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上下水道の意味と、工事するための資格

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わたしたちは水を使います。飲み水、風呂、トイレ、洗面所、台所。蛇口をひねればきれいな水が出ます。
当たり前のように使っている水。実は飲料水として飲める国は非常に珍しく、日本を始め、オーストラリア、ニュージーランド、アイスランド、アイルランド、フランス、ドイツなど、世界で16か国しかないと言われています。

水はわたしたちにとってとても大切なものです。水無しでは生きていくことができません。その貴重で大切な水を当たり前のように使えるのは環境設備が整っているからです。上下水道に関わる設備が整っているからこそわたしたちの暮らしは豊かになっているのです。

下水においても、漏れや異臭、害虫などに悩まされることなく生活することができています。これもきちんとした設備が整っているからなのです。
ここでは、生きる上で欠かすことのできない『水』。わたしたちの生活用水には『上水道』『下水道』があります(上下水道)。

ここではその『上下水道』において、どのような役割を担っているのか。またどのような工事で上下水道は成り立っているのか。その工事をするためにはどのような資格が必要なのかなどをご紹介していきたいと思います。

上下水道の役割

上水道

 上水道は、一般的に飲むことが可能な水を供給する設備のことを指します。上水道には単に『水道』という呼び方もあるそうで、下水道や中水道などとの区別をするために上水道と呼ばれることが多いそうです。
雨や雪などが降って、ダムや湖といった巨大な貯水池に溜まると、そこから浄水施設に水を引き込んで、活性炭処理・沈殿処理・ろ過・消毒などの工程を経て水道法に基づく基準を満たすように浄化していきます。

そして、きれいになった水は、送水ポンプで各市町村の自治体に送られ、配水池から水道管を通してそれぞれの施設や住宅へ送られて行きます。

まとめると、浄水施設によって誰でも飲めるように浄化された水を『上水』、その上水に関する施設を『上水道』と総称して呼びます。冒頭にも触れた通り、当たり前のように蛇口から出てくる水を飲めるのは世界でたったの16か国です。アジアでも水道水が飲めるのは日本だけです。

中国や韓国、台湾やシンガポールでも水道水を飲むことはできません。それだけ日本の浄水技術が世界トップクラスと言えるわけです。

下水道

 下水道は主に都市部の雨水や汚水を地下水路などで集め、そのあとに公共用水域へ排出するための施設などを言います。
この水の多くは城下などの水処理を行っています。いわゆる食器を洗った水や用を足した後のトイレの水、洗濯機の水などですね。
下水には3つの種類があります。
それを書きに述べますので参考にしてください。

『汚水』…これは尿などを含んだ水のことです。またエアコンのドレン排水なども含まれます。
『雑排水』…これは洗濯機や台所、お風呂の水などです。いわゆるし尿を含まない水のことを言います。
『雨水』…読んで字のごとく雨が降った後の水のことです。

これらを踏まえて下水道には『合流式』『分流式』という処理方法があります。
合流式は

汚水、雑排水、雨水を『合流管』を通して終末処理場で、下水道法で定めた水質に浄化して河川や海に流していく方式

分流式は

汚水や雑排水は同じ汚水管。雨水は専用の雨水管で集める方式

です。

汚水管に集められた水が終末処理場で下水道法に基づいた処理方法で浄化され河川や海に流します。
雨水管で集められた水はそのまま河川や海に流していきます。

このとき、双方にはデメリットがあり、『合流式』においては、大雨の時に汚水が混じった下水があふれ出し河川や海に流されてしまうことです。

また、『分流式』のデメリットは、雨水管に関して、雨水をそのまま流すために、浄土汚染や大気汚染物質が混じった雨水などがそのまま河川や海に流されてしまうということです。
生活の質の向上という点では『合流式』のほうが良いのかもしれませんが、地球への環境配慮を考えた場合、『分流式』のほうが良いと言われています。

