街中を歩いていると大きな重機を巧みに操り、さまざまな土木工事が実施されているのを目にします。
でもわたしたちはあまり何の工事をしているのかわからないことがほとんどです。
道路舗装や治水工事など土木工事には実にさまざまな種類が存在しています。
その土木工事においてわたしたちはどれくらいの種類を知っているのでしょうか。
実は土木工事はわたしたちの知られていない工事内容がたくさんあります。
今回はその土木工事において、いったいどれくらいの種類があるのか。またそもそも土木工事とはどういったものなのか。その辺を解説していきたいと思います。
土木工事って何?
建物の建設というのは、舗装工事や電気工事、機械設置工事も含めて何種類もの工事を組み合わせて成り立っているもので、土木工事はその中のひとつになります。
建物に関してはその建物の基礎の部分を、またほかには橋、ダム、道路などのインフラも含めた建造物を造ることも土木工事の一種です。
ここで注意しないといけないのは、土木工事は「建設であり建築ではない」ということです。
建設とは建築と土木をなどの基盤機構の分野の総称で、土木というのはその建設の中の一種になります。ややこしいですが、建設というのは建築と土木と合わさったものの総称ですので、土木は建設にあたるというわけです。
土木工事のイメージは、つるはしを持った屈強の男たちがつるはしを持って工事するイメージが強いですが、現代はそうではありません。
ハイテク機器をおおいに活用して工事をし、非常に繊細な工事の中のひとつなのです。
土木工事と言うものは先進国が行う工事の象徴であり、都市や街をつくる貴重な活動であるといえます。
土木工事の種類
土木工事の種類にはじつにさまざまな種類があります。
ここではその中の一部をご紹介していきましょう。
ダム建設工事
ダムは「堰堤」とも言い、水力発電や治水・利水、治山や砂防、廃棄物処分などを目的として造られるものです。
ダムは川や谷を横断や包囲して造られる土木構造物です。一般的にはコンクリートや土砂、岩石などによって築かれるものです。大規模なダムで川をせき止めた場合、上流側には人造湖が形作られます。
トンネル工事
トンネルとは地上から目的地まで、地価や海底、山岳などの土中を通る人工の土木構造物です。断面の高さ、幅に比べて軸方向に細長い空間のことを言います。
人工のものは、道路や鉄道といった交通路や水道、電線などのライフラインの敷設、鉱物の採掘などに使用するために建設されます。
掘削した壁面に矢板(やいた)と呼ばれる木の板や鉄板をあてがって、支保工という支柱で支え、その内側をコンクリートで固める「巻き立て」によって仕上げます。
橋梁工事
橋梁は橋のことで、谷などの地面より低い位置を通る道路や鉄道、川・沼・海などといった水面などをまたぐ形で高い場所に設けられた構築物のことです。
一般的な構造としては、上部構造と下部構造に分かれていて、上部構造は床構造と主構造から成り立っています。
一方下部構造は、上部構造を支えて荷重を地盤に伝達する橋台(きょうだい)と橋脚(きょうきゃく)、それらを支える基礎(きそ)のことを指しています。
材料としては、上部構造に鋼を用いた鋼橋や鉄を用いた鉄橋、コンクリート製でできたコンクリート橋などがあります。
空港建設工事
空港は、飛行場のことで、一般的な実態は主に旅客機や貨物機などの民間航空機の離着陸に用いるもので、その名の通り、海運における港のような機能を持つ施設で、空港という日本語自体が英語のAirport(空の港)の直訳となっています。
道路工事
道路は、人や車が安全に通行できるように設けられたもので、コンクリートやアスファルトでできているものを言います。
種類としては、アスファルト舗装やコンクリート舗装、特殊舗装などがあり、主に私たちが目にするのはアスファルト舗装です。
アスファルト舗装は、地面の深いところから順に「路床」「下層」「上層」「基層」「表層」という順番で成り立っていて、基本的には表層でかかる荷重を下の層へ荷重分散して荷重を与えていく構造となっています。
河川工事
河川(川)というのは基本的に絶えず水が流れる細長い地形のことで、雨として落ちてきた雨水や地下から湧いたりした水を重力によって低い場所へとたどって下へ行くことを言います。
それがつながって細い線状になったものを指します。
