営業と一口で言っても、実に様々な種類があり、業界および業種によっても営業の目的や方法は大きく異なります。
共通しているのは”利益を上げる”ことです。
また、2020年のコロナウィルスの影響により、営業の形態も少しずつ変化が生じています。
今回は、そんな営業に関することを色々とご紹介していきましょう。
営業とは商品を販売する仕事ではない
営業に対するイメージを伺った時、「モノ(商品)を販売する仕事」という認識を持たれることがあります。
決して間違ってはいません。
ただ、一つ付け加えるとすると”顧客の問題解決のために、商品を提供(販売)すること”なのです。
そして、その売上によって会社に利益をもたらします。
自社の商品によって、
- 顧客の生活の質を向上させる
- 顧客の欲求を満たす
このようにして、顧客の問題や悩みを解決し信頼を得ていくのです。
信頼を得ることは、営業マンだけでなく企業のイメージアップにも繋がります。
そうすることで会社の売上が伸び、新たな商品を開発、さらに顧客の満足度を満たしていく……という、まさにwin-winの関係が構築されていきます。
営業の世界には「三方よし」という言葉があります。
これは、日本三大商人の一つと言われる近江商人の経営哲学であり、”売り手によし、買い手によし、世間によし”という意味を持っています。
トップ営業マンと呼ばれる人は、この考えを常に根底に持ち、売る側の立場を押し付けずに相手の立場になって商品を販売しています。
それがトップ営業マンと呼ばれる所以であり、大きな利益をもたらすことができるのです。
営業の種類
冒頭にもお伝えしたように、営業には様々な種類が存在します。
ここでは、その一部をご紹介していきましょう。
法人営業
これは、企業や団体などを対象に営業活動を行うものです。
相手方の会社にとって、
業務効率化を図ることができる
その会社で働く社員が、仕事の合間の息抜きができる
など、メリットを感じてもらう商品を提案・販売していきます。
対会社であることから、社員の一存で決定を行うことはできません。そのため一回の商談が長引く傾向があり、その代わり契約が成立すれば、大きな利益を得ることが可能な場合もあります。
さらに、その商品や営業マン・会社を気に入っていただければ、”お得意様”として長くお付き合いいただける可能性もあります。
というのも、会社の規模が大きいほど、新規に新しいものを取り入れようとすると既存のものよりも導入費用が割高になってしまうケースがほとんどです。
また、新しい技術に慣れていくための時間も必要とします。
そのため、企業というのは、一度導入した製品はよほどのことが限り別会社のものに入れ替えをするということはありません。
契約が成立すれば、長くお付き合いいただける可能性が高いと言えます。
後は、どれだけ相手方の会社にご満足いただけるか、です。
個人営業
これは、一般宅にお住いの方などの”個人”を対象とした営業です。
お客様のお宅に訪問し、生活の役に立つもしくは欲求を満たせる商品を提案し、販売していきます。
上記の法人営業と業務内容は似ていますが、
- 法人に比べると、一回の商談利益は少なくなる
- 個人のため、決断が早く契約までの流れがスムーズに進むことがある
このような点が大きく異なります。
ただし、個人宅への訪問営業は顧客側の警戒心が強くなっていることから、法人営業以上に仕事内容が厳しいと感じる点もあります。
この点については、後述でもう少し詳しくお話します。
ルートセールス
これは、既に自社の製品を利用いただいている”既存のお客様”に対して、営業を行っていくものです。
既存のお客様の元へお伺いし、
新製品を紹介し、新たに導入を検討いただく
などを提案していきます。
これは、法人・個人どちらでも行われています。
既に接点がある顧客の元へお伺いすることから、新規営業に比べると”話は聞いてもらいやすい”環境にあり、営業の経験が浅い方や未経験者でも業務に慣れていきやすいタイプです。
ただし、あくまで入口が入りやすいだけであり、その後の提案を受け入れてもらえるかどうかは、営業マン次第です。
時には「お得意様なんだから、もうちょっと安くしてよ…」など、金額の交渉などを持ち出される可能性もあります。
