竣工検査とは、建築工事が完了したあとに建築物の不具合がないかを確認するための検査です。
建築をおこなった業者と施工主が立ち合い、建築物を確認していきます。
竣工検査では具体的に何をすべきなのか、どのような点をチェックすべきなのか、細かな点を解説します。
業者にとっても施工主にとっても大切な竣工検査について確認し、後悔のない取引をおこないましょう。
竣工検査の必要性を確認
竣工検査は、工事を行った物件を引き渡す際に施工主と一緒に建築物の最終確認を行うことです。
建築物の工事が完了した際には完了検査がありますが、こちらは建築基準法に基づいた高度な検査です。
それに対して、竣工検査はあくまで施工主が工事に問題がなかったかを確認するためのもので、比較的カジュアルに行われます。
ですが、この際に問題があると引き渡しまでに余計な日数が追加されたり、場合によっては違約金や損害賠償を支払わなければならなくなってしまいます。
施工主の見落としが原因であっても後から問題が発覚すると工事のやり直しが発生するため、施工主と一緒に丁寧に最終確認を行うことが大切です。
竣工検査を行う際の注意点
竣工検査を行う際の注意点を解説します。
引き渡し前の最終確認は、業者側も施工主側も慎重に行わなければなりません。
後からトラブルに発展しないよう、下記の項目を意識しておいてください。
事前にチェックリストを作る
後からトラブルが発覚して工事が長引くことを防ぐためにも、事前のチェックリストの作成が大切です。
住宅全体、建物全体の竣工検査は確認すべきポイントが非常に多く、どんなに気を付けていても見落としてしまう可能性があります。
玄関、浴室、リビング、寝室など、場所ごとにチェックリストを作成し、細かい部分までしっかり確認作業を進めましょう。
問題点があればその都度メモを取り、修正箇所を記録してください。
写真を撮影しておく
チェックリストに記載するだけでなく写真を撮影しておくことも大切です。
施工主が傷つけた部分を業者側のミスだと指摘され、工事のやり直しを求められるケースもあります。
竣工検査の際に写真の残して記録しておけば、このようなトラブルも防ぐことが可能です。
万が一竣工検査で問題が発覚した場合は、その部分の写真を撮影しておきましょう。
施工主、業者間で確認しあう
施工主と業者がそれぞれに確認すると、基準があいまいになりトラブルが起こる可能性もあります。
施工主とはその都度確認しあいながら、竣工検査を進めましょう。
「このポイントは合っている」
「この部分を重点的に確認している」
など、丁寧に説明することで施工主も安心できます。
また、施工主からも気になる点はないかを都度よくヒアリングするようにしてください。
指摘項目にいつ対応できるか確認する
竣工検査の際に問題が発覚した際、いつまでに対応できるのかを確認しましょう。
壁紙の汚れなどは比較的すぐに対応できますが、電気配線や配管の変更などは大がかりな工事になってしまいます。
施工主が賃貸住宅を引き払って住み始める場合、工事期間が長引くとトラブルに発展します。
迅速に対応することはもちろんですが、いつまでに完成するのかをきちんと施工主に説明しましょう。
竣工検査のチェックリスト
竣工検査の際に確認すべきチェックポイントを解説します。
チェックリストを作成し、問題がないか丁寧に検査を行いましょう。
タイルにゆがみやヒビがないか
玄関や浴室、トイレなどにタイルを使用している場合、タイルのゆがみやヒビは隅々まで確認しましょう。
少しのズレであっても、毎日利用する施工主にとっては非常に気になるポイントです。
タイルが浮いていると子どもや高齢者の転倒の原因にもなってしまうので、とくに注意すべきです。
ドアの傷や開閉に問題がないか
玄関のドアだけでなく各部屋のドアについて、傷がないか、開閉はスムーズかを確認しましょう。
ドアは目立つところだけでなく、開閉部分にも小さな傷がついている可能性があります。
少しの傷でもクレームにつながるため、入念に確認してください。
開閉時に軋みや音が気にならないか、鍵はきちんとかかるかなどもチェックポイントです。
照明スイッチやコンセントの位置は正しいか
照明スイッチやコンセントの位置も確認しましょう。
生活動線に合った使いやすい位置に配置されているか、もともと設計図にあった場所に適切に配置されているかなどを確認しなければなりません。
照明スイッチやコンセントの位置に問題があると、工事がやり直しになってしまいます。
竣工検査前に確認するのはもちろん、最終的に問題がないかも再度確認してください。
床、壁の傷やへこみはないか
床、壁の傷やへこみも入念に確認しましょう。
床や壁は生活を続ける上ではどうしても傷やへこみが出てしまいますが、竣工検査の時点で欠陥がある場合は工事のやり直しが必要です。
フローリングの場合は浮き出ている部分がないか、ワックスはきちんとかけられているかも確認してください。
窓の開閉はスムーズか
ドアと同様、窓の開閉もスムーズかを確認してください。
サッシの滑りは良いか、鍵はきちんとかかるか、さらに網戸や雨戸の開閉も確認すべきポイントです。
窓やサッシ部分に傷はないか、カーテンレールは適切に取り付けられているかなど、窓周辺のチェックも怠らないようにしましょう。
設備の配置に問題はないか
ガスコンロや食洗器などの設備は適切に配置されているかを確認してください。
もともと取り付けるところまで工事内容に含まれている場合、ミスが発覚すると再度やり直しになってしまいます。
後から施工主が取り付ける場合であっても、指定した通りのサイズのすきまを開けているか、適切な位置にコンセントがあるかなどを再度確認することも大切です。
水圧や火力、排水に問題はないか
シャワーや蛇口の水圧、コンロの火力、浴室やトイレの排水に問題がないかを確認しましょう。
この部分に問題があると工事のやり直しになってしまいます。
水圧、火力、排水などは竣工検査でも見落としがちなポイントで、後からクレームにつながる可能性もあります。
二度手間になってしまわないよう、竣工検査の時点でしっかり確認しておきましょう。
オプションは適切に取り付けられているか
棚やシュークローゼットなど、オプションは適切に取り付けられているかを確認します。
オプションは工事によってさまざまで、基本的な竣工検査のチェックリストには掲載されていないことがほとんどです。
工事内容ごとにしっかりチェックリストを見直して、適切に確認を進めましょう。
ガスメーターや室外機の配置は適切か
室内の内装や設備の確認も大切ですが、ガスメーターや室外機など、屋外設備の確認も怠らないようにしましょう。
ガスメーターはきちんと作動するか、室外機は住宅や近隣の迷惑にならないか、さらに換気扇は適切に作動するかなどの確認も必要です。
屋外から確認して問題がないかを確認し、必要であれば写真を撮影しておきましょう。
工事後の後片付けが行われているか
工事後の後片付けがきちんとできているかも確認してください。
吸い殻などはもちろんNGですし、工事の際に出たゴミや資材のゴミなどを置きっぱなしにしないようにしましょう。
ゴミが残っていると施工主からのクレームにつながるだけでなく、近隣住民からクレームが入ることもあります。
施工主への近隣からの印象も悪くなってしまうため、細心の注意を払いましょう。
竣工検査を正しく行って引き渡そう
竣工検査のポイントを解説しました。
施工主だけでなく業者側もしっかり竣工検査を行うことで、工事後のトラブルを防ぎ、スムーズな引き渡しができます。
問題が発覚した際はすみやかに対応し、トラブルのない、気持ちのいい取引ができるようにしてください。
下記の記事では確認検査機関について解説しています。より本格的な検査を行う機関について知りたい方は、こちらも参考にしてください。