建築業界に限らず、転職をする際は企業の研究が必須です。
公式サイトや求人ページに書かれてあることはもちろん、さらに踏み込んだ研究をしたいのであれば、企業の中長期計画を確認することもおすすめです。
企業の中長期計画とは何か、なぜ転職に役立つのか、そして中長期計画でチェックすべきポイントを紹介します。
企業の中長期計画とは何か
中長期計画は、その企業が中長期的な目標や企画を記した計画書です。
中期的な計画として今後2年から3年の目標、長期的な計画として今後10年程度の目標が掲載されていることが多いです。
企業が現状どのような状態にあるのか、数年間でどのように成長していく見込みがあるのか、そしてそのためになにをしていくのかといった、企業の将来に関するさまざまなことが読み取れます。
中長期計画は就活生や一般顧客に向けて公開されることは少なく、投資家に向けて発表されていることが多いです。
その企業が投資に値するかを見極める判断基準になるためですが、その企業で働くに値する企業かを見極めるためにも有効活用しましょう。
公式サイトの投資家向けのページなどで公開されているので、ぜひチェックしてみてください。
企業の中長期計画をチェックすべき理由
企業の中長期計画をチェックすべき理由を4つ紹介します。
企業研究だけでなく転職先の企業探しにも役立つので、ぜひ有効活用してみてください。
理想の働き方ができるか知れる
中長期計画には企業の今後の展望が詰まっています。
- 海外進出
- 新規事業
- 既存事業の拡大
など、企業によって中長期計画には大きな違いがあります。
自分が今後建築業界でどのような活躍がしたいかを考え、それに合う計画を立てている企業か確認しましょう。
理想の働き方ができる企業であれば、転職後も長くその企業で働き続けられます。
反対に、自分のやりたいことと中長期計画がミスマッチの場合は入社後のギャップがストレスになる可能性もあります。
企業の将来性を予測できる
中長期計画の具体的な目標や数値から、企業の将来性を予測できます。
少子高齢化、労働人口減少が進む日本において、建築業界は非常に危ない立場に置かれています。
今後も楽観的な計画だけをしている企業は、時代の流れに淘汰されてしまうかもしれません。
新しいことにどんどんチャレンジし、革新をいとわない企業であれば、厳しい建築業界も長く生き残っていけるでしょう。
志望動機を考えやすくなる
中長期計画から志望動機を考えることも可能です。
自分のキャリアプランと照らし合わせ、企業の将来にどう貢献できるかをアピールできれば、他の転職希望者と差をつけることも可能です。
反対に中長期計画を確認せず企業の目標とずれた志望動機をアピールしてしまうとマイナスな印象になってしまう可能性もあります。
志望動機を無理に変えて嘘をつく必要はありませんが、企業と自分がいかにマッチしているかをアピールする材料として役立てましょう。
業界全体の流れがわかる
複数の企業の中長期計画を確認することで、建築業界全体の流れやトレンドを知ることもできます。
例えば、海外事業の展開を計画している企業があるなら、近年に建築業界のトレンドは海外進出であることがわかります。
海外進出のために自分がどのように貢献できるか、建築の知識だけでなく語学力や留学経験もアピールしましょう。
どのような業界に進出している企業が多いのか、どれくらいの成長率を目標としているのかなど、複数の企業の中長期計画を確認して業界全体の今後の流れを見極めましょう。
企業の中長期計画の5つのチェックポイント
企業の中長期計画を確認する上でチェックしておきたいポイントを5つ紹介します。
中長期計画の確認は企業分析にも役立ちますが、その企業が将来性のある企業か、誠実な企業かを見極めるのにも重要です。
やっと転職したのにギャップがひどくまた転職を余儀なくされた…ということがないように、下記の項目をチェックしてみてください。
合理的な計画か
中長期計画は投資家に向けて公表される資料のため、各企業は「いかに自社が投資に値する企業か」をアピールしています。
ですが、その計画が合理性に欠いていると信頼できなくなってしまいます。
何を根拠にその計画を立てているのか、実際に行動に移す基盤は整っているのかなどを確認しましょう。
計画の合理性が欠けていると、実際に入社しても上司から計画の遂行を止められたり、従業員同士でトラブルになったりする可能性もあります。
計画内容が細かすぎないか
計画内容は具体的であればあるほど信頼できますが、細かすぎる計画にも注意が必要です。
計画が細かすぎると一つの部分で計画が進まなくなったとき、全体の工程がストップしてしまう可能性があります。
軌道修正に膨大な時間を要したり、そのまま計画がなくなってしまったりするかもしれません。
計画が細かい場合は複数のパターンを用意しているか、なぜそこまで詳細に決める必要があるのかを確認しましょう。
建築業界だけでなく、世界は日々変化し続けています。
中長期計画が必ず実現するものではないので、柔軟な対応性があるかを見極めてください。
数値だけの目標になっていないか
目標が数値を達成するだけのものになっていないかを確認しましょう。
CO2の排出量を〇%削減する、従業員の報酬を〇%アップするなど、魅力的な計画も、数字だけでは意味がありません。
そのために何をするのか、どのくらいのコスト、時間がかかるのか、目標を達成することでどのようなメリットを得られるのかなどが明確になっているかチェックしてください。
近年はSDGsに取り組む企業も増えていますが、ただ数値を達成することだけを意識している企業も少なくありません。
その目標を達成することでそのような未来を創っていきたいと考えているのかまでわかる計画か、考えてみましょう。
再現性のある計画か
計画がたまたまうまくいくこともありますが、再現性の高い計画であればあるほど成功率は高くなります。
同じ条件でその計画を実行したとき、再現性があるかどうかを確認してください。
再現性がないと計画を進めたところで失敗に終わってしまったとき、リカバリーがきかなくなってしまいます。
計画自体がストップし、企業の成長にも大きく悪影響を及ぼします。
なぜその計画を立てているのか、何を根拠にしているのかを確認することで、再現性も見えてきます。
将来性の高い計画か
その計画が企業を成長させるものかを考えてみてください。
将来性の高い計画であれば、企業の成長にもつながり、長く安心して働き続けられます。
一方で、現状維持のみを目標としている企業や、ニッチな展開を続けている企業には注意が必要です。
時代の流れとともに企業の成長がストップし、働き方にも悪い影響が出る可能性があります。
建築業界では海外進出や介護、医療分野への進出、最新テクノロジーの開発などが求められています。
今後の企業の将来性を推し量るためにも中長期計画を確認してください。
企業の中長期計画を転職に役立てよう
企業の中長期計画が転職活動に役立つ理由と、計画書を確認する上でのチェックポイントを解説しました。
中長期計画も踏まえて企業分析を行えば、他の志望者と差をつけることも可能です。
自分をアピールするために、そして理想の企業に転職するために、早速中長期計画をチェックしてみましょう。