今の仕事を辞めたいけど、いつ退職の意向を告げればいいのかわかない、早く言って職場で気まずくなりたくない…という悩みをお持ちではないでしょうか。
退職については企業がそれぞれにルールを定めていますが、法律に則った手順を理解しておくことも大切です。
退職の意向はいつ告げればいいのか、そして建築業界の場合についても解説します。
法的な退職のルールを確認しよう
まずは法律で定められている退職のルールを確認しましょう。
労働者は労働基準法によりさまざまな権利が守られています。
これに反する命令は企業はできませんので、理不尽な理由で退職の意向を無視されたり引き延ばされたりした場合は法的根拠を求めるようにしてください。
退職についてのルールは、雇用期間が限定されている場合とされていない場合によって違います。
雇用期間が限定されている場合
派遣社員、契約社員など、雇用期間が限定されている場合は、原則としてはその期間まで働かなければなりません。
ですが労働者のやむをえない事情によって退職することは可能です。
契約期間がスタートした日から1年以上経過している場合は、契約期間中であっても労働者はいつでも退職できます。
1年以上の契約期間が定められている場合は退職については比較的自由度が高いですが、引き継ぎや後任探しのために余裕を持って退職の準備をするのがいいでしょう。
雇用期間が限定されていない場合
正社員など、雇用期間が限定されていない労働者が退職する場合、2週間前までに退職の意向を伝えればよいという決まりがあります。
とくに業務量の多い正社員の場合は業務の引き継ぎや別の人材を雇用する時間も必要なため、二週間よりも前に退職の意向を伝える方がスムーズです。
ですが退職させてもらえない場合は法律違反にあたる可能性があるので、明確な理由を求めましょう。
就業規則の退職の決まりを確認しよう
法律上の退職のルールを解説しました。
次に就業規則を確認しましょう。
雇用契約を結ぶ際に就業規則が配布されているはずですので、退職前に確認してください。
退職金の減額の可能性
適切な退職の準備を進めなった、引き継ぎをせずに退職したなどの場合、退職金が減額される可能性があります。
法律で定められたルールではありませんが、就業規則に退職金減額の記載がある場合は条件をよく確認しましょう。
退職金は、これまでの業務に対する報酬の役割があります。
そのため、よほどのことがない限りは退職金の減額は認められません。
理不尽な理由で退職金を減額された場合は訴訟を起こせます。
有給休暇の申請
有給休暇の申請についても確認しましょう。
有給休暇の取得は、法律で守られた労働者の権利です。
退職前に有給休暇を申請して万が一拒否されたとしてもそれは企業側に非があり、労働者の申請を拒否することはできません。
業務上問題がある場合や引き継ぎが終わらない場合は、労働者に退職日の延長を頼まなければなりません。
法律の方が効力は強い
就業規則に「3か月前に退職の意向を示さなければならないと書いてある」、「退職届を提出したら拒否された」、「退職前の有給が認められなかった」などの事例もありますが、これらはすべて労働基準法違反です。
就業規則に記載があったとしても、法律の方が効力が強いです。
そのため、どうしても理不尽な理由で希望通り退職できない場合は訴訟を起こすことも可能です。
ですがその場合、退職者の心身にも金銭面にも負担がかかりますし、問題が長引いてしまう可能性もあります。
理不尽なルールに従い続ける必要はありませんが、法的根拠を提示して希望通り退職できるようかけあってみましょう。
建築業界で退職する前のチェックポイント
建築業界はキツい、汚い、給料が低いとも言われており、退職したい人は多いです。
ですが、ただ勢いで辞めてしまうとあとから後悔することになるかもしれません。
現状どうして退職したいのかを明確にして、適切な手続きを踏んだ上で退職できるよう準備を進めていきましょう。
退職したい理由を明確にする
まずはどうして退職したいのかを明確にしましょう。
退職理由が明確でないと、転職する際にも同じような企業を選んでしまうかもしれません。
そうなるとまた同じ理由で退職を考えるようになり、キャリアが育ちにくくなってしまいます。
建築業界で多い退職の理由は、
- 体力が持たない
- 残業や休日労働が多い
- 待遇が改善されない
- 給料が安い
- 職場の人間関係が合わない
- 若手の負担が重すぎる
などがあります。
自分なりの退職理由を考え、転職の際はこれらの問題を補ってくれる企業を探しましょう。
労働基準監督署に相談
明らかに労働基準法を違反している場合は労働基準監督署に相談してください。
残業代が支払われない、休日がない、残業時間が多すぎるなど、労働基準法に違反している場合は調査や勧告をしてくれます。
それで労働環境が変わるようであれば、あなたが退職する必要もなくなるかもしれません。
パワハラやセクハラが横行している、業務中の怪我の責任を取ってくれないなど、問題が深刻な場合は弁護士事務所に相談するという方法もあります。
建築業界は労働環境が悪い職場もありますが、1人で抱え込まずに最適な場所へ相談しましょう。
必要な引き継ぎ業務を済ませる
引き継がなければならない業務がある場合は速やかに引き継ぎの準備を進めましょう。
マニュアルを作成する、後任を探しておくなどの方法があります。
引き継ぎが適切にできていなければ退職金が減額される可能性があったり、退職日を遅らせなければならないかもしれません。
自分も企業側もすっきりと別れるためにも、最後の引き継ぎだけはきちんと済ませておきましょう。
転職先を決めておく
退職後のキャリアも事前に考えておきましょう。
雇用保険に加入している期間が12か月あれば失業給付金を受け取ることもできますので、失業給付金を受け取りながら生活し、次の就職先を探すという方法もあります。
上記でも解説したとおり、退職理由を明確にした上で同じような企業を選ばないように慎重に転職活動を進めましょう。
建築業界は、身に着けたスキルがさまざまな場所で役立ちます。
今後のキャリアアップのためにも、より働きやすい、待遇のいい企業を探してみてください。
建築業界で退職したいと思ったら就業規則を確認
退職の意向はいつ伝えればいいのか、法的な視点と就業規則の視点から解説しました。
基本的に就業規則に則って退職の意向を告げる方がスムーズですが、納得できない理由で退職できない場合は労働基準法を確認してください。
労働環境に問題がある場合は適切な場所に相談して改善を求めるのも一つの方法です。
退職する際は退職理由を明確にして、次の転職に役立てましょう。
建築業界は、これまで培ってきたスキルを活かして再就職しやすい業界です。再就職について、建築業界の現状や転職活動におけるポイントを下記の記事で解説しています。こちらも参考にしてください。