建築業界と一口に言っても、企業の規模はさまざまです。
大企業に就職するか、中小企業に就職するかによって、今後のキャリアも大きく変わります。
一般的には大企業の方が安定している、高収入を得られるといったイメージがありますが、建築業界においては業務内容も大きく違うため、中小企業を選ぶ方がやりがいを感じられる可能性も高いです。
大企業に向いている人、中小企業に向いている人の特徴をチェックし、今後の転職活動にお役立てください。
建築業界の企業の規模の違い
建築業界には大企業から中小企業まで多数の企業がありますが、規模の明確な違いはありません。
ですが、一般的にはスーパーゼネコン、ゼネコンが大企業に分類されます。
全国展開している工務店やハウスメーカーが中規模の企業、それ以下が小規模の企業に分類されます。
その他の判断基準としては、
- 従業員の数
- 業界内のシェア率
- 対応エリア
- 海外事業の展開
などもあります。
大企業は求人が出る頻度も少なく、倍率も非常に高くなります。
大企業に向いている人の特徴
建築業界の大企業に向いている人の特徴を3つ紹介します。
規模の大きな仕事をしたい
建築業界の大企業は一つ一つの仕事の規模が非常に大きいです。
マンションやオフィスビルの他、商業施設やテーマパーク、道路や橋、タワーなど、そのエリアのランドマークとなるような建築物に携われます。
規模の大きな仕事はやりがいも大きく、充実した日々を送れます。
安定した環境で働きたい
大企業は労働環境が安定しているところが多いです。
雇用条件や福利厚生などが充実していれば、安心して働けます。
建築業界は不況の一途をたどっていますが、大企業であればインフラ工事や海外事業なども展開しており、倒産の危険性は低いです。
建築業界で長く安定して働きたい方にも大企業が向ています。
最新の技術を学びたい
大企業は依頼を受けるだけでなく、最新技術の研究やノウハウの共有も積極的に行っています。
耐震性の高い建物や、よりコストをカットできる方法などを学べば、社内での仕事だけでなく今後独立や転職を考える上でも役立ちます。
学生時代に建築の研究を行っていた方であれば、研究職として就職、転職することも可能です。
大企業の注意点
大企業への転職を検討する上で注意しなければならない点も3つ紹介します。
一つの案件にかかる時間が長い
大規模な建築の仕事は一つ一つの期間が非常に長いです。
場合によっては一つのプロジェクトが完了するまでに何年もかかることもあります。
期間の長い仕事が終われば達成感がありますが、途中で離れなければならなかったり、転職を余儀なくされたりする可能性もあります。
引き継ぎの手間がかかるだけでなく、自分にとっても悔しい思いをするかもしれません。
上下関係が厳しい
社内の基盤が万全であればあるほど、上下関係が厳しいです。
何をするにも上司の許可が必要で、一つの決定が下るまでの時間が長引く可能性も高いです。
社内のマニュアルも厳しく、思うように動けずもどかしい思いをすることもあります。
上からの命令に従うだけでなく自分で考えて仕事をしたい方にとっては、若手のうちや転職したばかりのころは我慢が必要です。
若手のチャンスが少ない
大企業は規模の大きな仕事、やりがいのある仕事を任せられるまでに時間がかかります。
若手の人材が新規のプロジェクト、大型のプロジェクトを任せられる機会は少なく、最初は地道な仕事が多いです。
長く働けばその後やりがいのある仕事も与えられますが、若手のうちから活躍していきたい方には不向きです。
中小企業に向いている人の特徴
中小企業に向いている人の特徴を3つ紹介します。
自分から積極的に動きたいという方は、大企業よりも中小企業の方がおすすめです。
若手でもチャレンジできる
中小企業は人材が少なく、上下関係も比較的緩やかなため、若手でも活躍できる場所がたくさんあります。
入社してすぐに新しいプロジェクトを任せられることもあれば、自分の意見がすぐに通ることもあります。
意思決定までの期間が早く、次々に新しい仕事に挑戦できるでしょう。
クライアントと距離が近い
中小企業はクライアントとの距離が近く、直接感謝の気持ちを伝えてもらいやすいです。
「ありがとう」の言葉をもらえるだけで、大きなやりがいを感じられるでしょう。
クライアントである経営者とのつながりもできやすく、建築業以外でも学ぶことがたくさんあります。
社内だけでなく社外に対してもフレンドリーに対応でき、自分らしく働けるというのも中小企業のメリットです。
さまざまな仕事ができる
大企業は業務ごとに細かく部署が分かれていますが、中小企業の場合は一人が複数の業務を担当するケースが多いです。
ハウスメーカーや工務店なら、建築士は建築だけでなくクライアントとの打ち合わせや書類作成を対応することもあります。
対応できる業務の幅が広がれば自分の得意、不得意が明確になり、転職の際の選択肢も広がります。
将来独立を考えている方にとっても、中小企業で学べることはたくさんあります。
中小企業の注意点
中小企業ならではの注意点も解説します。
大企業よりも対応できる仕事の規模が小さく、技術力が低いという点に注意しなければなりません。
規模に限界がある
中小企業は対応できる仕事の規模に限界があります。
用意できる費用、資材、人材が少なく、つながりも少ないため、なかなか規模の大きな仕事は獲得できません。
企業自体が成長しない限りは大企業のような仕事を請け負うのは難しく、万が一できたとしても非常に長いスパンが求められます。
最初は小規模な仕事で満足できても、今後新しいことにチャレンジしたいと思ったときにその機会がなくなってしまいます。
技術力が低い
中小企業は仕事を請け負うのに精いっぱいで、新しい技術の研究やノウハウの共有が追い付いていないケースがほとんどです。
研究専門の部署もないことが多く、自身の成長する機会も少ないです。
建築の研究がしたい、新しい技術を学びたいという方には物足りず、専門知識を深められないというデメリットがあります。
下請けの仕事が多い
中小企業は大企業からの下請けの仕事が多いです。
下請けでもやりたい仕事であれば満足できるかもしれませんが、クライアントとの距離が離れてしまい、感謝してもらえる実感が薄まります。
将来コンサルタントを目指したい方にとってもキャリアを築きにくいです。
クライアントと直接取引をしたいのであれば、工務店やハウスメーカーのような、個人と直接取引ができる中小企業を選ぶことをおすすめします。
自分に適した転職先を選ぼう
建築業界の大企業、中小企業の特徴から、向いている人と注意点を解説しました。
大企業への転職は一般的には難しいケースが多いですが、きちんキャリアを積み、実績があれば、中小企業から大企業への転職も不可能ではありません。
ですが大企業に転職すれば自分のやりたい仕事ができるというわけではなく、場合によっては不満の残る結果になる可能性もあります。
建築業界で自分がどのように働きたいのかをよく分析した上で、最適な転職先を選びましょう。