建築業界は労働時間が長い、労働者の負担が大きい業界です。
さらに賃金が低い、危険な仕事が多いといったイメージが強く、少子高齢化の影響もあり、業界全体の労働人口の低下が問題になっています。
建築業界でも働き方改革が進められつつありますが、現状のままでは労働環境の改善が難しいでしょう。
今後建築業界で働き続けるために、そして今より働きやすい企業に転職するために、どれくらい業務の効率化が進んでいるかを確認することは非常に大切です。
企業がどれくらいデジタル化しているかのチェックポイントを紹介します。
転職の際はぜひこのような点もチェックしてください。
若手の人材を確保したい企業は、まずアナログ業務のデジタル化を進めることも大切です。
業務効率化にはデジタル化がマスト
建築業界は常に人材不足が懸念されています。
インフラや新築の建設の他、メンテナンスやリフォームなど、建築の仕事がなくなることはありません。
ですが対応できる人材が不足していると、当然労働者一人ひとりへの負担が大きくなります。
今後少子化が続くことが予想されている日本の現状では、労働人口を急激に増やすのは難しいです。
今いる人材で業務をこなしていくためには業務の効率化がマストです。
そのためにはデジタル化を進めなければなりません。
建築業界に役立つアプリやロボットはたくさん開発されていますが、実際に導入できているのは一部の大手ゼネコン会社がほとんどです。
中小企業はアプリやソフト、ロボットを導入する資金を用意できず、現状のまま従業員に負担を強いています。
時間外労働や古い風習をそのまま若手の人材に強要していると、結局離職、退職されてしまい、人材確保がますます難しくなります。
労働者としても、せっかく建築の資格やスキルを身に着けたのに本来不要な業務のせいで業界が嫌になってしまうのはもったいないですよね。
デジタル化が進んでいる企業を選べば、余計な業務にストレスを感じることなく仕事に集中できるでしょう。
建築業界のアナログな5つの業務
建築業界にはさまざまな業務がありますが、その中には本来ならデジタル化して効率化を進められるものもあります。
現在アナログな業務の負担に苦しんでいる従業員の方、何から業務を効率化すればいいかわからない企業の方は、下記の業務内容をチェックしてみてください。
(出典:ワークスモバイルジャパン「施工管理業務の現場実態」)
書類は紙で作成、共有
契約書や設計図、工程表など、建築現場ではさまざまな書類を取り扱います。
この書類を紙で出力している、紙で共有している建築現場は非常に多いです。
多くの業界では書類の電子化が進んでおり、業務効率化に大きく貢献しています。
紙の書類は共有に時間がかかり、紛失のリスク、情報漏洩のリスクが高まります。
遠方の取引先と共有する場合は郵送しなければならず、さらに時間がかかります。
印刷するための用紙、インク代、郵送代など、電子書類であれば不要なコストもかかってしまいます。
さらに書類の量が多くなると保管のために倉庫をレンタルしなければならない可能性もあります。
書類は早急に電子化し、クラウドソフトなどで共有、保管することをおすすめします。
報告書や日報は事務所で仕上げる
施工管理の仕事には日報や報告書の作成も含まれます。
この日報、報告書を事務所で仕上げなければならない事業所も未だに多いです。
現場に出向いて仕事をしてから事務所に戻り作業をするのは非効率的で、施工管理の担当者の余計な負担になってしまいます。
現場や自宅でも作成できるようにする、パソコンで作成して電子書類として共有する、施工管理向けのアプリで報告書、日報を仕上げてしまうという方法もあります。
報告書や日報の他、わざわざ現場に出向いているスタッフを事務所に呼び戻すような業務が多い場合は業務内容を見直さなければなりません。
スケジュール管理をエクセルでしている
施工管理や現場の仕事は工程表に則って進めなければなりません。
あらかじめ工程を考えていても、建築現場では天候や機材のトラブル、取引先の都合などで予定が変更になることは珍しくありません。
そんなときは早急に工程表を書き直し、作業員全員に共有する必要があります。