上下水道の引き込み工事について


さて、上下水の役割がわかったところで、今度はその上下水道を住宅まで引き込まなければ上下水道として活用することはできません。

ではその工事はどのように行われているのか詳しく見ていきましょう。

まず、公共側(自治体)の施設と所有者側の施設との管理区分を見ていきます。
まずは上水道から見ていきます。


出典:北海道十勝音更町ホームページhttps://www.town.otofuke.hokkaido.jp/life/mainichi-seikatu/zyougesuidou/jougesui_kanri.html

図には、上に所有区分、下に管理区分と別れていて、灰色の水色の部分が自治体、灰色の部分が所有者となっています。
所有区分としては、道路の下に水道本管があり、そこに設置された分水栓から給水管を通じて家庭の蛇口まで水を供給しています。
この仕組みを給水装置と言い、給水装置は上手の所有区分の通り、所有者の物になります。

一方で管理区分では、公私境界で区分が分かれています。なぜ所有区分と管理区分が違うのでしょうか。

それは、管理区分において、公共の施設である道路敷地の下で給水管に故障が発生した場合、修理するためには道路や歩道など自治体が所有する工作物を撤去して修理しなければなりません。
それには所有者に大きな負担となるため、自治体が管理しているというわけです。

よって言えることは、新設工事は水道本管までは所有者で行い、管理においては敷地境界で管理区分が分かれると言うことです。
では次に、下水道について見てみます。


出典:北海道十勝音更町ホームペーhttps://www.town.otofuke.hokkaido.jp/life/mainichi-seikatu/zyougesuidou/jougesui_kanri.html

下水道においては、道路の下にある汚水本管から公共ますまでが自治体の所有物で管理区分です。
そこから家庭内の排水管や私設ますは所有者の所有物で管理区分になります。上水道と比べて公共ますを基準に分かれているためわかりやすくなっています。

尚、細かい区分は各自治体によって異なりますが、大まかには上図のような区分分けとなっているところが多いでしょう。

もし気になった方は、各市町村の工事区分や管理区分を調べてみるのもいいかもしれません。
今回は、所有者側の上下水道にスポットを当てて表題にある通り、工事をするためにはどのような資格が必要なのかをご説明したいと思います。

工事をするための資格


水道工事というと、CMなどでよく出てくる蛇口の故障や排水溝のつまりを修理するというイメージが強いのですが、実際の水道工事と言うのは

「給水管引込工事」「屋内配管工事」「下水道排水設備工事」

3種類になっています。
「給水管引込工事」というのは、

自治体の水道局が管理している水道本管から敷地内の建物へ給水管を引いてくることを言います。

「屋内配管工事」は

建物内部の給水管および排水管を設置する工事になります。

このような工事は素人が行ってはいけません。
もしつなぎ方を間違えてしまえば、上水道に汚水が入ってしまい、飲料水として使えない可能性があるからです。また、漏水によって上水道に汚水が混じり、これも先ほどと同様に飲料水に適さない水が流れてしまう可能性があります。「下水道排水設備工事」同様です。

よってこの3つに関する工事には専門の業者が行う必要があります。
ではその工事をするための必要な資格について見ていきましょう。

給水装置工事主任技術者

給水装置工事主任技術者は、給水装置に関する技術上の管理やそれに従事する人たちの技術上の指導監督、給水装置の構造や材質などが基準にきちんと合っているかなどの確認や、施行した給水装置工事の水道事業者が行う検査の立ち合いなどをします。
配管工事自体は無資格でもできますが、それを管理・監督する資格となっています。

ちなみに「給水装置」とは、各市町村管理の本管から建物側の配水管の水圧を利用して使われる給水用具(蛇口、給湯器、洗浄便内蔵型大便器など)までの範囲における工事を言います。

この資格を簡単に言えば水道局から「給水設備を設置してもいいですよ」という認可をうけるために必要な資格と言うことになります。
さらにはこの資格は先に述べたような工事の監督だけでなく、水道局との調整や工事計画の策定なども行い、様々な面でやり取りが発生するため、それをこなすための給水装置のスペシャリストと言えるわけです。

