建築業界には専門知識や資格が必要な仕事が多く、専門学校などでの学びなおしを考えている方も多いのではないでしょうか。
ですが、専門学校やスクールの学費は高く、なかなか申し込む資金を用意できない方もいます。
本記事では、転職活動や転職前のスキルアップに役立つ教育訓練給付制度について解説します。
しっかりスキルアップをしたうえで転職を成功させたいと考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
教育訓練給付制度とは
教育訓練給付制度とは、仕事を探しているものの能力が不足していると感じている方に対して、教育訓練に必要な費用の一部を支給する制度のことです。
さらに45歳未満の方に対しては、基本手当が支給されない期間は受講に必要な経費の負担もしてくれます。
受講料の負担を減らすことで学びなおしのハードルを下げ、スキルを身に着けたうえで安定した雇用や再就職を目指すことが可能です。
教育訓練給付制度の条件
教育訓練給付制度には、一般教育訓練給付と専門実践教育訓練給付の2種類があります。それぞれの条件を確認しましょう。
一般教育訓練給付の条件
教育訓練給付制度にはさまざまな条件があり、以下に該当する人でなければ受給できません。
- 雇用保険の支給要件機関が3年以上ある
- 受講開始時点で被保険者でない場合は離職日の翌日から受講開始まで1年以内である
- 前回の教育訓練給付金を受給してから3年以上経過している
ほかにも細かな要件があるため、詳しくはハローワークで質問してみましょう。
専門実践教育訓練給付の条件
専門実践教育訓練給付の条件は、以下のとおりです。
- 雇用保険の支給要件機関が3年以上ある
- 受講開始時点で被保険者でない場合は離職日の翌日から10年以内であること
- 前回の教育訓練給付金を受け取ってから3年以上経過していること
中長期的なキャリア形成を目指す方のための制度で、現在建築業界で働いているもののさらにキャリアアップを目指したい人などにおすすめです。
教育訓練給付制度の支給額
教育訓練給付制度の支給額は、教育訓練施設に支払った教育訓練経費の20%までで、上限は10万円です。
なお、4千円以下の場合は支給されないので注意しましょう。
例えば教育訓練施設の費用が48万円だった場合は9.6万円が支給され、自己負担額は38.4万円になります。
費用が52万円だった場合は20%の割合が上限の10万円を超えてしまうため、10万円のみが支給されます。
教育訓練給付制度の対象校以外に支払った経費は対象外となる点にも注意しましょう。
教育訓練給付制度の申請方法
教育訓練給付制度の給付金をもらうための申請方法を確認しましょう。
- 受講講座の申込
- 講座の修了
- 必要書類受け取り
- ハローワークで申請
- 給付金需給
以上の手続きを詳しく解説します。
受講講座の申込
まずは受講講座を申し込みましょう。
前提として、教育訓練給付制度対象の講座でなければ給付金を受け取ることはできません。
気になる講座がある場合、必ず教育訓練給付制度対象になっているかを確認しましょう。
教育訓練給付制度の対象になっている講座は、国から認められた適切な教育プログラムが整っています。
高額な受講料を取る講座のなかには、内容が薄くきちんとしたスキルが身につかないものもあるため、悪質な講座でないかを見極めるためにも教育訓練給付制度の対象になっているかを確認することはおすすめです。
講座の修了
教育訓練給付制度の申請は、講座を修了してから行います。
講座内容によって通学したり自宅学習したり、学習スタイルはさまざまで、受講期間もさまざまです。
とくに期間が長い場合は、受講後に教育訓練給付制度の手続きをすることを忘れないようにしておきましょう。
必要書類受け取り
講座を修了したら、必要書類を用意します。
教育訓練給付制度の申請に必要な書類は以下のとおりです。
- 教育訓練給付金申請書
- 教育訓練修了証明書
- 領収書
- 本人確認書類
- 払渡希望口座がわかるもの
