建築現場では、さまざまな専門用語が飛び交っています。
大学で勉強しても、資格を取得しても、初めて現場に飛び込むとわからない言葉だらけで戸惑うかもしれません。
今回は、建築現場で用いられることの多い専門用語を解説します。
迅速に対応できるよう、これらの用語の意味と使い方を把握しましょう。
建築現場で使われることの多い専門用語
建築現場ではどのような用語が使用されるのか、よく使われる言葉を集めたのでチェックしていきましょう。
建築工法にまつわるものから顧客との契約時に使われるものまで、知らない単語がないか確認してみてくださいね。
いちころ仕上
いちころ仕上とは、本来であればいくつもの工程が必要な作業を、一度の作業のみで済ませてしまうことを言います。
建築現場においては、塗装など、何度も慎重に行うべき作業を一度だけで済ますときに使うケースもあります。
いちころ仕上はあまりいい意味ではなく、本来なら丁寧に作業するところを省略するので、劣化が早まるなどのリスクを伴います。
入母屋
入母屋は屋根の形の一種です。
寄棟屋根と切妻屋根を合わせた形状をしており、母屋の鼻にあたる部分が軒線よりも内側に入っているのが特徴です。
日本家屋では古くから用いられている形で、住宅建築の場においてもよく耳にするでしょう。
液状化現象
液状化現象は、地震などで水分を多く含んだゆるい砂の地盤が液状化してしまうことをいいます。
液状化現象が起こると地面が建物を支えられなくなり、建物が崩れてしまうことがあります。
建物だけでなく、地下水路に支障が出たり、マンホールから水があふれたりすることもあります。
建築現場では事前の調査が必要で、液状化現象が起こる可能性がある土地への工事は、より特別な作業が必要になることもあります。
瑕疵
瑕疵とは、工事現場における欠損のことです。
建築作業の欠損や、シロアリなどの被害も瑕疵に含まれます。
瑕疵が発覚すると、10年以内であれば、買主は売主に対して損害賠償を請求できます。
型枠
型枠は、コンクリートを固めるための枠組みのことです。
コンクリートを流し込んで固めたら型枠を外す作業が行われます。
仮設
工事現場で作業をするために一時的に設置される建物や設備のことです。
仮設トイレや足場、バリケードなども仮設に含まれます。
階高
建築物の高さを階高と呼びます。
一番下の床面から、一番上の階の床面までの高さを指します。
切り妻
屋根の形の一種です。
二つの斜面が折り合っている、一般的によく見られる形状の屋根です。
日本家屋だけでなく、洋風の建築物にもよく用いられます。
コストが低く、外観にかける予算を抑えたい場合に切り妻屋根が採用されることも多いです。
北側斜線
建築基準法では、建築物の高さの制限があり、その際に重視されるのが北側斜線です。
北側の建物の日当たりが悪くなることを防ぐため、北側斜線の基準が設けられています。
建築物の高さやデザインを考える際は、この北側斜線の上限内に収める必要があります。
躯体
建築物の骨組みに関係する部分の総称として躯体が用いられます。
基礎部分や床、柱、梁、壁などはすべて躯体に含まれます。
杭打ち工
地盤がゆるい場所で建築作業を行う際に、建物が地面に沈み込まないようにする補強工事です。
一定以上の強度がある部分まで杭を打ち込んで、建物を支える基礎を作ります。
基礎工事の前に済ませる必要があり、基本工事の他に追加料金がかかります。
サイディング
壁に使用するボードのことです。
さまざまな種類があり、メリットや費用もさまざまです。
シーリング
建築物の隙間から雨水などが侵入するのを防ぐ目的で行う作業です。
つなぎ目部分や隙間部分を埋め、浸水を防ぎ、建物の強度を高めます。
下端
資材などの下の部分です。
資材には向きがあり、間違えると作業を一からやり直さなければならないケースもあるので慎重に確認しましょう。
捨てコンクリート
基礎工事の前に流し込むコンクリートのことで、基礎工事前に作業を行い、高さや指示内容を確認します。
すべての工事現場で利用されるわけではなく、現場によっては捨てコンクリートなしで作業に入るケースもあります。
ダイヤフラム
建築物を歪みにくくするための鋼板です。耐震強度を高める目的もあります。
三和土
コンクリートなどで作った土間のことを指します。
土や漆喰など3種類の材料をまぜてたたきながら作業をすることから「三和土」、「たたき」と呼ばれています。
建前
建築物の骨組みのことです。
基礎のなかの基礎のことで、柱や梁などを指すことも多いです。
ツーバイフォー工法
2インチと4インチの材料を使って建築物の骨組みを作る工法です。
木造建築では多く用いられており、間取りの自由度が高い、耐震性が高いなどのメリットがあります。
継手
柱、梁などの基礎の部分をつなぐ部分のことを指します。
道路斜線制限
道路だけでなく、隣の土地の日当たりを確保するための上限です。
道路からの境界線と、勾配車線から、各建築物の制限を計算します。
独立基礎
柱に独立して作られた基礎のことを独立基礎といいます。
地盤が強い土地や、加重の少ない柱には独立基礎が用いられることも多いです。
逃げ
各資材の余裕を残す部分のことを逃げと呼びます。
位置関係における余裕のことを逃げと呼ぶこともあります。
根太彫り
根太は住宅の床を作るための土台のことで、根太彫りは、根太を取り付けるために梁などを彫り込むことです。
延床面積
建物のすべての階の床面積の合計を指します。
日本の建築の法律においては、建物の高さだけでなく、延床面積も厳重に守らなければなりません。
設計段階で、土地の広さやその土地の条件から、延床面積の上限を計算する必要があります。
掃き出し窓
ベランダなどに設置する、人が出入りできる大きさの窓のことです。
ごみなどをそのまま掃き出すことができる形状から、掃き出し窓と呼ばれています。
テラス窓と呼ばれることもあります。
ベタ基礎
床面がすべて鉄筋コンクリートになっている基礎をベタ基礎と呼びます。
建築物の耐震性を高めることが可能です。
地盤がゆるい土地では、ベタ基礎を用いられることが多いです。
ホルムアルデヒド
人が吸い込むと健康被害を招く有毒なガスです。
建築物の接着剤として利用されおり、無臭であることから、発覚が遅れてしまいます。
現在でもホルムアルデヒドを使用した建築物や家具などは多数ありますが、一定基準以下に抑える必要があります。
招き屋根
切妻屋根の中でも片面が短い屋根のことを、招き屋根と呼びます。
屋根裏やロフトなどを作りやすく、狭小住宅に用いられることも多いdえす。
ユーティリティ
冷暖房や電気設備など、設備一般をユーティリティと呼びます。
洗面所や脱衣所、キッチンなどに設置される、さまざまな使い方ができるスペースのことをユーティリティスペースと呼びます。
家事動線を意識した住宅づくりにおいては重要なポイントです。
ユニット工法
建築物をユニットごとに分類し、ある程度工場で組み立ててから現場で作業する方法です。
現場での作業時間が短縮され、工場で大量生産が可能なため、コストを大幅に抑えられるというメリットがあります。
注文住宅には不向きですが、建売住宅には多く用いられれています。
建築現場で使われる専門用語を理解しよう
建築現場でよく使われる専門用語を紹介しました。
実態にはこれ以外の用語も多数使われていますが、基本的な意味を理解しているだけでも、現場での作業が円滑になりますよ。
わからないことはその場で聞き、速やかに作業に取り組めるようにしていきましょう。