まさしくお得意様であることから無下にすることもできず、反感を買うことがあれば契約を打ち切られる可能性もある……という新規営業とはまた違った苦労が待ち構えています。
カウンターセールス
これまでに紹介してきたものは、全て営業マンが顧客のもとへ赴き、提案をするスタイルです。
このカウンターセールスは、店舗を構え、そこに訪れたお客様に対して提案・販売を行っていきます。
例えば、
・住宅展示場
・旅行代理店
・携帯電話の店舗販売
・車のディーラー
など、他にも様々な業態が存在します。
これは、”来店されたお客様=ニーズを求めている人”であるため、他の営業に比べても提案は進めやすい傾向にあります。
ただし、別の追加オプションを提案していくなど、お客様が求めている以上のものを提案し契約に繋げていく商談力が必要となります。
リモート営業について
遠方のお客様と商談ができる
「営業とは、足で稼ぐものだ」
古くから、営業マンは顧客のもとへ訪問し様々な商談を行ってきました。現在の営業スタイルも基本的な部分は変わりません。
しかし、近年はそのやり方と同時に「リモート営業」なる手法が取り入れられています。
これは、WEB会議システムなどを利用して、離れた場所からパソコンや電話で商談を進めていくものです。
これの一番の利点は”遠方のお客様とすぐに商談を進めることができる”という点です。
例えば、東京の会社に勤務している人が、北海道の企業の方と商談をするとなった場合、移動時間はもちろんのこと、出張のために日を空ける、飛行機の手配や宿泊場所を探すなど、様々な事務処理を行っていかなくてはいけません。
特に、法人営業の場合は、契約までの商談期間が長く、製品導入後もアフターフォローとして密に関わっていくことが多いのです。
顧客のためにお伺いすることは企業として当然のことではありますが、リモート営業を行うことで、業務の効率化を図ることができ、商談をスムーズに行うことが可能となります。
企業によっては、全国または世界展開している企業もあります。
各地方に営業所を用意している会社もありますが、それに加えリモート営業も行うことで、さらに多くのお客様と接する機会を増やすことができるのです。
今後需要が伸びる可能性がある
リモート営業は、便利な反面まだまだ受け入れられない点も多く存在します。
その理由は、
“営業は訪問するもの”という価値観が根強く残っている
この2つが大きいのです。
ただし、この点は少しずつ解消されてもいます。
2020年のコロナウィルスの影響から、在宅ワークを行う人が増え、その間にリモート会議などWEBシステムを使った遠方とのやり取りが少しずつ浸透しつつあるのです。
- 会社員は、会社に出社するもの
- 営業は訪問して商談するもの
古くからの価値観であり、今も根強く残っているものですが、この考え方が少しずつ変化してきています。
今後も、リモート営業など、営業の手法も新たなものが取り入れられてくるかもしれません。
対面の重要性
ただし、リモート営業が主流になったとしても、対面でのやり取りが今後も重要であることに変わりはありません。
当たり前のことではありますが、電話でのやり取り……つまり”声だけ”では、目の前の人がどんな人物なのかを判断することは難しいです。
WEB会議システムを使用すれば、お互いの顔を認識することはできます。しかし、あくまで商談だけであり、雑談などはほとんどありません。
対面で話をする、もしくは商談後の世間話などで相手のことをより深く知るなど、会って話をすることで感じ取れるものもあります。
現在、リモート営業を取り入れている企業は増加していますが、”本当に大事な商談”というのは、例え遠方であっても会社の人が必ず訪問し、対面で話を進めています。
全てがリモート営業に切り替わることは、今後も早々ありません。
ただ、リモート営業も使いこなせるようになる必要はあります。状況に応じて、やり方を変えていく。
そういった柔軟性も、今後の営業マンに求められる技術となるはずです。
営業に対する警戒心
顧客側
法人・個人であっても、営業に対する警戒心というのは年々増加しています。
- 押し売り営業