河川工事は、その川が大雨によって氾濫を未然に防ぐために、堤防の設置や強化、河川の掘削などのことを言います。
土地造成工事
造成とは、その土地に対して地盤面の形状を主に土を動かすことによって何かの目的に使うための行為のことです。
造成のために行う掘削工事は、表土掘削、大地掘削、岩石掘削、泥掘削などに分けられます。
造成工事は、住宅や建物を建設する際に、その土地に必要な土地の整備を行います。
重機や手作業などで、その土地を改良します。
森林土木工事
森林の環境整備に関する土木工事で、森林土木工事には官業のほかに、民有森林土木工事があります。
工事内容は、河川工事も含め、河川の道路構造物工事、治山・地すべり防止工事などがあります。
そのほかにも、土地区画整理工事や、公道の下の下水工事、林業土木工事などがあります。
土木工事に持っていると有利な資格
土木施工管理技士
土木施工管理技士は、日本の施工管理技士国家資格のうちのひとつで、国土交通省が管轄しています。
公共工事で、必置となる主任技術者や監理技術者になるための必須資格で、東日本大震災以降の除染工事や造成工事などの復興作業において需要が高まっています。
等級には1級と2級とに分かれていて、1級は、河川、道路、橋梁、鉄道、上下水道などの土木工事において、主任技術者または監理技術者として施工計画を作成し、現場において工程管理、安全管理など、工事施工に必要な技術上の管理などを行います。2級は、その中で鋼構造物塗装、薬液注入にわかれています。
建設機械施工管理技士
建設機械施工管理技士は、施工管理技士国家資格のうちのひとつで、2級は昭和35年から、1級は昭和37年から資格制度が実施されていて、施工管理試験の中では一番早くから行われています。
1級と2級に分かれていて、1級は各種の建設機械を用いた施工における指導、監督的業務、2級は第1種から第6種に分かれ、それぞれの機械を用いた施工において、運転・施工の業務に携わり、各機種の運転技術者などの施工管理を行います。
測量士
測量士は、測量を行う職業および専門職で、ステータス的には、測量士は技術的な職に従事対応していて、外業はほとんどをこなし、その後解析計算までは事務所で行います。
日本においての測量士は、測量法に基づき国土交通省国土地理院が所管しています。
測量士は、測量業者の行う測量に関する計画を作製し、たり実施したりします。
合格率は平成29年度で、男子11.3%、女子17.8%となっていて、男女全体で言うと合格率は11.7%となっています。
コンクリート診断士
コンクリート診断士は、公益財団法人日本コンクリート工学会が実施する講習会を受講し、試験によって相応のレベルのコンクリート診断・維持管理の知識・技術を保有していると認定され、登録した人に与えられる称号のことです。
コンクリート診断士試験は、2001年より実施されていて、コンクリート構造物について永く共用するために必要な劣化診断や維持管理能力のある技術者を養成して社会に貢献することを目的として始められたものです。
労働安全コンサルタント
労働安全コンサルタントは、労働安全衛生法82条に基づく労働安全コンサルタント試験(国家試験)に合格した人で、同法の84条に基づいて厚生労働省にある労働安全コンサルタント名簿に登録した人のことを言います。
業務としては、同法81条に規定されている通り、労働安全コンサルタントの名称を用いて、他人の求めに応じ、報酬を得て、労働者の安全水準の向上を図るため、事業場の安全についての診断やそれに基づく指導を行うこととなっています。
建設コンサルタント
建設コンサルタントは、建設技術を中心とした開発・防災・環境保護などに関して、計画・調査・設計・管理業務を中心に、日本では国土交通省の建設コンサルタント登録規定に基づいて国土交通省に登録された人のことを言います。
土木工事に使用される機械や道具とは何か。
現代の土木工事は非常に発達した機械を用いて工事を施工しています。
ではその機械というのは、どういったものがあるのでしょうか。詳しく見ていきましょう。
油圧ショベル
油圧ショベルは、掘削・聖地などのための腕上の構造およびバケット等が油圧によって作動し、自走する機械のことです。
いわゆる掘削機の一種で、建設機械のひとつです。
