「土間」と言われてまず思いつくのが、昔ながらの民家にある土間なのではないでしょうか。
土間とひとことで言っても色々な用途に使われています。
たとえば一戸建て住宅の駐車場や、工場のフロアーなど。あれもすべて土間でできています。
よく思うのが、土間屋と左官屋って何が違うのでしょうか。
両方とも似たような仕事内容という気がしませんか?
ここでは、その土間屋と左官屋の違いや、そもそも土間とはなんなのか?などをご紹介していきたいと思います。
そもそも土間ってなんだろう?
土間というのは、日本建築における家屋内の一部を構成する間取りのことです。
日本の伝統的な民家や納屋の屋内空間は、人間の生活面が柱によって地面より高くつくられていて、木の床などが敷かれた「床」という装置が敷かれた部分と、地面と同じ高さの部分とに分けられています。ここでいうと後者の「地面と同じ高さの部分」が土間です。
土間の仕上げには、三和土(たたき、漆喰を塗り固めた床)や珪藻土(けいそうど)、コンクリート・タイルなどが用いられています。
土間は、地面とほぼ同じ高さで、生活空間である廊下・居間。寝室といったようなその他部屋よりも一段低くなっていて、屋外と連結するためのものが多いとされています。
現在では縮小化されたものが同じように呼ばれていますが、本来は「地面と同じ扱いの屋内の部屋」という性格がありました。
現代の民家建築では、土間は単なる屋外と屋内の境にある玄関のような狭い空間になり、単純に靴を脱ぐための場所として位置づけられています。これによって伝統的な土間の重要な機能であった生業の作業空間というものは生活屋内から除かれる場合が多いです。
旧来のものは作業場として十二分な広さを持つ場所でしたが、現在の物では広くて半畳程度の玄関の付帯扱いとなっています。
土間屋と左官屋との違いは?
土間屋というのは床専門の左官作業をする職業のことで、漆喰などを鏝(こて)を使って壁を塗ったりする人たちは左官屋と呼ばれています。その左官屋に対し土間屋は、コンクリートの床をつくるのが仕事です。
左官屋に比べて土間屋はあまり目立たず、地味な印象が多いと思いますが、公共施設である学校や公民館、また行政施設、高層ビルなどの床もすべて土間屋が施工しているのです。
近年では大型商業施設や超高層ビルなど、床面積がどんどん大きくなっていています。
こういった現場ではプロペラの付いた機械をつかって仕事をしたりします。ひとり一日平均100平米以上受け持つことはしょっちゅうです。
土間屋は、コンクリートを流し込んだ後に平にし、固まって上に乗れるようになってからさらにここで押さえるという作業を行います。
土間屋は、時間との勝負です。コンクリートは水分が早く飛んでしまうので、ご飯も食べずに仕上げることは日常茶飯事です。
夏は炎天下の中普段より早く水気が飛んでしまうのでさらに注意が必要で、冬場は逆になかなかコンクリートが固まらず、0時を回って夜中に終わることもたびたびあります。
土間屋が使う道具ってどんなものがあるの?
鏝(こて)
鏝は壁面や天井にモルタルなどを塗る際に、また土間などにコンクリートやモルタルを均す際に用いられる道具です。
塗る以外にも仕上げ作業などにも使用されますが、用途によって使用する鏝の大きさや厚さは異なります。
壁面や天井にモルタルや土を塗る場合は主に20センチ~30センチの長さの物を使い、土間を均す場合には30センチ~40センチのものを使用する場合が多いとされています。
仕上げをする場合にはこての厚みが薄い方がきれいに仕上がるとされていて、主に0.5ミリ厚のものが良く使用されています。
うす塗りをする場合には角ごてというものを使います。近年、コンクリート壁面等の素地調整に適した材料が多く開発されていることもあって、その需要は拡大しつつあります。
トロウェル
土間の施工作業でのムラ取りを機械で行うもので、機械の下部に取り付けられたブレードを動力で回転させて、こて作業を機械的に行うものです。
下部に取り付けられたブレードにスムージングディスクとよばれるものを装着して、コンクリートが固まっていないときに凸凹をこれで均していきます。
レーキ
レーキとは熊手(くまで)、手把(しゅは)のことで、柄の先に爪を取り付けて、清掃や除草などに用いる機具のことです。
トンボ
コンクリートを平らに仕上げるために用いる道具で、形が昆虫のトンボに似ていることからこの名が付けられました。
野球場などでグラウンドを整備するのによく用いられているものと言えばイメージがわきやすいのではないでしょうか。
丈夫で軽いアルミ製の物が現在主流となっています。
土間屋の収入ってどれくらいあるんだろう
土間屋の収入は請け負う規模や平米によって変わってきます。いわゆる「直請け」と「孫請け」といった仕事の受注方法などでも変わってきます。
中には大規模なコンクリート床工事の場合、その仕事を直請けできる場合は、経験や勤続年数によって異なりますが、容易に月収約50万円を超える場合もあります。
社員の場合の給与の目安は以下の通りです。
未経験者…1日当たり 1万3000円~
1年以上…1日当たり 1万4000円~
3年以上…1日当たり 1万5000円~
5年以上…1日当たり 1万7000円~
10年以上…1日当たり 1万8000円~
土間屋のやりがい
さまざまな道具を使い施行していく土間屋ですが、その土間屋のやりがいとはいったいどういったものでしょうか。
完成したものが長期にわたって残る
施行したものが長きにわたってその場に残ることがなんといってもやりがいのひとつでしょう。
自分が施工したものがその場に残ると言うのはいいものです。自分の仕事に誇りを持つことができます。
もし、自分に子供がいて公共施設の床などを手掛けた時、子供たちに誇らしく「これは自分がつくったんだよ」と自慢することもできます。
現代社会に欠かせない仕事
コンクリートの土間というのは、コンクリート建造物を建てる際において必要不可欠な仕事になります。
現在コンクリート建造物が多い世の中では、超高層ビルやマンション、大型商業施設などが数多く存在し、これからも増え続けていくことでしょう。
そうした中において土間屋というのはなくてはならない存在になります。
その社会の一役を担っている仕事だからこそやりがいを感じることができると思います。
一生ものの技術を取得できる
土間屋はいわゆる「職人」です。一生ものの技術を身に着けることができます。
その技術を身に着け熟練者になったときには非常に重宝され、より難易度の高い工事を施行していきます。それをこなし感謝されたとき、大きな誇りを得るとともにやりがいを感じることができるでしょう。
まとめ
これまで、土間屋についていろいろご紹介してきました。
土間屋は左官やと混同されることがおおいのですが、仕事の違いが明白に分かれていることがお解かりいただけたかと思います。
土間屋は決して楽な仕事ではなく、むしろ厳しい職種だと思います。
しかし、それだけに仕事そのものにおいて達成感と充実感は充分得られる仕事だと思っています。
これから土木業界に足を踏み入れようとする方々に、この記事が少しでもお役に立てれば幸いです。