スケジュール管理をエクセルでおこなっていると、スムーズに共有ができず周知に時間がかかってしまいます。
建築現場の工程を管理できるアプリはたくさん登場しています。
アプリなら、必要情報を入力するだけで簡単にスケジュールの変更ができ、変更したあとにアプリを所有している人全員に通知を送ることも可能です。
わざわざエクセルで情報を変更し、ファイルをメールに添付し、全員に確認してもらうという手間もかかりません。
スケジュール表以外でも、共有に手間がかかるものがある場合は見直しが必要です。
複数の現場に直接出向かなければならない
施工管理や現場で働く作業員は、1日に複数の現場に出向くことも珍しくありません。
ですが、直接作業が必要でない場合は現場に出向かなくてもいいケースもあります。
指示や管理をするだけであればリモートでも充分対応できます。
リモートでやりとりをすることで離れた現場や複数の現場に向かう時間を短縮し、業務の効率化が可能です。
さらに交通費、宿泊費なども削減できます。
離れた場所までやり取りができるようになれば、対応エリアの拡大、事業の拡大にもつながります。
会議は直接対面でおこなう
ビデオ通話ができるツールは数多く開発されており、新型コロナウイルスの影響によってさらに普及が加速しています。
ですが対面での会議にこだわっている建築業界の企業はいまだに多く、デジタル化を遅らせている原因の一つになっています。
対面で会議をするためには当然ですがその場所まで足を運ばなければなりません。
会議の参加者の時間を奪うだけでなく、交通費や会議する場所を抑えるために余計なコストがかかります。
対面でしか味わえないコミュニケーションも確かにありますが、業務の効率化を目指すならリモートツールの導入はマストです。
約8割の企業が労働時間規制の対策をしていない
建築業界は時間外労働が多いことが深刻な問題となっており、働き方改革によって労働時間の短縮が求められています。
現在大企業では労働時間の規制が始まっていますが、中小企業においても2024年4月から規制が始まります。
ですが、ワークスモバイルジャパンの同調査、施工管理業務の現場実態によると、これだけの問題が挙げられているにも関わらず約8割の企業が規制に対する対策をしていないと回答しました。
労働時間を短くするためには業務効率化、デジタル化が必須です。
建築業界で転職を成功させるためには、業務効率化、デジタル化を進めている残り2割の企業を選ばなければなりません。
転職前の企業研究や、面接時に確認しておくべき3つの事項を解説します。
デジタル化について確認
業務のデジタル化はどれくらい進んでいるのか確認しましょう。
ドローンやAIなどの技術を導入しているかも大切ですが、従業員の業務に役立つツールとして何を導入しているのか確認してください。
リモートでのコミュニケーションを取れるかも大切なポイントです。
若手の意見が通りやすいか確認
建築業界の労働人口は高齢化が進んでおり、若い人材と衝突したり、古い風習を押しつけられたりすることも少なくありません。
若手が多い企業なら意見も通りやすいですが、高齢の人材が多いと意見が合わなかったりデジタル化に拒否反応を起こされたりする可能性があります。
現状デジタル化が進んでいなくても、若手の意見が通りやすければその分業務効率化を進められるかもしれません。
風通しの良さについても確認しておく必要があります。
労働時間規制について確認
中小企業に転職する場合は、労働時間の規制について理解しているか、どのような対策を取っているかを確認してください。
2024年4月からの導入自体を把握していない企業も少なくないのが現状です。
把握していない、対策していない企業に転職すると、結局余計な業務の負担を背負わなければならなくなってしまいます。
他にも働きやすい企業を選ぶために確認すべきポイントはたくさんあります。
下記の記事では建築業界の離職率が高い理由を解説しています。現状の働き方に疑問を抱いている人、今後若手の人材を確保したい企業は、ぜひこちらも合わせて確認してください。