油圧ショベルにはいくつかの分類法があり、基本的に「バックホー」と「ローディングショベル」「解体機」に分類することができます。
また、機体質量が1トン未満のものはマイクロショベルと分類する方法もあります。
ブルドーザー
ブルドーザーとは、土砂のかきおこしや盛土、整地に用いる建設機械のことで、平土機とも呼ばれています。
トラクターの前面に可動式のブレードを装着していて、進行方向に土砂を押し出します。中には後部に土砂や岩盤を掻き起す爪(リッパ)と呼ばれる装置が装着されている車両もあります。
アスファルトフィニッシャー
アスファルトフィニッシャーは、道路などのアスファルト舗装のために使われる建設機械のことで、ディーゼルエンジンなどの原動力をもって自走します。
構造的には、アスファルトを積み込むホッパー、原動機、走行装置、アスファルトを敷きならすスクリードから成り立っています。
クレーン
クレーンは起重機とも呼ばれ、巨大なものや重いものを釣り上げて運ぶ機械のことです。
構造は固定式クレーンの場合、移動範囲が限られているため、原動力として電力の供給が容易である電動機を主に使用しています。給電は分電盤よりトロリーを通じて行われるか、電線を取り付けて行われます。
荷重を支えるための構造体は鉄製が一般的で、天井クレーンの場合、走行に必要なサドルの上にガーターを通し、そのガーターに巻き上げのための装置を取り付けています。
そのほかにも、杭打機やボーリングマシン、モーターグレーダー、ロードローラーなどさまざまな機械が存在します。
土木業界の現状
土木業界においては主に橋や道路などわたしたちの生活に欠かせないインフラ工事がほとんどなために需要においては順調にあるといえるでしょう。
また人々の生活に欠かせない住宅、あるいはオフィスビルや高層マンションなどの基礎工事などに土木工事は適用されてきます。
建築関係や公共施設などの需要がある限りは堅調な需要が続くとみてよいでしょう。
課題となっているのは人手不足の実態で、土木業界では人で不足が深刻な状況となっています。土木関係に従事している方のほとんどは55歳以上と言われていて、若者の就職者が極端に減っている傾向にあり、今後の後継者においては見通しが立っていないのが実情です。
土木関係は3K(きつい・きたない・きけん)のイメージが強く、さらには休日の少なさと給与の安さといったところから若者離れが続いていると推測されます。
しかし現在では土木関係もハイテク化が進み、昔のような過酷な労働もかなり軽減されてきています。さらには、ドローンによる空中撮影や三次元での測量観測などといったIT化も加速しつつあります。
決して3Kばかりの業務ではないというのを若者に知らせていくことが重要になってきています。
そして福利厚生や給与形態、休日などの見直しも今後の課題として改善していくように取り組んでいくことが必要になってきます。
まとめ
いかがだったでしょうか。土木工事というのは非常に私たちの身近に存在し、道路やダム、橋、鉄道、公共施設からわたしたちの住宅にいたるまでその存在は身近にあるのです。
土木というのは、快適な生活空間を作る目的として、また自然災害などからの防御や社会的・経済基盤の整備を行うための技術です。
今後この土木という技術はさらに飛躍し進化し続けることでしょう。そのときには私たちの生活はもっと快適に過ごしやすくなるのは間違いありません。
しかしそのためには大きな課題である土木関係の従事者を安定的に確保することが重要になってきます。
作業従事者の高齢化に伴い、土木関係の従事者が減少してしまっては今後の発展も減速し土木は衰退していってしまうでしょう。
そうならないためにも若者の確保が急務なのです。
現在の土木はハイテク化が加速しています。昔のような3Kのイメージはすでに過去のものであると言うこともできます。そして建設業界全体においてもまだまだ人手不足なのは否めない状況です。
土木工事を含めた建設業界においては未経験の人でも積極的に採用している企業もあります。これを機に建設業界に携わることもいいかもしれません。
今回この記事を通して、現在土木関係に従事している方も、今後土木関係に進みたいと思っている若い人たちも何かを感じ取っていただければ幸いです。
また、今後の土木工事関係において、安定した土木の生産性の向上を願わずにはいられません。