- しつこく連絡をしてくる
など、古くから営業ノルマを達成させるために無理な営業を行ってきたことが原因で、営業に対してあまり良くないイメージを持っている人もいます。
もちろん、全ての人がこのような営業を行っている訳ではなく、親身になって顧客の話を聞き、無理な営業はしないという人もたくさんいます。
ただ、悪いイメージが根付いてしまっているのです。
そのため、個人営業であれば、居留守であったり厳しい言葉を投げかけられることもあります。
法人の場合、会社のイメージもありますから個人ほどではありませんが、それでも”電話営業お断りの事務員を配置する”など、営業に対して対策を取っている企業も存在します。
これについては、
- 無理な営業をしない
- 時間を掛けて、相手方の信頼を得ていく
という方法しか、改善の道はありません。
尚、こういった悪いイメージというのは、顧客側だけでなく、営業マン側にも根付いていることがあります。
営業マン側
「営業はストレスのたまる仕事」という認識が一部で持たれることもあります。
このイメージの一番の原因は”人間関係”とされています。
何か言われたらどうしよう……
営業ノルマが達成できそうにない……
営業に対するマイナスイメージを持っていると、良くないことが続くとこのような点で自暴自棄になってしまい、自分のしている仕事に自信が持てないというパターンさえ生じてしまいます。
気持ちを切り替えることが大事ではありますが、何度も断られ続けているとその切り替えが中々できなくなることもあります。
この点が、営業の仕事に就く上で厳しいと感じる点かもしれません。
ただし、全ての営業マンがこうなる訳ではありません。多くの営業マンの中でも顧客・企業に大きく貢献する「トップ営業マン」もいるのです。
大切なのは、相手の立場に立つこと
上述で「三方よし」について少し触れましたが、営業成績の良い人はこの意識を常に持って営業を行っています。
営業の仕事は基本的に資格を必要とせず、いかに”上手くプレゼンするか”が求められます。
そのため「コミュニケーション能力が高い人」が採用条件の一つとなっているケースも見受けられます。
しかし、コミュニケーション能力が高いからトップ営業マンになれる訳ではありません。
大切なのは”相手の立場に立った提案ができるかどうか”です。
営業成績の良い人であるほど、
相手の話をしっかりと聞く(相手が求めているものが何かを会話の中から見つける)
相手のニーズを知るための会話・質問をする
相手のニーズに合わせた最適な提案を行う(プレゼン能力が求められる)
こういったものを大切にしています。そして、何かあっても切替が早いのです。
ただしこれは、持って生まれたものではなく、営業経験を経て身に付くスキルです。
やろうと思ってすぐに身に付くものでもないので、時間を掛けてじっくり身に着けていくのもいいのかもしれません。
営業マンの収入
結論から言うと、営業マンの収入は会社によって大きく異なります。
例えば、
- 役職
- 年齢
- 勤続年数
- インセンティブ
などが、給与に大きく影響してきます。
特にインセンティブは会社によって様々です。
そもそも導入していない会社もあれば、成果に応じて月収が100万円を超える場合もあります。
ただし、インセンティブが高額=それだけ営業力が問われる場合が多いとも言えます。
収入面だけを見て、営業に就職するのは少し危険です。
職に就く前に、求人サイトやホームページなどで、その会社のことをしっかりと確認する必要はあるかと思います。
まとめ
営業の仕事は、決して楽な仕事ではありません。
しかし、自身の努力=成果が明確に分かる職種であり、結果次第で収入を大きく伸ばすことができる仕事でもあります。
会社によって異なりますが、成果給を取り入れている会社は営業ノルマが設定されている場合がほとんどです。
もちろん、営業ノルマそのものがない会社も存在します。
仕事内容も会社によって様々なので、もし営業の仕事に興味がある・営業の仕事に就きたいと考えている方は、複数の求人サイトを確認してみることをオススメします。
その中で、「自分に合っているかもしれない」と感じる会社に就職してみるといいでしょう。