本人確認書類は、マイナンバーカードや雇用保険被保険者証などです。
払渡希望口座がわかるものは、通帳やキャッシュカードなどです。
教育訓練給付金支給申請書は学校や施設から渡されることが多いですが、渡されなかった場合や紛失した場合はハローワークの公式サイトからダウンロードして印刷することも可能です。
また、上記のページから電子申請をすることも可能です。ハローワークに行く時間がない、近くにハローワークがない場合は電子申請も検討しましょう。
ハローワークで申請
ハローワークで必要書類を提出すれば、教育訓練給付制度の手続きは完了です。
書類に不備があるとやりなおしになってしまうので、間違いのないようによく確認しましょう。
疑問点がある場合はハローワークの窓口に相談すれば対応してもらえます。
給付金需給
教育訓練給付金は、手続きをしてから1週間程度で指定した口座に振り込まれるのが一般的です。
長期間払渡が確認できない場合は、ハローワークに問い合わせて状況を確認しましょう。
建築を学べる教育訓練給付制度対象の学校の一例
建築のスキルを学べる教育訓練給付制度対象校の一例を紹介します。
以下の講座などでは受講後に給付金を受け取れるので、学びたいスキルや取得したい資格に合わせて最適な講座を選びましょう。
総合資格学院
総合資格学院では、建築に関する資格取得を目指す講座が多数用意されています。
教育訓練給付制度の対象になっている講座も多いため、資格取得を検討している方はぜひ参考にしてみてください。
建築関連の教育訓練給付制度対象講座は以下のとおりです。
- 1級建築士設計製図コース
- 2級建築士設計製図コース
- 宅建合格必勝コース
- 1級建築施工管理 二次対策コース
- 2級建築施工管理 ストレート合格必勝コース
- 構造設計1級建築士 合格必勝コース
- 設備設計1級建築士 合格必勝コース
- 建築設備士学科合格必勝コース
- 建築設備士設計製図コース
例えば2級建築施工管理ストレート合格必勝コースであれば、受講料は税込341,000円です。
教育訓練給付制度を利用すれば、68,200円の給付金を受け取れます。
なお、講義は通学映像で学び、約1年間かけて資格取得を目指します。
日建学院
日建学院は、建築分野の書籍を出版する建築資料研究者が運営する建築に特化した学校です。
クオリティの高い映像抗議で、確かな知識を身に着けていくことが可能です。
日建学院の建築に関連する教育訓練給付制度対象講座は、以下のとおりです。
- 一級建築士学科本科
- 一級建築士設計製図本科
- 一級建築士設計製図パーフェクト本科
- 一級建築施工管理技士一次
- 一級建築施工管理技士二次本科速修
- 二級建築士学科本科
- 二級建築士設計製図本科
- 二級建築士設計製図パーフェクト本科
- 一級建築施工管理技士一次・二次
- 一級土木施工管理技士一次
- 一級土木施工管理技士二次本科
- 二級土木施工管理技士一次・二次
- 一級管工事施工管理技士一次
- インテリアコーディネーター一時本科
- 宅地建物取引士本科
- 宅地建物取引士短期集中
- 宅建通信合格
- 土地家屋調査士本科
一般の受講料は半年間で税込473,000円で、給付金は94,600円受け取れます。
教育訓練給付制度を活用してスキルアップを目指そう
求職者のスキルアップを支援する教育訓練給付制度を紹介しました。
高額な講座を受ける必要があっても、教育訓練給付制度を活用すれば最大10万円をサポートしてもらうことができます。
対象の条件や講座などがわからない場合は、スクールに問い合わせるか、ハローワークに相談してみましょう。
手続きなども丁寧にサポートしてもらえます。
最寄りのハローワークを調べて、教育訓練給付制度について相談してみてくださいね。
以下の記事では、国などが運営しており低料金で通える職業訓練校について解説しています。
どのようなことを学びたいか、今後建築業界で活躍するために何が必要かを考えたうえで、最適な学校を選びましょう。