尚、この資格を受験するには給水装置工事に関して3年以上の技術上の経験が必要になってきます。
給水装置工事主任技術者の仕事内容は、メンテナンスエンジニアとして給水装置に異常があった場合や新規に設置する工事に立ち会い、工事全体を把握する仕事があります。
このことより無資格の場合と比べて経験や技術に基づいた提案をすることが必要です。
また、施工管理も重要な仕事で、資格取得後の主な選択肢としてはこの業務が一番多いことになると思われます。
その分これも充分な経験と技術を身につけなければできることが難しくなってきます。

下水道排水設備工事責任技術者

下水道排水設備工事責任技術者は、排水設備の工事の施行に関して、工事を行っている技術者の質的向上をはかるものと同時に、排水設備の工事の指定工事店に任命されるために必要な資格です。
下水道工事と言うのは、各市町村の条例で登録された指定工事店でなければ工事することはできません。
設計もすることもできないのです。
よってこの指定工事店の認可を受けるためには必ず下水排水設備工事責任技術者の資格を持った人が専任されなければならないのです。

ですので、下水道工事をしたい業者にとっては必要不可欠な資格と言えるでしょう。

業務内容としては、公共地や住宅設備などの管工事に関する施行図面の作成、施工管理(スケージュール、工程、資材、人材、予算)を行い、さらには水廻りのメンテナンスやリフォームなどを行います。
この資格の試験合格率は、都道府県にもよりますが、東京都で46.4パーセント、全国ではおよそ30パーセントから50パーセントとなっています。

管工事施工管理技士

管工事施工管理技士は、区分として1級2級があるので注意が必要です。
冷暖房設備工事、空調設備工事、給排水・給湯設備工事、ダクト工事、浄化槽工事、ガス配管工事、衛生設備工事などの管工事の中で、施工計画を作成し、工程管理や品質管理、安全管理等の業務を行っていきます。

この資格を持っていると、工事現場の監理技術者や主任技術者として専任することができます。
またこの資格にも1級、2級において受験資格があります。
誰でも受験することはできないわけです。

それぞれの受験資格は

【1級管工事施工管理技士】

・大学卒業の者であって、かつ実務経験が3年以上であること。
・短期大学卒業の者であって、かつ実務経験が5年以上であること。
・高等学校卒業の者であって、実務経験が10年以上であること。
・その他の者で、実務経験が15年以上である場合。
・2級管工事施工管理技士を有している場合、合格後の実務経験が5年以上ある場合。
※指定学科又は指定学科以外の卒業によって必要な実務経験が異なります。

【2級管工事施工管理技士】

・大学卒業の者であって、かつ実務経験が1年以上であること。
・短期大学卒業の者であって、かつ実務経験が2年以上であること。
・高等学校卒業の者であって、実務経験が3年以上であること。
・その他の者で、実務経験が8年以上である場合。
※学科試験のみの場合は、満17歳以上の者であること。

とされています。

水道技術管理者

水道技術管理者は、国内の水道法において、水道事業の設置者が必ず設置しなければならないと定められている技術面での責任者のことです。
衛生で安全な飲料水を提供するにあたり水道の維持管理を行うのが主な職務になります。

また、そのために水道施設の検査や水質の検査、浄水場に努める従業員の健康診断なども行います。

特に試験などはなく、一定の学歴を満たした後にそれに応じた実務経験を積む。

もしくは10年以上水道の技術上の業務に従事した経験のある人であれば任命されることがあります。
ですので、この資格は、必要な資格要件は水道法に定められてはいますが、厚生労働省などの発する免許については法で規定されていないために国家資格ではありません。

まとめ

これまで上下水道の意味と必要な資格について説明してきましたが、改めて上下水道がわたしたちの暮らしに欠かせないものと再認識されたのではないでしょうか。
暮らしに欠かせない重要なインフラ。それが上下水道なのです。それに関しての職種に従事することは非常にやりがいがあり、またその人たちの暮らしを支える設備に携わっているのだと実感することができるのではないでしょうか。

また、この職種に携わり、様々な資格を取得することでキャリアアップもはかることができます。
このような職種に携わりたい。もっと技術を磨くために資格を取りたい。

と思っている方にとってこの記事が少しでも参考になれば良いと思っています。

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