施工管理は、建築業界のなかでもやりがいを感じやすく、成長性もある仕事です。ですが、業務量の多さや給料の低さなどから転職を検討している方も多いのではないでしょうか。
本記事では、施工管理の退職理由として挙げられることが多い理由と、転職活動の面接で役立つ例文を解説します。上司や転職先に退職理由をどう伝えればいいかわからない方は、ぜひ参考にしてみてください。
施工管理の退職理由は?リアルな声を紹介
施工管理を離職する際に挙げられる退職理由のなかでも非常に多いものを5つ紹介します。
施工管理はやりがいのある仕事ですが、その分ハードな業務内容に心身がおいつかないと感じる方も多いです。以下の点を負担に感じている場合は、転職を検討してもいいでしょう。
仕事量の多さ・責任感の重さ
施工管理は仕事量が非常に多く、一つひとつの業務の責任も重たいです。これらを負担に感じ、退職してしまう方は多くいます。
施工管理は工事現場を取りまとめる仕事であり、工程の管理から工事の品質管理、材料費や人件費などのコスト管理、さらに作業中の安全管理のすべてを担っています。
一つでもおろそかにすると企業や取引先に迷惑をかけるだけでなく、最悪人命にも影響を与えてしまいます。
建築業界全体で労働人口が低下しており、一人あたりの作業量が増えつつあることも事実です。本来なら数人で行う作業を一人で行わなければならなかったり、デジタルでできる作業を会社の方針でアナログで行わなければならなかったりと、ストレスを感じることも多いです。
時間外労働が多い
施工管理は業務量の多さから、残業や休日出勤も多くなりがちです。
時間外労働の多さから、心身の健康を壊したりプライベートや家族との時間を取れなかったりすることを理由に、退職してしまう方も多いです。
建築業界は時間外労働の多さが問題となっており、働き方改革の導入も進められていますが、とくに中小企業では設備投資の予算がなくいまだに長時間の労働を強いられている方が多くいます。
施工管理の業務量は膨大で、複数のプロジェクトを同時進行したり、一つが終わってもまたすぐ別の仕事が舞い込んだりして、ゆっくりできる時間が少ない点も、退職理由の一つです。
給料が低いと感じる
施工管理の給料が業務量に見合わないと感じることを理由に、退職を検討する方もいます。
厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査 結果の概況」によると、建築業界の平均月収は33万5,400円です。一方で、施工管理の平均月収は建築業界のなかでも高めとされています。
正確なデータはないものの、建築業界の平均と同程度か10万円以上高いケースもあります。建築業界全体で見ても、施工管理の収入は比較的高いといえるでしょう。
それでも業務量が多く賃金が低い中小企業で施工管理として働いている方は、さらに収入アップを目指して別の業種、職種に転職を検討するケースもあります。
人間関係が悪い
建築業界では多くの人と関わる必要があり、人間関係が合わずに退職したいと考える方も多いです。
業務内容自体にはやりがいを感じていても、職場の環境や取引先との関係が悪いと仕事がやりづらくなってしまうでしょう。
とくに建築業界は労働人口の高齢化が進んでおり、年齢的なギャップから一緒に仕事をしにくい、価値観が合わない、パワハラやセクハラがひどいと感じることもあります。
施工管理は気難しい職人と関わることも多いため、コミュニケーションスキルが高くても働きにくいと感じてしまう方も多いでしょう。
キャリアアップなど前向きな理由も
会社や仕事内容への不満ではなく、キャリアアップなど前向きな理由で転職を検討する方もいます。
建築業界はスキルや資格、実務経験次第でキャリアアップをしやすい業界です。
中小企業である程度の経験を積んだら、さらにキャリアアップするために条件のいい仕事へ転職する方も多いです。
施工管理は建築全体に携わる仕事のため、働き続けるなかでより自分に適していると感じる仕事を見つけられる可能性も高いです。
各分野に最適な資格を取得し、経験を積むことで、転職もしやすくなるでしょう。
施工管理を辞める際の伝え方のポイント
施工管理を辞める際は、伝え方も注意する必要があります。穏便に退職の手続きを済ませて希望する日程に退職するためにも、適切な伝え方のポイントを確認しましょう。
プロジェクトが終わった段階で伝える
施工管理は常に業務量が多い仕事ではありますが、プロジェクトが終わった段階やひと段落つきそうな段階などで退職の意思を伝えることをおすすめします。
プロジェクトの途中で退職の意向を伝えても引き留められ、希望するタイミングで退職できない可能性があります。
長年働いていると区切りがつくタイミングが見えてくるので、退職を希望する1~3か月前には退職の意向を示せるようにしておきましょう。
会社への不満ばかりを伝えない
退職理由に会社の不満があっても、そればかりをいうと心象が悪くなってしまいます。
円満退社を目指すためにも、会社への不平不満ばかりを口に出さないようにしましょう。
建築業界で転職する場合は、今後転職先でも前の職場と一緒に仕事をする可能性も十分にあります。
将来のことを考えても、退職理由は「一身上の都合」「キャリアアップのため」など個人的なものにし、会社に悪い印象を残さないようにしましょう。
直属の上司にまずは相談する
退職の意向を伝えるのは、直属の上司にしましょう。別の部署の上司や、直属の上司よりもうえの上司に先に相談することで、うまく退職の意向が伝わらなくなる可能性もあります。
上司との関係も悪くなってしまうので、上司が苦手であってもまずは直属の上司にアポを取って退職の相談をしましょう。
相談する際は、「〇月をめどに退職を検討しております」と、退職することは決まっている前提て相談する必要があります。「退職するか迷っている」と相談すると引き留められる可能性があるので注意しましょう。
引き継ぎの準備を進めておく
スムーズに退職するためには、引き継ぎを進めておくことも大切です。
施工管理は業務量が多いため、すべての業務を完璧に引き継げるよう、マニュアルなどを用意しておきましょう。
新しい人材の育成、別の人材への引き継ぎなども万全にし、自分がいなくなっても業務が回るようにしておく必要があります。
転職活動を進めておく
転職活動は、退職後にする方法と在職中に進める方法がありますが、できることなら在職中に転職先を決めてしまうことをおすすめします。
退職後は自由な時間ができ転職活動もしやすいですが、すぐに転職先が見つかるとは限りません。
収入がなくなることで焦ってしまい、不利な条件の職場に転職してしまう可能性もあります。
施工管理はハードな仕事ではありますが、安定して次の仕事に就くためにも、仕事の隙間を縫って転職活動を進めましょう。
施工管理の転職時の退職理由の伝え方と例文
施工管理の退職理由の伝え方は、
- 志望動機と一貫性を持たせる
- ポジティブな理由にする
- キャリアアップを理由にする
この3つを考えることが大切です。転職活動では退職理由もしっかり確認されるため、「会社への不平不満ですぐに辞めてしまう人材」と思われないような内容を用意しておきましょう。
「前職では○○を担当しておりましたが、ずっと憧れていた●●の仕事ができる御社で仕事がしたいと強く思い、退職を決意しました」
「キャリアアップして●年後にマネジメント職、〇年後に役職につき新事業の展開に携わりたいと思い、転職することにしました」
「現在○○の資格の勉強中であり、今後このスキルを活かして業界で活躍できる人材になりたいと感じ、退職しました」
など、前向きに捉えられる理由を考えてみてください。
以下の記事では、退職理由を考える際にも役立つ志望動機の考え方を解説しています。こちらも参考に、適切な退職理由を考えましょう。