建築の就職活動には、ポートフォリオが欠かせません。
ポートフォリオは学生時代にどのようなことを学んだか、どのような実績があるかをアピールするものです。
どの業界を目指すかによって作るべきポートフォリオも変わるので、注意しなければならない点をよく確認しておきましょう。
建築業界の就活にポートフォリオが必要な理由
建築業界のポートフォリオは、学生時代に何に取り組んだか、どのような知識、スキルがあるかを企業にアピールするためのものです。
一般的な就活は知識やスキルがないところから新卒採用が始まりますが、建築業界は十分な知識やスキル、専門性がなければ就職できないケースも多いです。
企業は提出されたポートフォリオから、学生に十分な素質があるか、企業の成長に役立つかを判断します。
ポートフォリオは提出したら終わりではなく、面接の際にポートフォリオを活用して自己PRをしなければならないことも多いです。
ポートフォリオの内容だけでなく学生の発表する姿勢なども確認されます。
ただ実績を掲載するだけでなく、プレゼンにも使いやすいように意識してポートフォリオを作成しなければなりません。
ポートフォリオが必要な建築業界の職種
建築業界ではほとんどの職種でポートフォリオの提出が求められます。
その中でもとくにポートフォリオ作成にこがわらなければならない分野を3つ紹介します。
デザイン職全般
建築物のデザインに関連する職種はポートフォリオが重視されます。
一般的な戸建てやオフィスビルの建築よりも、個性が重視されるデザイン事務所の方が充実したポートフォリオが必要です。
自身の個性的なデザインをアピールするためには、実績だけでなくコンテストの入賞歴などもわかりやすく掲載しましょう。
ポートフォリオには自分の作品を1つあたり5ページ程度掲載するのが理想です。
作品が多すぎても担当者の負担になってしまうため、掲載する作品は3つ程度に留めましょう。
とくに自信のある作品を厳選して掲載してください。
設計事務所
デザインだけでなく設計職でもポートフォリオは重要です。
大手のゼネコン会社やハウスメーカーでは、個性的なデザインよりも使いやすさ、安全性などが重視されます。
自然災害の多い日本では、より安心して使える建築物は非常に高い価値があります。
安全性の高い建物、使いやすい建物を作るためにどのような工夫をしているのかをアピールすると、企業にも響きやすいです。
ポートフォリオには3作品から4作品程度を掲載するのがおすすめです。
設計職は面接の際にプレゼンの時間が短い傾向にあるため、すべて紹介しきれるようにコンパクトなポートフォリオを作成しましょう。
都市開発
大出ゼネコン会社やデベロッパーなど、都市開発部門への就職を目指す場合もポートフォリオ作成に力を入れなければなりません。
都市開発部門では、作品の出来よりも就活生自身の経験が重視されます。
留学した経験はあるか、建築や都市開発を学ぶためにどのような経験を積んだかをアピールできるポートフォリオを作成しましょう。
自己紹介や作品の掲載は少な目にして、自分の経験、趣味、特技など、個性がわかる内容を充実させることが大切です。
都市開発でもプレゼンの時間はあるので、どのような流れでアピールをするか考えておくこともおすすめです。
企業の目に留まるポートフォリオの特徴
就活の時期、採用担当者は非常に多くのポートフォリオを見ることになります。
学生は実績が少ない分、これまで学んだこと、学生時代に行ったことをポートフォリオでしっかりアピールしなければなりません。
企業の目に留まるポートフォリオを作成するポイントを解説します。
一番重要な点が明確になっている
まず、そのポートフォリオで自分が一番伝えたいことは何かを明確にしましょう。
写真や文字を大きくして、しっかりアピールする必要があります。
膨大な量のポートフォリオを見る採用担当者は、一つひとつをじっくり読み込む時間はありません。
「この学生は確かなスキルがあるか」
「企業が求める人材に適しているか」
などが一発でわかるようにしてください。
写真の他、模型やCGが正確に作成されているかも重要です。
建築技術以外のスキル
ポートフォリオは建築のスキルだけでなく書類を作成するスキルや文章で伝えるスキルなども確認されます。
就職すると、社内だけでなく社外に対してもさまざまなプレゼンをしなければなりません。
すぐに見やすい資料を作成できるか、レイアウトやカラー、フォントなどが整っているかなども確認されます。
日本語が正しいことはもちろん、伝えたいことを明確に伝えられているか、正しい説明ができているかも重要です。
何度も見直して、完璧に近いポートフォリオに仕上げましょう。
整理整頓された読みやすい資料
伝えたいことがたくさんあると、ついごちゃついたポートフォリオになってしまいます。
ですが、ぱっと見で分かりにくい資料は敬遠されてしまいます。
書類を作成する能力が低いとみなされると、就職にも直接影響が出てしまいます。
自分で確認するだけでなく人にも見てもらい、見にくい点はないか確認しましょう。
上手にポートフォリオを作成する3つのコツ
建築学部ではポートフォリオの作成方法を学べる授業もありますが、それだけでは不十分です。
他の学生と差をつけるポートフォリオを作成するためにも、下記の項目を参考にしてみてください。
ネット上のポートフォリオを参考にする
ネット上には無料でさまざまなポートフォリオが公開されています。
その中から自分が目指す職種に近い作品を選び、ポートフォリオ作成の参考にしましょう。
一つのポートフォリオだけを参考にするのではなく、複数のポートフォリオの良い点を取り入れることが大切です。
完全に真似でしまうとオリジナリティのない仕上がりになってしまうので、自分らしさを出せるよう工夫しましょう。
先輩や講師にチェックしてもらう
自分だけでポートフォリオを作ると、どんなにクオリティが高いように見えても一人よがりな内容になっているかもしれません。
就活を経験した先輩や、多くの学生のポートフォリオをチェックしてきた講師に自分のポートフォリオを見てもらいましょう。
ぱっと見の印象が良いか悪いかだけをアドバイスしてもらうだけでも仕上がりは大きく変わります。
説明文など、もっとわかりやすくできる点がないか、具体的なアドバイスも求めましょう。
企業からの指定は必ず確認する
企業からポートフォリオの指定がある場合は必ずそれに従ってください。
指定の内容を確認し、それに合わせたポートフォリオを作成しなければなりません。
作品数やページ数、レイアウトなど、厳しく指定している企業もあります。
指定を守れていないと、どんなに素晴らしい作品を掲載しても選考で落とされてしまうので、後悔のないようにしてください。
魅力的なポートフォリオを仕上げよう
建築業界の就活に必須のポートフォリオについて解説しました。
自分の作品や経歴をアピールするだけでなく、業務に適応できるかなどもしっかり確認されています。
インターネット上には優れたポートフォリオが多数掲載されているので、具体的なイメージがつかない場合は参考にしてみてください。
建築業界の就活準備は早めの行動が肝心です。
ポートフォリオ作成にも早めに取り掛かり、クオリティの高い仕上がりを目指しましょう。