住宅、マンション、オフィスビル、商業施設、劇場、公園など、さまざまな建築物のデザインをおこなうのが建築デザイナーです。
一から建築物をデザインしていく仕事はやりがいもあり、自分のセンスを活かして働くことができます。
そんな建築デザイナーになるためにはどんなステップを踏む必要があるのかをチェックしてみましょう。
建築デザイナーの年収やキャリアアップ方法についても解説します。
建築デザイナーになるには?具体的なステップ
建築デザイナーになるためのステップを紹介します。
建築デザイナーと似た職業にインテリアデザイナーがあります。人気のインテリアデザイナーになるためにはどんな点を意識すればいいのかについて下記の記事で詳しく解説しています。建築デザイナーと似通った点もありますので、下記も参考にしてみてください。
大学で建築について学ぶ
高校を卒業し、大学で建築学科などで建築について学びます。
建築系の学部はさまざまあり、大学ごとに方向性も大きく違います。
自分がやりたい仕事に近い勉強ができる、尊敬している建築士が講師として在籍している、就職のあっせんをしてもらえるなど、大学ごとの特色をよく確認して進学先を決めなければなりません。
大学ではなく専門学校で建築について学ぶこともできます。
建築デザイナーに必要な資格を取得
建築デザイナーになるために必要な資格を取得します。
建築デザイナーに必須の資格はありませんが、国家資格である建築士の資格は取得しておくべきです。
他にもインテリアコーディネーターやインテリアプランナーなどの資格も役立ちます。
大学の在籍期間中にも取得できる民間資格はたくさんあります。
建築設計事務所などに就職
大学卒業後、建築設計事務所や建築デザイン事務所などに就職し、建築デザイナーとしてのキャリアをスタートさせます。
住宅をメインに取り扱う企業、オフィスビルなど規模の大きな建築物を扱う企業、デザインだけをおこなう事務所、デザインから実際の工事まで請け負う事務所など、事務所によって特色は大きく違います。
自分のやりたい仕事内容や将来性などを考え、理想の建築デザイナーとしての実績を積んでいきましょう。
建築デザイナーの年収は?
建築デザイナーの年収は、どんな事務所で働くか、どんな規模の建築物のデザインを手掛けるかによっても大きく変動します。
厚生労働省による平成29年度賃金構造基本統計調査によると、一級建築士の平均年収は653.5万円です。平均月収は43.2万円、ボーナスは平均135.7万円です。
ですが住宅メインの建築デザイナーの場合は一級建築士の資格を取得していない人も多いです。
二級建築士は扱える建築物の規模に制限があり、ビルや商業施設のような規模の大きい建築物のデザインはできません。そのため年収はこれよりも下がることがほとんどです。
また、一級建築士を取得するには二級建築士の資格を取得した上で試験に合格し、さらに一定期間の実務経験が必要です。一級建築士の資格を取得して年収アップを狙いたい場合、数年単位で準備をする必要があります。
建築デザイナーのキャリアアップ方法は?
建築デザイナーがキャリアアップするためにはどんな方法があるのかについて解説します。
今後長く建築デザイナーとして活躍し続けるために、そしてよりよい待遇で働くために、どんなことができるのかを確認しておきましょう。
多くの実績を積む
建築業界の仕事は学校では学べないことばかりです。日々の経験が何よりもの糧となります。
多くの実績を積めばそれだけ臨機応変な対応ができるようになり、クライアントの要望にもさまざまな形で答えられるようになるでしょう。
自分のイメージするデザインを形にしたり、それを認めてもらえたりといった経験も大切です。
より良い成果を出せば社内でも認められて昇進、昇格できるだけでなく、転職の際にもアピールできるポイントが増えます。さらに建築デザイナーとしての実績を積めば独立開業することも可能です。
人脈を広げる
建築業界では人脈も重要です。
仲間から仕事を紹介してもらったり、クライアントを紹介してもらったり、資材などを特別な価格で提供してもらえたりなど、思わぬつながりが仕事をする上で役立つシーンが多いです。
クライアントから新たな相談を受ける、友人を紹介してくれる、仕事以外の会話から仕事につながるなどの可能性もあります。
建築業界で仕事をしているとさまざまな人と接する機会があります。一つひとつの出会いを大切にし、積極的に多くの人と関係性を築いていくことが大切です。
大手の事務所に転職する
建築デザイナーとしてさらに多くの実績を積みたい、よりやりがいのある建築デザインの仕事がしたいなど、前向きな理由での転職は自身のキャリアアップに大きく貢献してくれます。
大手であればより規模の大きな建築デザインの仕事ができるだけでなく、新しい技術や仕事の進め方を学ぶこともできます。収入や福利厚生などが充実するというメリットもあります。
ですが、憧れている建築家がいるのであれば、小規模であってもその建築家が代表をしている建築デザイン事務所に転職するのもおすすめです。すぐそばで憧れの建築士のセンス、デザイン、仕事の仕方を学べるだけでなく、経営方法などについても学ぶことが可能です。
大企業は意思決定が遅い、自分の思うような仕事ができない、出世欲の強い人が多いなどのデメリットもあります。自分は大企業でバリバリ働きたいのか、中小規模の企業でじっくり技術やセンスを磨いていきたいのか、将来をよく考えた上で転職活動を始めましょう。
独立する・フリーランスになる
建築デザイナーとしてのキャリアアップ方法は転職だけではありません。
独立して建築デザイン事務所を立ち上げる、フリーランスとして建築デザインをおこなうといった方法もあります。
国家資格である建築士資格を取得していれば建築士事務所を立ち上げることは夢ではありません。最初は人脈を頼って仕事を探すことになりますが、軌道に乗れば企業に勤務している頃よりもさらに高い収入を得られ、自分の好きなように仕事を進められます。
独立開業、フリーランスになるというキャリアアップ方法を考えている方は、建築デザイナーとしての実績を積む、建築の勉強をする他、経営や税金などについてもよく学んでおく必要があります。
建築デザイナーに必要なスキル
建築デザイナーには建築についてのスキルはもちろん、他にもさまざまなスキルが求められます。
多くの企業やクライアントに必要とされる建築デザイナーになるために必要なスキルを確認しましょう。
コミュニケーションスキル
コミュニケーションスキルはクライアントだけでなく社内や社外の人との打ち合わせでも重要です。
建築デザイナーはクライアントの要望を形にする仕事です。
クライアントは建築の知識がないことも多く、あいまいな表現の中から具体的なデザインを考えていく必要があります。
そのため、相手の意図を正確に読み取る力が必要です。
美的感覚
多くの人が使いやすいと感じるデザインを建築物に落とし込むことは大切ですが、自分のセンスも磨いていく必要があります。
クライアントの要望に合う内装、外装、ドアや窓の形、家具のデザイン、照明の種類など、建築デザイナーのセンスが発揮される箇所は無数にあります。
ちぐはぐな印象にならず、美しい内装や外装のデザインを提供することが建築デザイナーとして成功するためには重要です。
3Dソフトを扱うスキル
建築デザインに必要な設計図は、かつては手書きが主流でした。ですが近年は便利なCGソフト、3Dソフトが多く登場しています。
ソフトを使うことで効率的に正確で見やすい設計図を作成できます。
ソフトの基本的な操作ができることは建築デザイナーの必須スキルと言えるでしょう。
他にも、設計に関連するアプリやチャットツールなど、デジタル機器、ソフトの操作スキルも必要です。