転職を考える際に、業界選びは重要です。
自分の得意なことを活かせる業界だけでなく、人材不足の業界を選べば仕事も選びやすく、求人の選択肢も増えます。業界研究、企業研究にも役立ちますよ。
日本は今どのような業界が人材不足なのか、その理由と未経験から転職できるのかを解説します。
人材不足が深刻な業界
日本は少子高齢化が進み、さまざまな業界で老翁人口の減少が懸念されています。
その中でもとくに人材不足が深刻なのが、下記の5つの業界です。
- 建築業界
- 福祉業界
- 運送業界
- IT業界
- 宿泊業界
それぞれにどのような特徴があるのかチェックしてみましょう。
建築業界
建築業界は3K(キツい、汚い、給料が低い)と言われている業界の一つです。
悪いイメージが強く、若者からの人気がなく若い労働人口が非常に少ないです。
建築業界で働いている人の3分の1以上が55歳以上と高齢であり、数年もすればかなりの数の労働者が現役を引退してしまいます。
一般職業紹介状況によれば、建築業界の有効求人倍率は求職者1人に対して5倍近い数がありました。
労働状況の改善やイメージアップなどが求められますが、目の前の仕事を回すので精一杯でなかなか解決できていないのが現状です。
未経験からの転職は職種による
建築業界の仕事は、専門的な資格が必要なものが多いです。
未経験からの転職は職種によって大きく難易度が変わります。
施工管理や技術職は資格や一定以上の経験が必要ですが、ハウスメーカーの営業や事務の仕事なら未経験でも比較的転職しやすいです。
製図ソフトCADを操作できればデスクワークの仕事も獲得しやすいので、使用方法を習得しましょう。
年数はかかってしまいますが、土木作業員から始めて資格を取得し、現場で活躍できる人材を目指す方法もあります。
福祉業界
高齢者の介護や障がい者のサポートなどの福祉業界も人材不足が深刻です。
大きな理由に、賃金が業務内容に見合わないという点があります。
福祉の仕事は体力も精神力も必要で、ちょっとした言動がクレームや大問題に発展します。
それでも高い報酬を得られるわけではなく、志を持って福祉業界を目指しても生きていけないと感じて離職してしまう方も多いです。
福祉業界の有効求人倍率は1人あたり3倍以上です。
今後高齢化が進むにつれて福祉業界の需要は高まっていきますが、労働環境や賃金の改善を国レベルで行う必要性もあります。
未経験からでも比較的転職しやすい
福祉業界の仕事は未経験からでも応募できるケースが多いです。
ですがまったくの未経験からだと最初は覚えることが多く、仕事についていくのも大変です。
高齢者の介護、障がい者のサポート、児童の支援など福祉の職種もさまざまなので、自分がどのような仕事に向いているか見極めなければなりません。
さらに、キャリアアップのため、資格取得をサポートしてくれる会社や事務所を選びましょう。
運送業界
ネットショッピングの需要が高まり、運送業界の需要も高まっています。
一方で労働人口は不足し続けており、多くの運送会社が運転手を募集しています。
有効求人倍率は1人に対して2件程度です。
人材が不足すると1人当たりが担当する荷物の量が多くなりますが、指定された時間に届けなければならなかったり、不在で無駄足を踏んでしまったりとストレスも増えてしまいます。
深夜まで及ぶ労働時間や、長時間の運転にネガティブなイメージを持つ方も多く、今後も労働環境の改善を意識しなければなりません。
未経験からも比較的転職しやすい
運送業界は車やトラックの運転免許があれば転職しやすいです。
小さいエリアを回る営業所であれば、大型トラックの免許がなくても働けます。
一方で、長距離移動が求められる仕事は大変な分給料も高く、初心者でも安定した収入を得られるでしょう。
基本的に一人で考えて行動しなければならない仕事なので最初は戸惑うかもしれませんが、チームワークより単独行動が好きな方には最適な仕事でもあります。
IT業界
IT業界は今急成長を遂げている業界で、その分人材の供給がまったく追いついていません。
有効求人倍率は1人あたり1.5件程度ですが、web業界全体を見るとさらに多くの求人に溢れています。
専門的な知識や技術が必要ではあるものの給料が特別に高いというわけではなく、残業の多さなどから離職してしまう方も多いです。
若い人材が多くユニークな福利厚生を用意している企業もありますが、その分中高年は転職しにくかったり、一定以上のスキルを持つ人しか転職できなかったりという問題もあります。
一定以上の知識と経験が必要
IT業界に転職するには一定以上の知識と経験が必要です。
プログラミング言語を複数習得したり、自分でプログ他ミングをした実績がなければなりません。
まずは知識を習得し、業務委託で仕事をこなし、実績を作ってから転職活動を始めましょう。
準備期間が年単位で必要で、学習のための時間も費用も用意しなければなりません。
将来性の高い業界ではありますが、本当にIT業界に転職したいのか、IT業界でどのように成長したいのかを明確にしなければモチベーションを維持するのは難しいです。
宿泊業界
宿泊業界は有効求人倍率が1につき3倍以上あります。
土日に休めない、理不尽なクレームに対応しなければならない、体力も精神力も必要といった理由から離職率も高く、人材の確保が難しいです。
また、新型コロナウイルスの影響で多くの宿泊サービスが打撃を受け、仕事を辞めざるを得なくなった方も多いです。
近年は業界も回復傾向にあり、海外からの宿泊客も増えていますが、一度落ち込んだ人材の数を増やすことは非常に難しいです。
未経験からでも転職しやすい
宿泊業界は未経験からでも転職しやすい業界です。
基本的なマナーや接客スキルを身につける必要がありますが、アルバイトなどで接客経験があればアピールもしやすいです。
宿泊施設によっては語学力が必要だったり、より上質な接客が必要だったりします。
また、住み込みで働ける宿泊施設もあり、心機一転新しい働き方を探している方にもおすすめです。
人材不足の業界への転職には注意点もある
有効求人倍率が高い業界は転職しやすいですが、安易に転職すると後悔する可能性もあります。
労働人口が少ない分1人あたりの仕事の負担が大きく、業務内容を改善する余裕もないことがほとんどです。
せっかく働いてスキルを身につけても、同じ業界では転職したくないと感じるかもしれません。
その場合はまた一からスキルを身につけなければならず、なかなかキャリアアップできません。
また、少子高齢化が進む日本では建築業界、宿泊業界などの景気は低迷することが予想されます。
建築業界であれば高齢者施設の施工をしている会社、宿泊業界なら海外からの観光客を積極的に受け入れている施設など、将来性の高い転職先を選ぶことも大切です。
人材不足の業界を見極めて転職を考えよう
人材不足の業界と、転職のしやすさを解説しました。
人材が不足している業界は転職しやすいものの、未経験からでは難しい場合もあります。
憧れていた業界に飛び込む前に、習得しておくべきスキルはないかを確認してください。
また、同じ業界でも将来性の高い企業を選ぶことで、将来的にも長く働き続けられます。
業界を何度も変えるとキャリアアップしにくくなってしまうので、自分のキャリアプランをよく考えた上で、最適な転職先を見極めましょう。